依頼者・関係者
相談者は、広島市西区在住の70代のAさん
相続人は、長男Bと次男Cの2人
妻は既に他界している。
相続財産の内訳
預金 2,000万円
不動産 4,000万円
合計 6,000万円
相談状況・内容
Aさんは70代になり終活として相続全般について相談がしたいと来所されました。
一般的に相続で問題になる事や気を付けなければならない事は何なのか教えて欲しい言われました。
弊所での相談事例を基に相続で問題になり易い事は次の3点で、これについて検討して下さいとご説明しました。
① 遺産分割について
② 相続税について
➂ 相続税の納税資金について
尚、Aさんの家族構成や財産状況をお聞ききすると上記の様な状況でした。
ご提案・解決方法
まず、一般的に相続で一番問題になるのは上記①の「遺産分割について」ですが、これについては子供達の仲が良く揉める心配は無いとのことでした。
しかし、仲が良い場合にも、今回の場合に、問題が2つある事を説明しました。
1つ目は、仮にAさんより先に長男Bか次男Bのどちらかが亡くなったら、代襲相続(注1)になる為、遺産分割で揉める可能性がある事です。
例えば、Aさんより先に長男Bが死亡した場合には、Aさん死亡時の遺産分割は、長男Bの子供と次男Cが遺産分割をする事になります。
この場合、叔父と甥姪では対等な話合いが出来なかったり、また、長男Bの子供が未成年者である場合には、遺産分割が出来ないので親権者を代理人にしなければなりません。
具体的には、長男Bの奥さんが親権者として遺産分割をすることになりますが、そうなると次男Cとは他人であり揉める可能性が出て来るのです。
2つ目は、財産に占める不動産の割合が大きいですが、不動産が1つだと分ける事が出来ないので、共有(注2)になる可能性がある事です。
一般的に兄弟間の共有はお勧め出来ません。
その理由は、将来、相続が発生し代が変わる度に持分が複雑になって行くからです。
以上から、兄弟の仲が良いので揉める可能性は低いかもしれませんが、1つ目の不安を解消する為には、遺言書の作成が安心だと説明しました。
尚、2つ目の問題については不動産が複数あるので共有になる心配はないとの事でした。
次に、上記②の相続税については、現状での相続税のシュミレ-ション(注3)を行いました。
試算の結果、相続税は180万円でした。
最後に、上記➂の納税資金については、現状での預金で支払えるので心配しなくても大丈夫ではないのかとご説明しました。
結果
その後、ご家族と相談後に来所され、上記①の「遺産分割について」の問題に対応する為に、遺言書を作成する事になりました。
親より先に子供が亡くなる可能性は考えられるし、お孫さんが全員、未成年者なので遺産分割で揉める可能性がある事を懸念された様です。
遺言書作成の為に、手間と費用はかかりますがもしもに備えてお守りだと思えば安心です。
得てしてトラブルは予期せぬところから発生するものです。
また、相続税については想いより少なかった様で、相続税の節税や納税については特に検討しないという事になりました。
最後に、弊所では遺言書作成サポ-トも行っていますので、今回のケースの様に気になる方はお気軽にご相談して下さい。
参考法令他
(注1)代襲相続(民法第887条)
代襲相続とは、本来相続人となる子供や兄弟姉妹が被相続人(亡くなった人)より先に相続人が死亡した場合に、その相続人の子供が代わって相続することをいいます。
被相続人からみれば「孫」が代襲相続人となります。
また、代襲相続人となる「孫」がすでに亡くなっている場合は、さらに孫の子である「曾孫(ひまご)」が代襲相続(再代襲)をすることになります。
このように再代襲には世代の制限がありません。
ただし、兄弟姉妹の場合の代襲相続は1代限りです。具体的には、甥や姪までしか代襲しないことになります。
(注2)共有(民法第249条~264条)
共有とは、所有権などある一定の権利が複数の主体によって支配・利用されている状態のことをいいます。
また、所有権以外の財産権の共有については準共有と呼ばれます。
尚、共有関係にある者のことを共有者という。
民法は単独所有を原則とするが、現実には、共同生活の中で、一つの物に対し複数人が所有することもよく行われるため、249条から264条までの共有に関する規定がおかれています。
(注3)相続税シュミレ-ション(クリックしてご利用下さい)
相続税の金額を知りたい方は、弊所の相続税シュミレ-ションシステムをご利用下さい。
簡単入力ですぐに分かります。
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