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二世帯住宅で小規模宅地等の特例は使える?登記の注意点も解説

2026年10月27日

二世帯住宅を相続する際、小規模宅地等の特例を利用すれば、土地の相続税評価額を最大80%減額できます。
ただし、すべての二世帯住宅が対象になるわけではありません。
建物の構造や登記方法、相続人の居住状況などによって適用の可否が異なります。

この記事では、二世帯住宅に小規模宅地等の特例を適用するための要件や、区分所有登記の注意点、相続税の計算方法、適用できない場合の対策について解説します。

二世帯住宅でも小規模宅地等の特例は適用できる

二世帯住宅でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例を適用できます。
玄関やキッチンが別々の完全分離型でも、建物の登記状況などによっては対象になります。
ここでは小規模特例住宅の特例について解説するので、参考にしてください。

小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例とは、被相続人が生前に居住や事業のために使用していた宅地について、一定の条件を満たす場合に相続税評価額を減額できる制度です。
二世帯住宅の敷地では、主に「特定居住用宅地等」の区分が該当します。
適用されると、330㎡までの土地について評価額を80%減額できるので、節税になる場合もあるでしょう。

例えば、相続税評価額が5,000万円の宅地で、全体が特例の対象になる場合、評価額は1,000万円になります。
土地の評価額が下がることで、相続税の負担を大幅に抑えられる可能性があります。
ただし、減額されるのは相続税そのものではなく、相続税を計算する際の土地の評価額です。

平成25年度の税制改正で適用範囲が拡大

以前は、親世帯と子世帯が建物内部で行き来できない二世帯住宅について、同居の判定が厳しく行われていました。
しかし、平成25年度の税制改正により、平成26年1月1日以後の相続では建物の内部で行き来できない構造でも一定の要件を満たせば特例の対象になるよう変更されました。
そのため、1階に親、2階に子が住み、それぞれ独立した玄関や生活設備を備えている場合でも、構造だけを理由に適用不可とは判断されません。
一方、区分所有登記がされている建物では取り扱いが異なるため、登記の確認が必要です。

二世帯住宅に小規模宅地等の特例を適用する要件

二世帯住宅で特例を使うには、誰が土地を取得するのか、相続開始前後にどのように居住していたのかが重要です。
配偶者と子などの親族では、適用要件が異なります。

配偶者が相続する場合

被相続人の配偶者が居住用の宅地を相続する場合、取得者についての居住継続要件や所有継続要件はありません。
例えば、父が所有していた二世帯住宅の土地を、父の死亡後に母が相続するケースです。
土地が特定居住用宅地等に該当すれば、母が相続後に転居した場合でも、取得者に関する要件を理由に特例が使えなくなることはありません。
ただし、土地の利用状況や申告手続きなど、特例全体の条件は満たす必要があります。

同居していた子が相続する場合

被相続人と同じ一棟の建物に居住していた子が土地を相続する場合、原則として以下の条件が必要です。

  • 続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその建物に居住している
  • 相続開始時から相続税の申告期限まで、対象となる宅地を所有している

例えば、父が1階、長男夫婦が2階に住む二世帯住宅で、長男が父の土地を取得するケースです。
建物が区分所有登記されていないなどの条件を満たせば、長男が居住する部分に対応する敷地も特例の対象になり得ます。
なお、住民票を移すだけでは十分ではありません。生活の実態が伴わない一時的な同居は、税務調査で問題になる可能性があります。

別居していた親族が相続する場合

別居していた子などが土地を取得する場合は、いわゆる「家なき子」の特例に該当するかを検討します。
ただし、被相続人に配偶者や一定の同居相続人がいないこと、取得者の過去の住宅所有状況など、複数の要件があります。
二世帯住宅の子世帯が同じ建物に居住しているケースとは判断基準が異なるため、相続人の状況に応じた確認が必要です。

二世帯住宅の登記方法による適用の違い

小規模宅地等の特例では、建物が完全分離型かどうか以上に、区分所有登記の有無が重要です。
同じ構造の二世帯住宅でも、登記方法によって対象となる敷地の範囲が変わります。

単独登記・共有登記の場合

一棟の二世帯住宅を親の単独名義で登記している場合や、親子の共有名義で登記している場合は、一定の条件を満たせば敷地全体が特例の対象になり得ます。
例えば、父と子が建物を共有していても、建物が一棟として登記されていれば、区分所有登記とは異なる取り扱いになります。
ただし、建物の共有持分と土地の所有割合は別の問題です。
誰が宅地を取得するのか、被相続人がどの部分を所有していたのかをまずは核にしましょう。

区分所有登記の場合

区分所有登記とは、建物の1階と2階などを、それぞれ独立した所有権の対象として登記する方法です。
例えば、1階が父名義、2階が長男名義の区分所有建物では、原則として長男の居住部分を父の居住部分と同じように扱うことはできません。
そのため、父が居住していた部分に対応する敷地については特例の対象となる可能性がありますが、長男の居住部分に対応する敷地まで当然に80%減額できるわけではありません。
区分所有登記があるからといって、土地全体が必ず適用不可になるわけではない点に注意しましょう。

二世帯住宅で小規模宅地等の特例を使う場合の計算例

小規模宅地等の特例を適用した場合、相続税評価額がどれくらい減額されるのか、具体的な事例で確認しましょう。

土地の評価額が6,000万円の場合

以下の条件で、父から長男が二世帯住宅の土地を相続したとします。

項目 条件
土地の面積 300㎡
相続税評価額 6,000万円
建物 区分所有登記のない二世帯住宅
相続人 長男
特例の対象 土地全体

この場合、土地の面積が330㎡以内であるため、6,000万円全体が80%減額の対象になります。
計算式は「6,000万円 ×(1-0.8)=1,200万円」です。
特例を適用すると、相続税の計算に使用する土地の評価額は1,200万円となり、4,800万円の減額が可能です。
ただし、実際の相続税額は、預貯金などほかの相続財産や相続人の人数、基礎控除額によって変わります。
また、土地が330㎡を超える場合は、原則として超過部分には特定居住用宅地等の80%減額を適用できません。

小規模宅地等の特例が使えない場合の対策と注意点

二世帯住宅で特例を利用するには、相続が発生する前から建物の登記や居住状況を確認しておくことが重要です。

生前に登記方法を見直す

区分所有登記されている二世帯住宅では、生前に単独登記や共有登記への変更を検討する方法があります。
ただし、区分所有登記の解消には、所有権の移転や区分建物の合併登記などが必要になるケースがあります。
親子間で建物の持分を贈与・売却すると、贈与税や譲渡所得税、不動産取得税などが発生する場合もあるので注意しましょう。
相続税の節税額より手続きにかかる税金や費用が高くならないよう、税理士や司法書士などの専門家に相談することが大切です。

相続税の申告期限に注意する

小規模宅地等の特例を受けるには、原則として相続税の申告期限である、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告する必要があります。
また、原則として遺産分割が完了していることも条件です。
申告期限までに分割できない場合でも、所定の書類を提出し、一定期間内に遺産分割を行えば、後から特例を適用できるケースがあります。
特例を適用した結果、相続税額がゼロになる場合でも、特例を受けるための相続税申告は必要です。

まとめ|二世帯住宅の小規模宅地等の特例は登記と居住状況が重要

二世帯住宅でも、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例を利用でき、330㎡までの宅地の相続税評価額を80%減額できます。
完全分離型の住宅でも適用できる可能性がありますが、区分所有登記の有無や相続人の居住状況によって、対象となる敷地の範囲は異なります。
相続が発生してからでは対応が難しい場合もあるため、生前から登記内容や土地の名義を確認し、必要に応じて相続税に詳しい税理士へ相談しましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

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