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原野商法で得た土地は相続放棄できる?手放す方法や注意点を解説

2026年09月22日

親や家族が過去に原野商法で購入した土地や山林を相続することになり、「利用する予定もなく、価値も低そうなので放棄したい」と悩む方は決して珍しくありません。
原野商法とは、将来的に値上がりするなどと勧誘し、実際には売却が難しい土地を購入させる商法でした。
1960年代~1980年代にかけて流行し、手放すこともできない土地を持ち続けている方もたくさんいます。

結論から申し上げると、不要な土地だけを選んで相続放棄することはできません。
しかし、売却や寄付、相続土地国庫帰属制度の利用など、土地を手放す方法はいくつかあります。
土地の状況によって適した選択肢は異なるため、それぞれのメリットや注意点を知ったうえで判断することが大切です。
この記事では、原野商法で取得した土地を相続する場合の手続きや処分方法、相続登記、二次被害への対策などについて解説します。

原野商法で購入した土地だけを相続放棄することはできない

原野商法で購入した土地が不要でも、その土地だけを選択して相続放棄することはできません。
相続放棄とは、特定の財産を放棄する制度ではなく、相続人として被相続人の財産を相続する権利そのものを放棄する手続きのためです。
例えば、親が原野商法で取得した土地のほか、預貯金や自宅などの不動産を所有していて、「預貯金と自宅は相続するが、原野だけは相続しない」という方法は選べません。
相続財産の全体像を把握したうえで、相続放棄をするメリットやリスクを比較して判断しましょう。

相続放棄すると預貯金などほかの財産も相続できない

相続放棄をすると、原野だけでなく、預貯金や不動産などほかの相続財産についても相続できなくなります。
そのため、不要な土地の存在だけを理由に判断せず、財産や負債の内容を確認することが重要です。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議によって誰が土地を取得するのか話し合うことも大切です。
ただし、土地を取得した人には、その後の管理や処分といった問題が残ります。

相続放棄の手続きは原則3カ月以内

相続放棄を選択する場合は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。
土地のほかにどのような財産や負債が存在するかわからず、判断が難しい場合は、早めに財産の調査を開始しましょう。
調査に時間がかかる可能性もあるため、期限を意識して手続きを進めることがポイントです。
なお、相続財産の調査では、預貯金だけでなく、不動産の登記事項証明書などから土地の名義や所有権を確認することも必要です。
調査の結果によっては相続放棄以外の選択肢が適している場合もあるため、期限までに判断できるよう手続きを進めましょう。
期限内の対応に困難がある場合などは、弁護士や司法書士などの専門家へ相談するのがおすすめです。

原野商法の土地を相続した場合に考えられる4つの処分方法

相続放棄をしない場合、原野商法で購入した土地を手放すには、売却や寄付、国の制度を利用する方法などがあります。
ここでは、売却できない土地を処分する方法を4つ、ご紹介します。

不動産会社や専門業者に売却する

不動産会社などに相談すれば、売却できるケースもあります。
原野商法で取得した土地でも、立地や周辺環境、利用価値によっては買い手が見つかるかもしれません。
査定を受ける際は、複数の業者から説明を受け、売却条件や手数料などを比較するとよいでしょう。

ただし、山林や交通の便が悪い土地などは需要が少なく、売買を断られる場合もあります。
複数の不動産会社へ相談し、土地の実際の価値や売却の可能性について情報を集めることが大切です。
売買を依頼する際は、査定額だけで業者を選ばず、契約条件や手数料、土地を売却するまでの流れについても確認しましょう。
特に「高値で買い取る」などと強調する業者については、提示された金額だけで判断せず、契約内容を十分に確認することが重要です。

自治体や法人などへの寄付を検討する

土地を無償で自治体や法人などへ寄付する方法もあります。
ただし、「無料なら喜んで引き取ってもらえる」とは限りません。

土地の所有者が変われば、受け取った側に管理の負担や費用が発生します。
そのため、利用目的がない土地などは寄付を断られるケースも多いのです。
寄付を希望する場合は、対象となる土地を受け入れている自治体や法人などへ事前に確認しましょう。
なお、自治体によって寄付を受け付けるための要件は異なります。事前に窓口へ問い合わせ、対象となる土地の条件や必要書類、手続きの流れについて案内を受けておきましょう。
法人への寄付を検討する場合も、土地を引き取る条件やその後の管理について確認しておくことが大切です。

相続土地国庫帰属制度を利用する

売却や寄付が難しい場合は、相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。

相続土地国庫帰属制度とは、相続や相続人への遺贈によって土地の所有権を取得した人などが、一定の条件を満たした土地を国庫に帰属させる制度です。
申請先は土地を管轄する法務局・地方法務局です。審査の結果、承認を受け、一定の負担金を国に納付すると土地の所有権が国庫に帰属します。

ただし、すべての土地が対象になるわけではありません。
通常の管理や処分に過分の費用や労力が必要となる土地など、国が引き取ることのできない条件が定められています。
制度を利用するには申請と審査が必要で、土地の状態によっては承認されない場合があります。
また、申請時には審査手数料がかかり、承認後には原則として負担金の納付も必要です。
制度を活用できるか判断が難しい場合は、土地を管轄する法務局へ相談し、申請の流れや必要な手続きについて説明を受けるとよいでしょう。
ただし、申請から国庫への帰属までには一定の期間を要するため、すぐに土地を手放せる制度ではありません。
審査の条件や負担金の金額なども確認し、ほかの処分方法と比較したうえで利用を判断しましょう。

相続そのものを放棄する

ほかの財産も含めて原野を相続する必要がない場合には、相続そのものを放棄する方法もあります。
ただし、相続放棄を検討するときは、土地の価値だけでなく、預貯金やほかの不動産、借金なども含めた相続財産全体を調べましょう。

一度相続した後に「原野だけ不要だった」と考えても、その土地だけを対象とした相続放棄はできません。
相続開始を知ったら、早い段階で財産の内容を確認することが大切です。

原野商法の土地を相続するときの注意点

原野商法で取得された土地を相続する場合は、「利用しないからそのままにしておく」という対応はおすすめできません。
登記や管理に加え、原野商法の被害者やその相続人を狙った二次被害にも注意が必要です。

相続登記の手続きが必要

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
不動産を相続によって取得したことを知った相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。

原野や山林も不動産なので、「価値がない」「使う予定がない」という理由で相続登記が不要になるわけではありません。
相続登記をせずに放置すると、次の相続が発生して相続人が増え、権利関係が複雑になることもあります。
売却などの処分をスムーズに行うためにも、必要な名義変更や登記の手続きを進めましょう。

固定資産税や土地の管理が必要になる場合がある

土地を所有すれば、固定資産税が発生します。
また、場所によっては管理費などの費用が別途発生するケースもあるので、注意が必要です。
さらに、土地を所有している間は、売却や譲渡が完了するまで管理の負担が続く可能性があります。
管理を第三者へ依頼する場合は、管理費や契約内容についても事前に確認しておきましょう。
この他、土地の状態や場所によっては、所有者として適切な管理が求められるケースもあります。
「遠方にあるので現地へ行ったことがない」「親が購入した土地の場所すらよく知らない」という場合は、登記関係の書類などから所在地や所有状況を確認し、必要に応じて自治体や専門家へ相談しましょう。
特に遠方の土地や山林では、現在の状態がわからないこともあります。現地の状況を調査するとともに、土地を手放すまでにかかる時間や管理費などを確認しておくことが大切です。管理を依頼する場合は、サービスの内容や料金についても事前に確認しましょう。

「高く売れる」という勧誘による二次被害に注意

2010年代以降、原野商法の二次被害が増えています。
国民生活センターには、過去に原野商法のトラブルに遭った人だけでなく、その原野を相続した人が再びトラブルに巻き込まれたという相談も多く寄せられています。
代表的な手口は、「土地を高く買い取る」などと電話で勧誘し、測量費や広告費、手数料などの名目で金銭を請求する手口です。
売却すると見せかけて、別の原野を購入する契約を結ばせるケースも報告されています。
このような悪徳商法では、原野の所有者や相続人が「土地を手放したい」と考えている状況を狙って勧誘するケースも増えています。
被害や二次被害を避けるためにも、知らない業者から電話や連絡を受けた際は、その場で契約や支払いを決めないことが重要です。

不要な土地を早く処分したいという気持ちにつけ込む業者は珍しくありません。
突然の電話や「必ず高く売れる」といった話を安易に信用せず、契約内容や費用を確認することが大切です。
不明な点がある状態で契約せず、業者から受けた説明や契約書の内容を確認しましょう。特に費用や契約条件について疑問がある場合は、その場で判断せず、家族や専門家など第三者へ相談することが二次被害を防ぐポイントです。

原野商法の土地を相続した場合は早めに処分方法を検討しよう

原野商法で購入された土地だけを選んで相続放棄することはできません。
相続放棄をする場合は、原野だけでなく預貯金や不動産など、原則としてすべての相続財産を受け継がないことになります。
相続する場合は、まず土地の場所や登記、価値、固定資産税、管理状況などを確認しましょう。
そのうえで、不動産会社への売却、自治体や法人への寄付、相続土地国庫帰属制度の利用など、自身の状況に合った解決方法を検討します。

また、原野商法の土地は二次被害の対象になる可能性もあります。
処分を急ぐあまり、突然連絡してきた業者へ安易に依頼しないように注意してください。
相続放棄や相続登記、国庫帰属の手続きについて判断に迷う場合は、司法書士や弁護士など相続や不動産に詳しい専門家・事務所へ相談する方法もおすすめです。
相続した土地を長期間放置せず、家族とも話し合いながら早めに対応を開始することが重要です。
なお、どの方法にも条件や手続きがあるため、土地の価値や管理状況、費用などを整理したうえで、自分に合った選択肢を検討しましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい