お役立ちコラム一覧

遺産相続をすると生活保護は停止される?

2025年12月10日

親や親戚などが亡くなり、遺産相続が発生することで、自分が財産を引き継ぐことがあります。

法定相続人は民法で定められており、被相続人に子どもがいない場合、兄弟姉妹や甥・姪が相続人となることもありますので、思わぬ遺産を引き継ぐことになるケースもあるでしょう。

中には生活保護を受給している人が遺産を引き継ぐことがあるかもしれません。その場合、生活保護が停止されることはあるのでしょうか。

当記事では生活保護を受けてる人が遺産を相続した場合の注意点や対処法などについてポイントをおさえて解説します。

生活保護とは

生活保護制度は生活保護法により、実施されています。怪我や病気、高齢で認知症を発症しているなどの理由で働くことができない状況の人が居住するための家賃や、食費など最低限度の生活を維持するために支給される制度です。支給される金銭のことを生活保護費といいます。

世帯年収が国の定める基準に満たない場合に支給され、収入が少ない場合でも、保有する財産がある場合や働く能力がある場合、生計を一にする親族が資産がある場合は支給されません。

生活保護受給者は公的機関の担当ケースワーカーのサポートやアドバイスを受け、それぞれが困窮している状態から脱し、自立に向けて相談します。

遺産相続すると生活保護が停止される?

遺産相続により、生活保護の受給者が法律上の権利を得て現金や預貯金や株式などの金融資産、不動産や金など処分すれば現金化できる財産的な価値があるものを取得した場合、速やかに社会福祉事務所に届け出る義務があります。

明確に停止される基準が決められているわけではありませんが、遺産相続は生活保護の支給に影響します。ただし、相続した資金が少額の場合は支給が停止されません。また、財産を引き継いだ場合でも生前に借金があり、差し引きすると大きな資産にならず、引き続き生活が困難な時は停止されることはないでしょう。

相続した財産が100万円を超えるような高額である場合、減額や打ち切りになる可能性があります。ただし、遺産相続は継続して収入が得られるわけではありません。そのため、再び生活保護費が支給される可能性もあります。

遺産を相続したにもかかわらず福祉事務所に申請を怠った場合、不正受給となります。福祉事務所に報告しないだけでなく、隠蔽して受給し続けるなど悪質な行為が調査で発覚した場合は詐欺罪など法的な責任を問われる可能性があります。不正受給となると、受給資格が廃止になるだけでなく、過去に支払われた分も返還を請求される事例もあります。

財産を受け取った際は自分で額によって不要と判断をせずに、福祉事務所から報告を求められる前に申告するようにしましょう。

相続放棄をした場合

親族から遺産を受けるよりも、生活保護を受給し続ける方がメリットがあると考え、相続放棄の制度を利用することを選択するか検討する人もいるかもしれません。

しかし、相続権を放棄をすれば必ず受給停止されることはないかというとそうではありません。生活保護は自分の財産や能力を持って生活ができない人を保護するための制度です。生活保護受給者が遺産分割の話し合いに参加せず、あえて法定相続分を受け取ることができる自ら遺産の放棄をすることで、停止の対象となるリスクがあります。

遺言書が作成されており、自分に相続財産を遺さないという内容の場合でも子どもなど遺留分がある場合は、遺留分侵害を主張すれば、遺留分に相当する金額の財産を受け取ることができます。遺留分を侵害されていても、内容を受け入れるかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。

相続に関連する手続きに負担がある場合は専門家に相談を

相続が開始すると、あらゆる手続きを行う必要があります。戸籍の収集や銀行の名義変更や法務局での土地・建物の登記が必要です。知識がなく不動産の登記をすることが難しい場合は司法書士に依頼することも可能です。

また、遺産分割の協議で相続人間でトラブルになる可能性があります。話し合いでトラブルを解決できない場合は弁護士を交えて話し合いが必要となる可能性があります。また、弁護士を交えての話し合いを行なっても解決できない場合は家庭裁判所で調停・審判を行う必要があります。

また、亡くなった時点のプラスの財産からマイナスの財産を控除して評価額の合計が基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超える場合、財産を受け取った者は相続税の申告が必要です。相続税の申告は原則、被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内に申告書の提出と納税を完了させる必要があります。相続税の計算方法は国税庁のサイトに掲載されていますが、税金の計算は複雑で簡単なものではありません。まずは財産を一覧の表にまとめて基礎控除を超えるかどうか確認するようにしましょう。

遺族となり相続関連の手続き等で不安な点がある場合は、費用はかかりますが、専門家に支援を依頼して手続きを進めることをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは相続に関連する業務の経験が豊富な税理士が多数在籍しており、安心してご依頼いただけます。初回のご相談は無料で対応しておりますので、お電話やメール等でお気軽にご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい