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孫を養子に入れると相続税対策になる?

2025年02月09日

相続税対策の一環として、祖父母が孫を養子縁組し、法律上は親子関係になっているケースがあります。孫を養子に入れるという方法はどのようなメリットがあるのでしょうか。

当記事では養子縁組を行うメリットだけでなくデメリットについてもポイントをおさえて解説します。

孫を養子に入れるメリット

孫を養子に入れるという方法はどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認してみましょう。

基礎控除が増える

孫を養子に入れ、法律上の子供が増えることで、基礎控除も増えます。基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で、財産の総額が基礎控除以下であれば、相続税の申告は必要ありません。

また、基礎控除を超える場合でも、基礎控除を差し引いたうえで税額の計算を行うため、相続人が増えることで節税となります。民法上の制度としては養子縁組に人数制限はありませんが、相続税法上は実子がいる場合、養子として法定相続人にカウントできるのは1人まで、実子がいない場合は2人までと制限があります。

また、生命保険や死亡退職金の非課税枠も養子縁組で子供が増えることで増やすことができます。生命保険と死亡退職金の非課税枠はいずれも法定相続人×500万円で計算をおこないます。

ただし、節税のみが目的となる養子縁組は家庭裁判所で否認される可能性があります。

代飛ばしで孫にも財産を遺すことができる

代々引き継いでいる不動産や事業承継している事業がある場合、子供に残し、孫に遺すとなると同じ資産に対して2回相続税がかかってしまいます。引き継ぐ孫が決まっているのであれば、直接遺す方が相続税は低く抑えることができます。

孫を養子にする際の注意点

孫を養子にする際はどのような点に注意をすれば良いのでしょうか。デメリットについても十分に理解してから進める必要があるため、具体的に確認しておきましょう。

配分でトラブルになることがある

孫を養子にし、法律上は子供となることで、相続開始後に遺産分割の協議の際にトラブルになることがあります。本来孫は相続人ではないにもかかわらず、養子縁組となって両親の相続財産を多く取得することが感情的に納得がいかず認められない人もいるでしょう。特に東京などアクセスが良い場所は住宅の価値が高く、法定相続分通りに財産をわけにくい場合は、トラブルになる可能性が高いです。最悪のケースでは親族同士が争いとなり弁護士を交えて話し合いとなり、長期化するケースもあります。

亡くなってから相続人同士で話し合いを行っても解決することが難しい事例も多いので、遺言書を作成し、誰に何をいくら遺すのか、遺産配分の方針を明確にしておくことをおすすめします。ただし子どもには遺留分がありますので、遺留分を侵害する内容の遺言を作成しても遺留分相当額を請求されれば遺言通りに分けることができません。遺留分にも配慮して配分を決定するようにしましょう。

2割加算の対象

相続税には配偶者、一親等以外の親族が遺贈等により財産を取得した場合は税額が2割加算になるという制度があります。子どもが死亡したことで代襲相続で孫が相続する場合は2割加算の対象とはなりませんが、養子縁組によって相続人となったケースでは2割加算の対象となります。

相続人の数が増えることで基礎控除や生命保険の非課税枠が増えても2割加算で課税されることによって実際に支払う金額が増加する可能性もあります。養子縁組をすれば必ず有利になるとは限りませんので、どちらが有利かは事前にしっかりと計算を行う必要があるでしょう。

若いうちに多額の資金を手に入れることになる

孫を養子にし、祖父母から財産を受け取ることで、基礎控除が増えるなどの節税効果はありますが、孫は若いうちに多額の現金を手に入れることになります。

お金を有効に活用する方法がわからないうちに多額の資金を手に入れることで、心配事が増えることもあるかもしれません。未成年者のうちは親が管理することができますが、成人した後は自分自身の判断でお金を使うことができますので、財産管理の面で問題になることがあります。

相続対策は税理士に相談を

今回は養子縁組について解説しましたが、相続税対策の方法は生前贈与など他の方法もありますので、自分や家族に最適な方法を選択することが重要です。相続税対策は時間がかかることも多く、可能な限り早めに準備を始めることが重要です。

まずは預貯金、株式、土地・建物、金など課税対象となる財産を一覧にまとめて相続税のシミュレーションを行うのがいいでしょう。仮にその時に相続が発生したら、どれくらいの税率で、どれくらいの税金がかかるのかを把握することで、どのような対策を行うべきなのか、具体的に検討することができます。

また、相続により財産を受け取った者は被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内に税務署で相続税の申告と納税を完了させる必要があります。相続税の計算は複雑で特例等も考慮して計算することは簡単ではありません。金融機関の名義変更や不動産の登記などもあり、忙しくて時間が取れないことも多いでしょう。

もし誤った申告をした場合、税務調査で指摘される可能性もあります。不安がある場合は税理士に依頼することで、書類の作成なども安心して手続きができるでしょう。ただし、税理士にも専門分野がありますので、相続を中心に取り扱っており、実績のある税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼することが重要です。

広島相続税相談テラスでは相続に関するさまざまなお悩みを解決することができます。初回の相談は無料で対応しておりますので、相続対策において不明点がある場合はメールや電話などでお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい