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二次相続の有効な対策とは?税理士がわかりやすく解説!

2025年04月06日

相続において一次相続と二次相続という言葉があることをご存知でしょうか。通常相続が発生し財産を分ける時に相続税や遺産分割の問題がありますが、事前に対策をしておくことで相続人の負担を大きく減らすことができます。

一次相続と二次相続で分けて検討した方が有効な対策を打つことができます。当記事では一次相続と二次相続の違いと主に二次相続に向けた対策についてポイントをおさえて解説します。

一次相続・二次相続とは

一次相続とは一般的に夫婦のうちどちらか一方が先に亡くなったタイミングの相続のことを指します。例えば、夫婦と子どもが二人いる家族では夫が死亡した時点を一次相続、その後妻が死亡したタイミングを二次相続と言います。

一次相続では相続人は配偶者、子二人の3人ですが、二次相続の相続人は子2人のみとなります。一次相続と二次相続は短い間で起こる可能性もあり、トータルで考える必要があります。

二次相続の問題点

二次相続は一次相続に比べても多くの問題が発生します。どのような問題が発生するのか具体的に確認しておきましょう。

相続税が高くなる傾向がある

二次相続では一次相続よりも相続税が高くなり、相続人の負担が大きくなる傾向があります。その理由の一つが一次相続よりも相続開始時の相続人が1人減ることです。相続人の数が減っていると基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)や生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)を使える人数が減ってしまっているため、相続税が高くなります。

パートナーである配偶者が相続する際に利用できる配偶者控除は子どもが相続する際は利用できません。配偶者控除は法定相続割合または1億6,000万円までは非課税で相続できる制度で、配偶者が相続する際の負担を大きく軽減することができ、配偶者が財産を受ける場合は相続税の金額が0になることも多くあります。

また、子どもが親と同居しておらず、持ち家を保有している場合は自宅不動産を相続する際に土地の評価額を減額できる小規模宅地の特例が使えないケースもあります。小規模宅地の特例もメリットが大きい制度ですので、使えなくなる場合は注意が必要です。

二次相続の時には適用できない特例も多く、負担が増えるということは覚えておいた方がよいでしょう。

配分で揉めることも多い

二次相続では財産の配分でも揉めるケースが少なくありません。父が亡くなった時に母が財産を活用することは異論はない人が多いですが、兄弟・姉妹が相続するとなると納得がいかないという意見が出るケースも多くあります。

二次相続で有効な対策

二次相続を見据えてどのような対策を打てばよいのでしょうか。二次相続の注意点もふまえた対策について解説します。

二次相続もふまえた相続税対策をしておく

二次相続の対策を検討する際は二次相続もふまえて相続税対策を検討する必要があります。まずは夫婦がそれぞれで保有する預金、株式、土地・建物、金など課税対象となる財産や借金などの債務をまとめ、一覧の表にし、評価額を確認するとよいでしょう。

例えば、夫の財産と妻の財産がそれぞれ基礎控除の範囲内であったとしても、相続により二人の財産が加算されることによって課税の対象となる財産の総額が基礎控除を超えることになり、相続税がかかる可能性もあります。また、それぞれが財産を多く持っていた場合、所有していた財産が合計されることで高い税率で税金が課される場合もあります。そのため、どちらかが先に亡くなった場合、もう一方が財産を受けることも想定して二次相続の対策を行う必要があります。

一次相続と二次相続の税額のシミュレーションを行い、子どもにかかる負担が大きい場合は暦年贈与の贈与税の基礎控除の範囲内である年間110万円ずつ、毎年、子供や孫に生前贈与を行う、生命保険に加入している場合は保険金受取人を子どもにしておくなど、相続が発生する前であれば、十分に対策を検討することができます。二次相続も含めて考えると自身の資金を配偶者ではなく、下の世代に贈与をする方がいいでしょう。

また、配偶者控除が利用できるため、一次相続の税金は大幅に低くできるものの、配偶者が多くの財産を相続することでかえって税負担が大きくなるなどデメリットもふまえて検討していただく必要があるでしょう。場合によっては一次相続では配偶者は相続放棄をし、子どもが財産を相続することで税負担を減らすことができる場合もあります。

二次相続もふまえた遺言書を作成しておく

相続税だけじゃなく、遺産分割の方法も二次相続を踏まえた遺言書を作成しておくことも重要です。遺言を作成しておくことで相続人同士で協議をする必要がないため、相続人の負担を減らすことができます。

相続税の観点では、全ての相続財産を配偶者に相続させることで一次相続では配偶者控除を利用して税金を抑えることができても二次相続も含めて計算をするとかえって納税額が高くなってしまう場合もあります。

また、配分という点では配偶者に自宅不動産を遺すという遺言を書いていても、配偶者が先に亡くなっていた場合、子が複数いるケースでは最終的に誰に取得させたかったのかがわかりません。遺言の制度を活用するのであれば、配偶者の相続発生前であっても、配偶者がもし亡くなっていたらどう分けるということまで書いておいた方がよいでしょう。東京などアクセスの良い場所に自宅等の不動産がある場合、自宅を誰が相続するかで配分に大きな違いができます。法定相続分どおりに公平に分けるために所有権を2分の1ずつ保有するなど共有という方法もありますが、共有にすることで処分や活用する際に共有者全員で合意する必要があります。

二次相続もふまえた遺言書を作成することで、二次相続もトータルで納税する額を減らし、節税にもつながりますし、遺産相続でトラブルになる可能性を減らすことができ、スムーズに手続きを進められます。税制改正により将来、課税の制度が変わってしまう可能性もありますので、現時点では条件を満たすかどうかはわかりませんが、後で遺言を書き換えることもできますので、現制度でまずは考えることが大切です。

不安な場合は税理士に相談を

二次相続をふまえた対策について解説しましたが、実際に特例の利用可否や遺産の評価について理解し、相続人の負担を軽減できる方法を知識のない一般の人が生前に検討することは簡単でありません。国税庁のホームページに制度の内容は掲載されていますが、内容は非常に複雑ですので、自分で検討することが難しい場合は専門家に相談し、サポートを受けるようにしましょう。

また、相続により資産を取得した者は原則、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内と短い期間で申告書を税務署に提出する必要がありますので早めに書類の準備をする必要があります。相続税の申告についても費用はかかりますが、期限も短いです。また、誤った申告をした場合は税務署から税務調査で指摘され、加算税を請求される可能性がありますので、正確に申告をするために税務の専門家である税理士に任せて手続きを行った方が安心です。

広島相続税相談テラスでは相続に関連する業務について実績豊富な税理士が多数在籍しており相続発生前の相続税の相談や相続発生後の相続税の申告などあらゆるお悩みの解決が可能です。初回の相談は無料で対応しております。必要に応じて弁護士や司法書士などの紹介もしておりますので、お気軽にお電話やメール等でご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい