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名義保険と相続税|誰の財産になるのか?課税関係をわかりやすく解説

2025年12月31日

目次

名義保険とは何か

名義保険とは、保険契約上の名義(契約者)と、実際に保険料を負担している人が異なる生命保険のことを指します。
多くの場合、「節税になると思って」「家族名義にしておいた方が安心だと思って」契約されていますが、相続税の場面では問題になることが少なくありません。

名義保険の基本的な仕組み

生命保険には、

  • 契約者(保険料を支払う人)

  • 被保険者(保険の対象となる人)

  • 受取人(保険金を受け取る人)

という3つの立場があります。

名義保険では、形式上の契約者と、実際の保険料負担者が一致していないことが最大の特徴です。

よくある名義保険のパターン

  • 親が保険料を支払っているが、契約者は子名義

  • 夫が保険料を支払っているが、妻名義で契約している

  • 契約者を子にしておけば相続税がかからないと思っている

これらはいずれも、典型的な名義保険の例です。

相続税は「名義」ではなく「実質」で判断される

相続税では、「誰の名義か」よりも、実質的に誰が保険料を支払っているのかが重視されます。

これは、他の人の名義を借りて銀行預金を行う名義預金と同様に、形式だけで課税関係を決めてしまうと、簡単に相続税を回避できてしまうためです。

相続税における相続財産とみなされるものは

実質的に被相続人の財産として相続税にみなされるものは、

  • 名義人以外の人の誰が資金を出して

  • 名義人以外の人の意思で管理・運用され

  • 名義人が自由に処分できたか

という観点から判断される財産を指します。

生命保険であっても、この考え方は変わりません。

税務署が重視する3つのポイント

税務署は、名義保険について主に次の点を確認します。

  1. 保険料を誰が負担していたか

  2. 保険契約の管理・変更を誰が行っていたか

  3. 解約返戻金や保険金を実質的に支配していたのは誰か

この3点が被相続人に帰属すると判断されると、相続財産として扱われる可能性が高くなります。

名義保険は誰の相続財産になるのか

名義保険が相続財産になるかどうかは、保険料負担者が誰かによって大きく左右されます。

契約者・被保険者・受取人の関係整理

名義が誰であっても、
「保険料を出した人=実質的な財産の所有者」
と判断されるのが原則です。

保険料負担者が被相続人だった場合

被相続人が保険料を支払っていた場合、
たとえ契約者や受取人が子や配偶者であっても、
その保険は被相続人の相続財産と判断される可能性があります。

保険料負担者が別人だった場合

一方で、契約者本人が自分の資金から保険料を支払っていた場合は、
名義保険とはならず、相続財産に含まれないことが一般的です。

贈与とみなされる可能性があるケース

保険料を被相続人が負担していた場合、
相続税ではなく生前贈与として扱われるケースもあります。

ただし、贈与として認められるためには、

  • 贈与の意思

  • 受贈者の認識

が必要です。贈与契約は口頭でも成立しますが、できれば書面で残しておいた方がよいでしょう。

名義保険に相続税がかかる典型的なケース

名義保険が相続税の対象となるのは、決して珍しいことではありません。

子名義でも相続財産とされるケース

「子名義だから大丈夫」と思っていても、保険料を親が負担していれば、相続財産と判断される可能性が高いです。

節税目的と判断されやすいケース

  • 相続直前に名義を変更している

  • 被相続人が契約の管理をしている

  • 子が保険の内容を知らず、管理できる立場にない

このような場合、節税目的の名義借りと判断されやすくなります。

税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査では、所得税や固定資産税などの納税状況から、正しく税金を納めていない可能性が高いと思われる人の調査を行い、調査官が詳しく調べます。

  • 通帳の入出金

  • 保険会社からの通知先

  • 契約変更の履歴

などが細かく確認されます。

名義保険に相続税がかからないケース

すべての名義保険が問題になるわけではありません。相続税がかからないケースも確認していきましょう。

保険料を契約者本人が負担していた場合

契約者本人が自分の収入や資産から保険料を支払っていれば、契約者は問題なく、被相続人となります。保険は原則として相続財産には含まれません。ただし、死亡保険金はみなし相続財産となりますので注意しましょう。

贈与が適切に行われていたと認められる場合

毎年の保険料相当額について、

  • 贈与契約が明確

  • 贈与税の申告をしている

といった場合には、贈与として認められる余地があります。贈与については贈与をする側と受贈者双方の意思が必要です。

相続税非課税枠が使える場合の注意点

生命保険には非課税枠がありますが、
名義保険の場合、非課税枠が使えないことも多い点に注意が必要です。

名義保険と生命保険の非課税枠の関係

名義保険と生命保険の非課税枠の関係についてみていきましょう。

生命保険の非課税枠の基本

生命保険の死亡保険金には非課税枠があります。

生命保険の非課税枠は、「500万円 × 法定相続人の数」という計算式で決まります。

名義保険では非課税枠が使えないケース

相続財産ではなく、贈与や一時所得と判断される場合には、非課税枠を使うことができません。

非課税枠が使えるかどうかの判断基準

被相続人が契約者であり、保険金を相続人が受け取る場合に限って、
非課税枠が適用されるます。そのため、名義保険の場合は非課税枠を利用することはできません。

名義保険と名義預金の共通点と異なる点

名義保険と名義預金はどのような共通点と異なる点があるのでしょうか。

共通する「実質課税」の考え方

名義預金と名義保険は、いずれも実質課税の原則で判断される点が共通しています。実質課税の原則とは、表面上の名義人だけでなく、実質的に支配している者を財産の所有者として課税を行うということです。

名義預金との違いで注意すべき点

生命保険は、

  • 契約形態が複雑

  • 非課税枠がある

という点で、預金よりも判断が難しいのが特徴です。

預金は通帳や印鑑などの管理を被相続人が行っており、名義預金と判断されるケースが多いですが、保険について支払われる保険自体は名義人の口座から引き落とされ、そのお金を親等から送られているケースが多いです。

このようなケースでは誰が管理しているかがわかりにくく、権利関係が複雑になります。

保険特有のリスクとは

保険は長期間にわたるため、契約自体を忘れてしまっていた契約や一時的に援助するつもりがついつい長くなってしまった際、相続時に大きなリスクになることがあります。

相続前に確認しておくべきチェックポイント

相続前に確認しておくべきチェックポイントを確認しておきましょう。

保険料の支払い方法を確認する

誰の口座から、どのように保険料が支払われているかは、最優先で確認すべきポイントです。保険料を支払っている人が異なると、名義保険となってしまいます。

契約内容・名義関係を整理する

契約者・被保険者・受取人を一覧にし、実態と合っているかを確認しましょう。実態と会っていない場合は名義保険となる可能性がありますので、解消しておくようにしましょう。

生前対策として検討すべき選択肢

  • 契約内容の見直し

  • 贈与の明確化

  • 専門家への事前相談

が有効です。まずは現状を把握し、贈与とするのであれば贈与の意思を明確にしておきましょう。相続税の課税関係については税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

名義保険と相続税で不安がある場合は専門家へ相談を

名義保険や相続税について不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

自己判断が危険な理由

名義保険は、
「大丈夫だと思っていた」が一番危険な分野です。思わぬところで、名義保険と判断され、相続税の申告漏れにつながるリスクがあります。

専門家に相談するメリット

相続に詳しい税理士など専門家に相談することで、税務・法務の両面から確認でき、後から否認されるリスクを大きく下げることができます。

早めの相談が相続トラブルを防ぐ

相続が発生してからでは、選択肢は大きく制限されます。
早めの相談が、家族と財産を守る最善の方法です。相続が発生する前に相談し、家族に負担をかけないようにしましょう。

広島相続税相談テラスでは初回の相談無料で皆様のお悩みを解決しております。相続税の申告や相続税対策で不安がある場合はぜひお気軽にご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい