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借地に立てた家は相続放棄できる?手続きの流れや注意点を解説

2026年05月08日

借地に立てた家に相続が発生した場合「相続放棄できるのか」「地主との関係はどうなるのか」と悩む方は少なくありません。

特に、空き家状態になっている場合や地代の支払いが続いている場合は、早めに対応しなければトラブルへ発展する可能性があります。

結論から言うと、借地に立てた家でも相続放棄は可能です。

ただし、借地権や借地に建てた建物の扱い、地主との関係、相続人同士の話し合い、相続放棄後の管理責任など、通常の不動産相続とは異なる注意点があります。

本記事では、借地に立てた家を相続放棄する際の注意点や放置リスク、具体的な手続きの流れを詳しく解説します。

借地に立てた家でも相続放棄は可能

借地に立てた家であっても、相続放棄は可能です。

借地とは、文字通り借りた土地のことであり、借地権とは借りた土地に建物を建てる権利です。

また、借地権は、借地人が死亡しただけでは消滅することはありません。

借地権付き建物も相続財産に含まれます。

そのため、相続放棄をしたい場合は家庭裁判所での相続放棄の手続きが必要です。

収入印紙、戸籍取得費などの費用はかかりますが、借地であっても自動的に地主へ返還されることはないため、放置するとトラブルに発展する恐れもあります。

相続放棄を行うと、借地権や建物を含めた相続財産を原則として引き継ぎません。

そのため、使う予定のない不動産の場合、地代の負担などが軽減できる等のメリットがあります。

ただし、借地権を利用して建てた物件の管理責任は放棄できないケースもあるため、事前の確認や弁護士や司法書士などの専門家へ相談しておくと安心です。

借地に立てた家を相続放棄する場合の注意点

借地に立てた家を相続放棄する場合は、通常の相続放棄よりも注意すべき点があります。

特に、建物の扱いや地主との話し合いは、専門家にもサポートを受けながら進めたほうがよいケースが多いでしょう。

ここでは、借地に立てた家を相続放棄する際の主な注意点をご紹介します。

相続放棄後も管理義務が残る場合がある

相続放棄をしても、空き家を放置できないケースは珍しくありません。

借地の場合、建物は被相続人名義であり、相続財産を現に占有している場合は、次の管理者へ引き渡されるまで保存義務を負うケースがあります。

建物は、相続を放棄したからといって所有権が土地主に移りません。
そのため、建物が老朽化している場合などは、倒壊や外壁落下などによって近隣へ損害を与えないように適切な管理を求められることもあるでしょう。

相続放棄をする場合、所有権の移行や管理義務について地主と話し合っておくことが大切です。

建物を勝手に解体すると単純承認と判断される可能性がある

借地に立てた家を相続放棄する前に、勝手に解体して更地にすると放棄が認められない場合があります。

相続財産を処分したと判断されると「単純承認」とみなされる可能性があり、借地権や借金を含めて相続を承認した扱いになるため注意が必要です。

また、大幅なリフォームや不動産としての売却、第三者への賃貸などを行った場合も、単純承認と認められる可能性があります。

建物が古く、解体やリフォームが必要だったとしても自己判断で進めず、必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家へ相談しましょう。

相続放棄は3ヶ月の期限がある

相続放棄には民法によって定められた期限があります。

原則として、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てを行わなければなりません。

この期間を「熟慮期間」と呼びます。

なお、相続が発生した日からではありません。例えば、長年連絡を取っていなかった被相続者の場合、相続が発生したことを相続者たちがしばらく経ってから知るケースもあります。
その場合は、相続が発生したことを知った日から3ヶ月が期限です。

期限を過ぎると、自動的に相続を承認したとみなされる可能性があります。そのため、借地に立てた家の扱いに悩んでいる場合は、早めに相続人同士で話し合いを行い、実家の処遇を決めることが大切です。

地主との詳しい話し合いが必要になる

相続放棄後に建物が残る場合、地主側も対応に困る場合があります。借地は建物と土地の名義が異なっているため、両方の同意がなければ原則として土地と建物をセットで売却できません。

そのため、地主と話し合い、借地権や建物の管理、売却方法などを決めておかないと、後で相続人同士や地主とのトラブルへ発展する恐れがあります。

建物を残すのであれば、地主に買い取ってもらう、土地だけを活用したい場合は、取り壊しをしたうえで土地だけを返却するなど、希望によって建物の処遇は異なります。
十分に時間を取って、相談することが大切です。

また、借地契約の内容によっては、契約解除や建物収去に関する条件が定められていることもあるため、 まずは契約内容を確認しましょう。

借地に立てた家を相続放棄する流れ

借地に立てた家を相続放棄する場合は、状況を整理しながら慎重に進める必要があります。
ここでは、基本的な相続放棄の流れを紹介します。

財産状況を確認する

まずは、借地契約や相続財産、不動産としての価値を確認しましょう。

特に確認したいポイントは以下の通りです。

  • 借地契約書の有無
  • 建物の価値
  • 地代の額と買取希望金額(ある場合)
  • 物件の名義や利用方法

十分に状況がわからないまま相続放棄をすると、デメリットが大きくなる恐れがあります。
他の相続者たちとも話し合いが必要です。

家庭裁判所で相続放棄を申し立てる

相続放棄を行う場合は、家庭裁判所へ以下のような書類を揃え、申述を行います。

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 申述人の戸籍謄本
  • 住民票除票など

必要書類はケースによって異なるため、事前確認が重要です。

必要に応じて専門家へ相談する

借地に立てた家の相続放棄は、通常の不動産相続より複雑になることがあります。
特に、以下のようなケースは専門家への相談がおすすめです。

  • 地主との交渉が難航している
  • 物件の価格・引き渡し時期などでもめている
  • 解体か売却か第三者に判断してほしい
  • 税金などで困っている
  • 相続人同士で揉めている

弁護士や司法書士へ相談することで、状況に応じた対応方法を確認できます。

借地に立てた家の相続放棄で悩んだら税理士に相談を

借地に立てた家でも相続放棄は可能です。 しかし、借地権や建物、地主との関係など、通常の相続よりも注意点が多くあります。
特に、相続放棄後も管理責任が残る場合がある点や、建物を勝手に解体すると単純承認と判断される可能性がある点には注意が必要です。

相続放棄をするかどうかで悩んでいる場合は、税務の専門家である税理士が所属する税理士事務所・税理士法人に相談することをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは相続税法に詳しい、実績のある税理士が多数在籍しており、相続発生前のシミュレーションや、将来遺産相続が発生した後の申告手続きや書類の作成をサポートしており、初回相談は無料で対応しておりますので、安心してご相談いただけます。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい