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相続税の税率詳細や計算方法、最高税率の推移をチェック

2021年10月21日

親などが亡くなり、相続をすることになった際に、一般的に考えなければならないのが、相続税に関することです。しかし、相続をすることになったけれど相続税がどれ位かかるのか、何パーセントになるのか分からないとなると、悩んでしまいます。通常、相続について数多く経験するものではありませんので、実際にどれくらい課税される制度になっているかわからないという人も多いでしょう。

そこで「相続税の税率について知りたい」と考えている方のために、税率や最高税率がいくらなのかについて解説します。この記事を読むことによって計算する上で注意すべきポイントなども解説しますので参考にしてください。

相続税の税率はどれくらい?

相続税は累進課税となっており、相続発生時点の財産によって一定の税率にかけ合わせて計算を行います。税率は、法定相続人が取得する遺産の額によって変わります詳細については、以下の速算表を確認してみてください。どれくらい遺産を相続するかによって適用される相続税が何パーセントか変わってきます。

法定相続分に応ずる
取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

まずは現金、預貯金、株式、不動産など相続する財産を特定する必要があります。

相続する遺産の金額を法定相続割合で相続したと仮定して、表の税率を掛け、控除額を引いた金額が相続税です。まずは総額を計算してから、協議の結果、取得する財産の割合に応じて相続税を支払います。

早見表の通り、1人が相続する金額に応じて税率が決まりますので、同じ財産でも民法で定められた法定相続人の数が多い方が各人の税率も低くなります。

また、相続税には3,000万円+法定相続人×600万円の基礎控除がありますので、債務を差し引いたプラスの財産の合計が基礎控除を超えなければ、相続税がかかることはありません。例えば法定相続人が2人であれば4,200万円まで、3人であれば、4,800万円までは非課税となります。財産が基礎控除を超える場合も基礎控除を差し引いた後で税率をかけることになります。

また配偶者であれば、1億6,000万円または法定相続割合までは非課税となる配偶者控除が利用できますし、自宅用の不動産であれば、土地の評価が330㎡まで80%減になる小規模宅地の特例を利用することができます。また、生命保険であれば、法定相続人×500万円まで非課税の枠があります。

配偶者控除や小規模宅地の特例以外にも、子供が障害者や未成年者など相続人の状況や相続財産の種類に応じて特例や控除が使えるケースがありますので、税金の負担を減らすことができるように、特例を漏れなく利用する必要があります。

一方で兄弟姉妹が相続する場合や相続人以外の人が遺贈を受けた場合は2割加算になりますので、こちらも注意が必要です。

最高税率の推移の歴史

2021年10月現在、最高税率は6億超に対して発生する55%です。

ですが、相続税については大きな税制改正が何度もあり、税率も変更されていますので、過去には非常に最高税率が高かった時代があります。

1950年の最高税率は何と90%でした。これは戦後、財閥解体などを目的として引き上げられた様です。その後、税率が高すぎるという理由で75%から70%と引き下げられ、2003年に行われた改正では戦後最低水準となる50%まで下がっています。その後、2015年に再度改正が行われ、現在と同じである55%へ引き上げられました。

遺産1億円に対する相続税率はいくら?

遺産が1億円だった場合の相続税率は30%です。ここで勘違いしてはいけないのが、遺産が「1億円で相続税率が30%=相続税3,000万円」ではない点です。遺産総額が1億円あったとしてもそれを相続する法定相続人が複数にいれば、その人数分で按分し、遺産を割らなければなりませんので一人で相続するよりも税率は低くなります。さらに、基礎控除などを差し引いて計算するため、それを引いたうえで法定相続分に応ずる各人の取得金額を計算しますので、算出することは簡単ではありません。この金額に対して税率を掛けた金額が相続税です。

遺産額に単純に相続税率を掛けて計算するわけではないので、注意が必要です。

まずは課税対象となる財産の資料を確認し、資産を一覧にして家族で配分を決めるとよいでしょう。配分を決めないと各人がそれぞれ納税する額を算出することはできません。

課税対象の財産の評価や計算方法が間違っていると税務調査で指摘される可能性がありますので、注意が必要です。

計算は注意が必要

いかがでしたでしょうか?今回は、相続税のどのように計算するのかについてご紹介しました。遺産に対する相続税率を求めるのは難しくありません。しかし、納める税額がいくらになるかを正しく把握する為には遺産の評価など複雑です。特に土地・建物など評価が難しい財産が多い場合は注意が必要です。

相続税は所得税のように毎年申告するものではありませんので、慣れていないのは当然です。

各種財産の課税価格の算定や相続税の計算を自分で行って、申告の対応をすることが難しい時は税の専門家である税理士に相談しましょう。税理士にも専門分野がありますので、相続税や相続税に関係がある贈与税を普段から業務として行っている税理士に相談したほうが間違いないといえるでしょう。

また、相続税は被相続人の死亡から10ヶ月以内に税務署での申告手続きと納税を完了させる必要があります。期限も短く、相続開始後は亡くなった人が取引をしていた銀行の手続きや不動産の登記等、さまざまな手続きを同時進行で進める必要がありますので、相続人の代表として、手続きをする必要がある場合は、早めに税理士に相談するようにしましょう。

生前に準備をすることができるのであれば、遺言書の内容の相談や節税のシミュレーションを行うことも可能です。生命保険の非課税枠の活用や年間110万円の非課税枠の範囲で贈与をすると非常に効果的に相続税を減らすことができるので、対策を検討してみてもよいでしょう。相続税は今後改正される可能性もありますので、国税庁のホームページなどで、必ず最新の案内を確認するようにしましょう。

申告を依頼した場合は費用がかかりますが、特例や税額控除を適用し、結果的に納税額が減り、負担の軽減につながることもあります。初回の相談は無料で応じてくれる税理士も多いので、まずはお気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい