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贈与税を払わなくてよい?課税の繰り延べ制度とは

2023年01月26日

現金や株式、不動産を贈与した場合、原則贈与税が課されます。しかし、贈与税がその時点ではかからず課税が繰り延べされる制度もあります。当記事では課税の繰り延べ制度の概要や注意点などの基礎的な部分について解説します。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は祖父母などから子や孫に贈与をした際に2,500万円を限度に贈与税が課されずに相続時まで課税を繰り延べる制度で、財産移転の方法として活用されています。

2,500万円を超えた場合、一律20%の税率で相続税が課されます。相続税の課税対象となる財産は贈与時の価額で計上しますので、収益不動産等の収益を産む土地や建物や将来値上がりが期待できる株式などの資産を贈与することでこの制度を有効に活用することができます。なるべく価格が低い時期に贈与をすることで大きな効果が得られます。贈与時に税金を払う必要はありませんので、若い世代への資産移転に有効です。

毎年110万円までの金額であれば基礎控除で非課税になる暦年贈与とは選択制ですので併用することができません。現在の制度では相続時精算課税制度の適用を受ける場合は、受贈額が1円でも申告書を税務署に提出することになり、それ以降は暦年贈与を利用することはできませんので注意しましょう。また、納税が免除されるわけではなく、相続発生まで猶予される制度ですので、相続人にも相続の方針や将来に相続税がかかることを説明する必要があります。

なお、令和5年の税制改正大綱で、相続時精算課税制度にも110万円の基礎控除が設けられ、申告も不要であることが発表されており、改善して継続されることで利用しやすくなるでしょう。

事業承継税制

事業承継税制とは経営者が亡くなって後継者に株式を移転する際や、先に贈与をする際に、株価が高いと多額の税金をまとめて納付することで資金不足となり、負担が大きくなります。

中小企業の場合、税負担で円滑に会社を承継することができないケースも多くあります。親族や関係者へ円滑な事業承継を行い経営している法人を守りたい人向けに設けられた制度が事業承継税制です。

事業承継税制を活用することで、相続・贈与時の雇用80%以上を維持するなど一定の要件を満たすと自社株式の相続税・贈与税が80%または100%納税猶予されます。制度は複雑でさまざまな書類を作成する必要がありますが、相続人に事業を残すために、有効な制度です。

状況によっては制度を使うことで結果的に会社を救うことができる場合もあるでしょう。この制度を使う場合、税務署に届出をする必要があります。

相続や贈与の申告手続きは税理士に相談

相続時精算課税や事業承継税制は相続税対策としても有効な手段です。しかし、制度を利用する場合、複雑な申告手続きを行い税務署に申告を行う必要があります。慣れていない人や知識がない人にとって、財産の評価額を確認することも簡単なものではないでしょう。

この特例を利用する場合、利用する前に税理士に相談するようにしましょう。制度や特例を利用する際は利用の可否や使うべきか否か判断する必要があります。

税理士に申告をお願いする場合は費用がかかりますが、申告書の作成や税金の計算、節税対策についてサポートしてくれます。特に相続は突然起こりますし、相続発生から10ヶ月以内と短い期間で、国税庁が定めた方法で全ての財産を評価し、一覧の表にして申告を行う必要がありますので、自分で行う事が難しい場合は税理士に依頼する方がよいでしょう。場合によっては悩むを解決することができるかもしれません。

ただし、税理士事務所によって得意分野が異なりますので、相続・贈与に強い税理士に依頼するようにしましょう。無料相談を行っている税理士事務所もありますので、気軽に相談してみましょう。

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注1]参照:国税庁:No.4158 配偶者の税額の軽減
[注2]参照:国税庁:No.4205 相続税の申告と納税
[注3]参照:国税庁:財産を相続したとき

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい