家族が亡くなると、財産の相続手続きを行う必要があります。ほとんどの人が銀行などに預金を預けたまま亡くなります。当記事では銀行預金の相続手続きについて解説します。
預金は相続税の対象
銀行の預金は言うまでもなく、相続税の対象となります。相続税の申告をする際は財産として記載する必要があります。相続税上の評価については、普通預金は元本金額となります。
一方、定期預金は経過利息も含めた金額が相続税の課税対象金額となります。税務署に提出する際には経過利息を含めた金額を証明する評価証明書を発行してもらう必要があります。
ただし、不動産や株式など含めた財産の合計から債務などマイナスの財産を差し引いた金額が基礎控除の範囲内であれば、相続税の申告は必要ありません。基礎控除の計算は下記の通りです。
3,000万円+法定相続人×600万円
基礎控除を少しでも超える場合は相続税がかかります。相続税がかかる場合は、相続発生から10ヶ月以内に申告手続きを行う必要がありますので、相続が発生した場合、土地・建物など不動産の評価や銀行の預金残高、有価証券の評価額を確認のうえ、財産の一覧を作成し、財産の総額が基礎控除を超えるかどうか把握するようにしましょう。
預貯金の相続の流れ
銀行預金を相続する際は、遺言がない場合、相続人で協議のうえ遺産分割協議書を作成するか、金融機関所定の用紙に記入して提出する必要があります。各相続人がそれぞれで法定相続分をすぐに引き出すことができるわけではありませんので注意しましょう。
金融機関の書類を提出する際は、法定相続人を証明するための戸籍謄本もあわせて提出する必要があります。金融機関によって提出する書類が異なります。多くの金融機関で取引をしていた場合、その分、時間がかかりますので、早めに着手するようにしましょう。
預金を相続する際の注意点
預金を相続する際の注意点について解説していきます。
ネット銀行は見落としがち
ネット銀行は通帳がなく、金融機関からの郵送もないなど、口座があることがわかる情報が少ないため、相続人が預金があることを発見できないケースが多くあります。ネット銀行での取引履歴はメールやインターネットのお気に入り、スマホのアプリなどで確認していきましょう。
金融機関の数が多い場合は見落としてしまうケースが多いので特に注意が必要です。
タンス預金は相続税対策にはならない
税務署から財産を隠すために、自宅のタンス等に現金を保管する、いわゆるタンス預金で相続対策をしようと考えている人もいます。しかし、タンス預金は悪質な税金逃れのための資産隠しとして税務調査で指摘される可能性がありますし、状況によっては税金を軽減できる節税ではなく、脱税となり犯罪となってしまいます。金や高価な貴金属類など現物資産も含めて、家の中に財産的に価値のあるものが存在し、申告漏れとなった場合、相続税の対象財産として加算されるだけでなく、故意に財産を隠すなど悪質な場合は重加算税として通常の税額よりもペナルティを課され、多額の納税が必要となる可能性もあります。
タンスに置いていてもばれないだろうと思っている方も多いと思いますが、税務署は銀行の入出金記録を確認するなど、さまざまな方法で、亡くなった方の財産について明確になるまで調査します。過去に相続した財産が多い人や収入が多い人は特に徹底的に調べられやすく、見つかる可能性も高いので漏れが無いように申告しましょう。
名義預金は相続税の対象となる可能性がある
名義預金とは子どもや孫の名義で預金をしているものの、通帳や印鑑は祖父母や親が管理しており、実質的に名義人の預金となっていない預金のことです。
相続税対策のために生前贈与を行っているものの、生前に子や孫などに使わせたくないなどで多いケースですが、贈与を受けた者が口座を使える状態にしておかないと、贈与は成立していないと判断されるケースがあります。
贈与の額が年間110万円以内であれば、贈与税の基礎控除の範囲内ですので、贈与税を納付する必要はありません。
しかし、名義預金と判定された時は相続税の課税対象となりますので、相続税として納めることになります。実際に名義預金と判定されると相続税の対象として課税され、贈与の制度を活用するメリットがなくなってしまいますので、贈与を行った際は贈与を受ける名義人に通帳や印鑑を管理してもらい利用できる状態にしておきましょう。また、贈与契約を行ったことを証明するために、日付や金額など必要な事項を記載した贈与契約書などの書面を作成しておけばより確実です。
金融機関に連絡すると預金は凍結される
相続が発生したことを金融機関に連絡すると、故人の預金は遺産分割を経て相続人に分けられる相続財産となります。死亡した人のお金を相続人のうち1人がお金を使ってしまったことが問題となり、相続人同士のトラブルを回避するため、預金の引き出しができないように、必ず凍結されますので預金通帳の名義変更が必要となります。
そのため、自動引き落としになっている場合でも、引き落としがされず後日請求書が送付されてきますので、延滞にならないように見落とさずに支払いを行うようにしましょう。
金融機関の手続きは1つずつ進める必要があり、手間もかかるため、配偶者でも基本的にすぐにお金を引き出すことはできませんので、葬儀や生活費など当面使うお金は確保しておく必要があります。
一方で生命保険は相続人固有に財産としてすぐに受け取ることができます。生命保険は非課税枠を活用し、節税にもつながりますので有効な相続対策の一つとなっています。
相続税のお悩みは税理士に相談を
上記のとおり相続が発生すると被相続人に関係の近い方が代表して相続税の申告手続きを行う必要があります。相続は人生で何度も経験するものではありませんので、知識がなく、手続きに慣れていないことは当然です。そのため、一般の方が制度を理解して手続きを進めることは簡単ではありません。
相続税がかかる場合は相続開始から10ヶ月以内と短い期間で、相続税の算定をお行い、手続きを完了させる必要があります。相続発生後はなにかと忙しく、あっという間に期限がきてしまいますので簡単なものではありません。国税庁のサイトに計算方法などは掲載されています。しかし、計算する際の税率などに間違いがある場合は税務調査で指摘される可能性もありますので、対応に不慣れで自分で行うことに不安がある方は税の専門家である税理士に依頼して申告手続きを進めることおすすめします。
もちろん税理士に依頼することで費用はかかりますが、小規模宅地の特例や夫や妻が財産を受け取る際に使える配偶者控除等、各種特例や控除も適切に適用して税額を少なくし、完全な状態で正しく申告手続きを進めることが可能です。
税理士の報酬は財産の内容や額によって決まることが多いです。金額が大きくなればなるほど、費用も高くなりますので、遺産をまとめて一覧の表にして持っていくとよいでしょう。財産の金額が分かれば、どの程度の費用となるかシミュレーションしてもらうことが可能です。期限に間に合わないと延滞税が課せられますので、税理士に依頼する場合も期限内に申告を完了させるために早めに相談することが大切です。
税務のプロである税理士にも専門分野がありますので、相続関連の手続きを専門的に扱っており、実績が豊富な税理士事務所・税理士法人に依頼することをおすすめします。まずは電話やメールで問合せをしてみるとよいでしょう。
広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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