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遺言書に記載のない財産の分割は?

2025年09月11日

相続対策として遺言を作成する人が増えています。しかし、遺言書を作成することに慣れていない人が作成した場合、遺言に形式的な不備があり無効になるケースや、内容に一部不明瞭な部分が残ってしまうケースもあります。

特に多いのが、遺言に記載のない財産があるケースです。遺言書にすべての財産が書かれておらず、記載漏れがある場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

当記事では遺言書に記載漏れがある場合の対処法について解説します。

遺言書に記載漏れのある財産でも有効

遺言書には必ずしもすべての財産が記載されている必要があるわけではありません。特定の不動産を相続する者を決めておきたい場合などは、あえてすべての財産を書かずに一部の財産のみ指定する内容とすることもあります。

遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、どちらの形式でも財産の記載漏れは生じる可能性があります。

遺言に記載のない財産がある場合の対応方法

遺言に記載のない財産がある場合は記載のある財産については遺言書のとおりに配分し、記載のない財産については、相続人全員で遺産分割の協議を行い、合意ができなければ財産を分けることができません。

財産の内容によっては大きな価値のある財産の記載が漏れるケースがありますので、トラブルになるケースもあります。特に預金など、簡単に分けて名義変更ができる財産であれば、問題が起こらないケースが多いですが、不動産など、分けにくい財産や田舎の土地など処分することが難しい財産が存在すると、誰が相続財産と引き継ぐかで話し合いをしても揉めるケースも多くあります。

遺産相続の手続きで忙しく、時間がない中で話し合いを行うことになりますので、争いにならないように民法で定められた法定相続分のとおりに取得した場合、共有となってしまい、その後の処分に困ることになるケースも多くあります。

記載漏れが無いように作成するための方法

遺言を作成する際に記載漏れがないようにするにはどのように対応をすればよいのでしょうか。具体的に紹介します。

財産の一覧を作成する

遺言書を作成する前に所有している預貯金や株式、不動産などを記載した正確な財産一覧を作成することが大切です。財産一覧を作成することで、財産の記載漏れを防ぐことができます。

専門家が遺言を作成する際は必ず財産を一覧にまとめた表を作成します。

財産一覧を作成する理由は、記載漏れを防ぐためだけではなく、相続人間で極端に不公平な割合になっていないかの確認や相続税がどれくらいかかるかを確認することもできます。

記載のない財産は誰に遺すかを決めておく

記載のない相続財産は誰に遺すかを決めておくことも可能です。例えば、本遺言に記載のない財産については長男に遺すという文言を記載することで、記載のない財産を特定せずに誰に遺すかを決めておくことができます。

親族の相続などで遺言書作成時にはなかった財産を保有している可能性もあります。遺言書の内容は変更することもできますが、認知症など健康上の理由で書き換えを行うことができないこともあるので、どのようなケースでも記載のない財産は誰に遺すかを決めておく方が良いでしょう。

遺言の作成にお困りの場合は専門家に相談を

生前に遺言を作成する時は、記載漏れ以外にも遺留分の侵害などあらゆるケースを想定して作らないと相続開始後に問題となる事例があります。遺言書に不備があると、実際に亡くなった後に相続人の負担が多くなってしまいますので、慎重に作成する必要があります。

しかし、知識が無い人が自分で書くべき文言を調べて明確な遺言を作成することは簡単ではありません。トラブルを防ぐためにも、書き方がわからない場合は、弁護士や司法書士、税理士など相続の専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼することで、正確に、問題のない遺言を作成することができます。相続関係の手続きを行っている法律事務所や税理士事務所に相談して一緒に内容を検討するとよいでしょう。専門家に相談することで、費用はかかりますが、正確に作成できるというメリットは大きいものです。

また、相続が発生すると銀行や証券会社などの金融機関の口座の名義変更や不動産の登記、相続税の申告という流れで手続きを行ってきます。基礎控除を超えている場合は、相続税の申告が必要となり、10ヶ月以内に税務署への納税と申告が必要です。

広島相続税相談テラスでは経験豊富な税理士が多数在籍しており、相続手続きにお困りの方をサポートしています。初回の相談は無料で対応しておりますので、まずはお電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい