相続が発生するとあらゆる財産を相続することになります。相続税の課税対象となる財産はあらゆる財産が含まれ、国外にあるものも、課税の対象となります。国外財産は相続税の課税の際に注意する必要があります。
当記事では国外財産の課税について解説していきます。
相続税における「国外財産」とは何か
相続税における「国外財産」とは、日本国外に所在する財産を指します。
ただし、「海外にある=日本では相続税がかからない」という意味ではありません。
相続税では、
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誰が亡くなったか(被相続人)
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誰が相続するか(相続人)
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それぞれの居住地・国籍
といった要素を総合的に判断して、国外財産が課税対象になるかどうかが決まります。
国外財産に該当する主な資産の例
国外財産には具体的にどのようなものがあるか、確認しておきましょう。
海外預金・海外証券
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海外の銀行口座にある預金
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海外証券会社で保有している株式・債券・投資信託
これらは典型的な国外財産です。
オンラインで管理していても、口座や証券会社の所在地が海外であれば国外財産に該当します。
海外不動産
不動産は所在地が明確なため、国外財産かどうかの判断は比較的容易ですが、
相続税がかかるかどうかは別問題です。
海外法人持分・出資金
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海外法人の株式
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海外の合同会社・パートナーシップへの出資持分
法人の所在地が海外であれば、原則として国外財産となります。
海外保険・年金・信託財産
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海外の生命保険契約
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海外年金(私的年金を含む)
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海外信託に組み込まれている財産
保険や信託は仕組みが複雑なため、課税関係の判断を誤りやすい分野です。
「国外財産」と「国内財産」の区別の考え方
相続税では、財産の管理場所や契約書の言語ではなく「実質的な所在地」で判断されます。
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日本の銀行にある預金 → 国内財産
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海外の銀行にある預金 → 国外財産
ただし、この区別は課税対象かどうかを決める最終判断ではありません。
相続税が課税されるかどうかを決める基本ルール
相続税が課税されるかどうかについてはどのような決まりがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
課税の判断は「財産の所在地」だけでは決まらない
相続税では、
「誰が・どこに住んでいるか」が極めて重要です。即ち被相続人と相続人がどこに住んでいるかです。
国外財産であっても、一定の条件を満たすと日本の相続税が課税されます。
被相続人・相続人の「居住地」と「国籍」が重要な理由
日本の相続税は、
に対して、全世界の財産を課税対象とする仕組みを採っています。
そのため、
財産が海外にあるかどうか
よりも
被相続人・相続人の属性
が課税の分かれ目になります。
無制限納税義務者と制限納税義務者の違い
相続税では、相続人は次のいずれかに分類されます。
どちらに該当するかで、課税範囲は大きく異なります。
【課税されるケース】国外財産でも日本で相続税がかかる場合
国外財産でも日本の相続税が課税される典型的なケースについて確認していきましょう。
被相続人が日本に住所を有していた場合
被相続人が亡くなった時点で日本に住所がある場合、相続人は原則として無制限納税義務者となり、国外財産を含むすべての財産が日本の相続税の課税対象になります。
相続人が日本に住所を有している場合
被相続人が海外居住者であっても、相続人が日本に住所を有している場合、国外財産が課税対象になるケースがあります。
日本国籍を有し、一定期間日本に居住していた場合
被相続人・相続人が
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日本国籍を有している
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過去一定期間、日本に居住していた
といった条件を満たす場合も、国外財産に相続税が課税される可能性があります。
国外財産であっても「課税」となるケース
上記の条件に該当すると、海外預金・海外不動産・海外証券も含めて全世界の財産に課税とされます。
「海外にあるから申告しなくていい」と判断するのは非常に危険です。
【課税されないケース】国外財産が相続税の対象外となる場合
国外財産に対し、課税されないケースについてみていきましょう。
被相続人・相続人ともに非居住者の場合
被相続人・相続人の双方が
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日本に10年以内に住所がない
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日本の税法上の非居住者
である場合、国外財産は日本の相続税の課税対象外となることがあります。
制限納税義務者に該当するケース
相続人が制限納税義務者に該当する場合、原則として国内財産のみが課税対象となり、国外財産は相続税がかからないケースがあります。
日本の相続税が課税されない典型例
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被相続人:海外永住
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相続人:海外居住・非居住者
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財産:すべて海外所在
このような場合、日本の相続税が課税されないことがあります。
ただし、例外や細かな条件があるため、自己判断は避けるべきです。専門家に確認した方が良いでしょう。
よく誤解されやすい国外財産と相続税のポイント
国外財産が関係する相続税は、制度を正確に理解していないと誤解しやすい分野です。
特に「海外にある=日本では課税されない」という思い込みから、申告漏れが発生するケースが少なくありません。
ここでは、実務上よくある誤解と注意点を整理します。
「海外の財産だから日本の相続税はかからない」は誤り
最も多い誤解が、
海外にある財産だから、日本の相続税は関係ない
という考え方です。
日本の相続税は、財産の所在地だけで課税が決まる制度ではありません。
被相続人や相続人が無制限納税義務者に該当する場合、海外預金・海外不動産・海外証券もすべて課税対象になります。
「国外財産=非課税」と短絡的に判断するのは非常に危険です。
少額の国外財産でも申告が必要になるケース
財産の総額が基礎控除を超えている場合、相続税の課税対象となる財産に金額の大きさは関係ありませんので、国外財産が少額であっても、次のような場合には相続税申告が必要になります。
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国外財産を含めた遺産総額が基礎控除を超える場合
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無制限納税義務者に該当する場合
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国内財産と国外財産を合算して申告が必要な場合
「海外口座に少ししか残っていないから大丈夫」と思って申告しないと、申告漏れとして指摘される可能性があります。
相続税の申告漏れが起きやすい理由
国外財産の相続税で申告漏れが起きやすい理由には、次のようなものがあります。
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相続人が国外財産の存在を把握していない
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海外口座や証券がデジタル管理で見えにくい
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日本の相続税制度と海外制度の違いが分かりにくい
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「海外=日本の税務署は把握できない」という誤解
特に近年は、国際的な金融情報の交換が進んでおり、税務署が国外財産を把握する可能性は以前より高まっています。
国外財産がある場合の相続税申告の注意点
国外財産を申告する場合の注意点について確認しておきましょう。
国外財産の評価方法と日本円換算の考え方
国外財産も、日本の相続税評価ルールに基づいて評価します。
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海外預金:相続開始日の残高を日本円に換算
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海外証券:相続開始日の時価を基準
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海外不動産:現地評価額を基に日本の相続税評価
外貨建て財産は、相続開始日と最も近い日の為替相場で日本円に換算するのが原則です。評価方法を誤ると、過少申告・過大申告の原因になります。
海外で相続税・遺産税を支払った場合の扱い(二重課税)
海外で相続税や遺産税を支払った場合、
日本と海外で二重に課税される可能性があります。
このような場合、日本の相続税では
外国税額控除が適用できるケースがあります。
ただし、
などに細かな要件があり、自己判断は困難です。外国との二重課税になる場合は、税理士に相談するようにしましょう。
国外財産調書・財産債務調書との関係
一定額以上の国外財産を保有している場合、国外財産調書や財産債務調書の提出義務が生じることがあります。
これらの書類は、
と密接に関係しており、提出内容と相続税申告の整合性が重要になります。
生前に検討しておきたい国外財産の相続税対策
国外財産がある場合、相続発生後ではなく生前の段階からの整理・対策が非常に重要です。
居住地・国籍を踏まえた事前整理の重要性
居住地や国籍は、相続税の課税範囲を大きく左右します。
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どの時点で日本の居住者になるのか
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将来、どの国で相続が発生する可能性があるのか
を整理しておくだけでも、相続税の申告漏れなどのリスクを大きく下げられます。
生前贈与・保険を活用する際の注意点
国外財産について生前贈与や保険を活用する場合でも、
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贈与税の課税関係
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日本・海外双方の税制
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贈与と相続の時期関係
を慎重に検討する必要があります。
「節税になると思ってやった対策が、逆に税負担を増やす」ケースも珍しくありません。
専門家に早めに相談すべきケース
次のような場合は、早めの専門家相談が強く推奨されます。
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海外に預金・不動産・証券がある
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被相続人または相続人が海外居住
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海外で相続税・遺産税を支払う可能性がある
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国外財産調書の提出対象になる可能性がある
国外財産を含む相続は専門家への相談が重要
自分で判断するとリスクが高い理由
国外財産の相続税は、
が絡み合うため、自己判断は非常に危険です。一見正しそうな判断でも、後から税務署に否定されるケースがあります。
税理士・司法書士それぞれに相談すべき内容
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税理士
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司法書士
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相続手続全般
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相続関係の整理
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海外財産を含む遺産分割の調整
役割を理解したうえで連携相談することが重要です。
相続税申告で失敗しないための相談タイミング
理想的なのは、
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相続発生前(生前対策)
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遅くとも相続発生後できるだけ早い段階
です。
申告期限が近づいてからの相談では、取れる選択肢が大きく制限されてしまいます。
広島相続税相談テラスでは、経験豊富な税理士が皆様のお悩みを解決しております。海外が絡む相続は非常に複雑で専門家との相談が不可欠です。初回の相談は無料で対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。