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生命保険の死亡保険金は相続税の対象?

2024年05月25日

相続が発生すると、財産を取得する相続人は相続税の計算と申告を行う必要があります。預貯金だけでなく、不動産や金などの現物資産などさまざまな財産が相続税の対象となりますので、被相続人の財産を一覧の表にして、金額を記載していく必要があるでしょう。

生命保険の死亡保険金は相続税の対象となるのでしょうか。当記事では生命保険の取り扱いについて解説します。

生命保険の死亡保険金は契約形態によって取り扱いが異なる

生命保険の死亡保険金は契約形態によって取り扱いが異なります。パターン別に解説していきます。

契約者と被保険者が同一の場合

契約者と被保険者が同一のケースとは契約者と被保険者が夫で受取人が妻であるケース等です。

生命保険の死亡保険金は受取人固有の財産となりますので、本来の相続財産ではありませんが、みなし相続財産として死亡を保険金を受け取った額に対して相続税が課税されます。

契約者と受取人が同一の場合

保険料を支払う契約者と受取人が同一の場合とは契約者が夫、被保険者が妻、死亡保険金の受取人が夫であるケース等です。妻が亡くなり、契約者が受け取る場合は、受け取った保険金から支払い済の費用を差し引いた利益部分に対して所得とみなされて所得税と住民税がかかります。

契約者、被保険者、受取人すべて異なる場合

契約者、被保険者、受取人すべて異なる場合とは、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どもになっているケース等です。契約者、被保険者、受取人すべて異なる場合は贈与税がかかるため注意が必要です。金額にもよりますが、一般的に贈与税は相続税よりも税率が高く、税額の負担も大きくなります。

生命保険を契約するメリット

保険を契約することでどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。

非課税枠を活用できる

生命保険には非課税枠があり、法定相続人1人につき500万円までは非課税となります。例えば、相続人が2人の場合は合計1,000万円、3人の場合は1,500万円まで非課税となり、課税価格から差し引くことができます。そのため、非課税枠を利用することで、相続人の人数に応じて相続税を節税することができます。

一定の節税効果が得られるうえ、簡単に契約ができるため、節税対策としてはおすすめの方法の一つです。

すぐに受け取ることができる

預貯金などの相続財産は相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。それぞれの主張があり、相続人間で合意できない場合は、なかなか財産を受け取ることができないケースもあります。

夫婦間で財産が偏っている例ではすぐに財産を受け取ることができないと、当面の生活資金に困るケースもあります。

一方で、生命保険は加入する時に受取人を指定しておきますので、死亡保険金については保険会社に請求すれば、遺産分割協議を行わずに受け取ることができます。生命保険で保険金を受けることができるようにしておくことで、自分が亡くなった後に、配偶者の負担を軽減することができるでしょう。

他にも納税資金の確保の手段としても有効です。納付する金額を事前にシミュレーションしておくことで、生命保険の保険金を納税資金分としてそのまま充てることができます。

生命保険を契約する時の注意点

次に生命保険を契約する際の注意点について解説します。

配分に注意が必要

生命保険は制度上、受取人固有の財産となっており、相続放棄をしても生命保険は受け取ることができますし、生命保険を受け取ったとしても法定相続分は別途受け取れることとなります。その場合、配分について他の相続人とトラブルになる可能性があります。生命保険を契約する際に受取人を一人にする場合は、保険以外の財産の配分を巡って、家族が後でトラブルにならないようにしっかりと考えて受取人を決めるようにしましょう。生命保険の受取人も割合で指定することが可能ですので、慎重に検討しましょう。

元本割れと可能もある

生命保険には様々な種類があり、外貨で運用するものや株などを含めて運用し、運用成果によって給付金が受け取ることができるものもあります。非課税枠の制度を使うためであれば、外貨などで運用するものでなく、元本が割れない商品を選択してもよいでしょう。生命保険は保険会社や銀行の窓口などでも契約することが可能です。よく説明を聞き、それぞれのメリットやデメリットを理解したうえで契約するようにしましょう。

相続税のお悩みは税理士に相談を

当記事では生命保険の取り扱いについて解説しましたが、相続税の計算は非常に複雑です。遺産の総額が基礎控除(計算式:3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超える場合は相続税の申告が必要となります。生命保険の契約がある場合、基礎控除と生命保険の非課税枠を合わせた金額以下であれば、相続税がかかることはありません。

税務の知識のない人が実際に自分で算出して誤った申告書を税務署に提出した場合、修正申告が必要となる場合もありますし、該当する特例や控除の適用が漏れてしまい、必要以上に高い相続税を支払っているケースもあります。また、相続発生後10カ月と短い期間で行う必要があり、葬儀などで忙しい中で時間はあっという間に過ぎてしまいます。相続発生後はなにかと負担も大きいため、自分で申告を行うことが難しい場合は、税金の専門家である税理士に相談し、サポートを受けるようにしましょう。

また、生前に財産を一覧にしておくなど準備をしておくことも重要です。いずれ発生する相続のために、早めに準備をしておくことで、遺族の負担を大きく減らすことができるでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい