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相続税の取得費加算の特例とは?税理士が分かりやすく解説!

2024年09月28日

相続が発生し、財産を受ける際に居住用の自宅不動産などが不要となり、空き家となってしまうため、売却する場合もあるでしょう。そのようなケースでは相続税として支払った金額を取得費として加算し、譲渡所得税から一部差し引くことができることをご存知でしょうか。

当記事では相続税の取得費加算の特例の概要や注意点について案内します。

相続税の取得費加算の特例とは

相続税の取得費加算の特例は自宅不動産などを売却した際に、相続税として支払った分について、取得費として加算できる制度です。

通常不動産を売却した際に、利益が出ると譲渡所得税が課されます。譲渡所得税の計算式は以下の通りです。

譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

取得費は購入した時の土地・建物の金額で、購入した価格が分からない場合は譲渡価格の5%で計算します。譲渡費用は不動産会社に支払う手数料等です。

例えば、5,000万円で購入した不動産を1億円で売却し、費用が300万円かかったとすると、売却により得た収入から取得費と経費を差し引いた譲渡所得は4,700万円となり、5年以上保有していた場合は、税率20.315%をかけて、実際に支払う税額の計算を行います。つまり、不動産を購入した時に売却益が出た場合は所得としてみなし、所得税がかかるということです。不動産を売却して利益を得た者は、所得を申告するために確定申告が必要となりますので、費用の内訳が分かる明細書などを保管しておく必要があります。。

取得費加算の特例は、譲渡所得税を支払う人が、相続財産として資産を引き継ぎ、相続税を支払っていた場合、相続税として支払った分について取得費として含めることができる特例です。

例えば、相続税として支払った金額の合計が2,000万円でうち、50%が売却した不動産であった場合、1,000万円を取得費として加算することができます。実際に取得した不動産を売却する予定がある場合は、要件を満たすとどれくらい節税になるか事前にシミュレーションを行ってみるとよいでしょう。

取得費加算の特例を利用する場合の注意点

相続税の取得費加算の特例を利用する場合、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

相続開始から3年10ヶ月以内に売却する必要がある

取得費加算の特例を利用する場合、相続発生の翌日から3年10ヶ月以内に相続・遺贈により取得した財産を売却する必要があります。

また、相続税の申告は相続発生の翌日から10ヶ月以内と期限も短く遺産分割協議や相続税の申告手続きを行う必要があります。遺言が作成されておらず、相続人間での協議でトラブルが発生すると時間が経過してしまい、期限を超過する可能性があるため、早めに着手するほうがよいでしょう。

代償分割をすると不利になる場合がある

代償分割とは相続人のうち一人が代表して不動産を取得し、その代償として現金を他の相続人に支払うことで分割する方法です。1億円を超えるような財産がある場合は代償分割をしないと公平に分けれないケースも多くあるでしょう。

代償分割をした場合は、譲渡した資産に代償金を支払った分の調整が加わるため、控除できる金額が減額されます。

そのため、取得費加算の特例を利用する可能性がある場合は代償分割以外の分割方法も検討した方が良いでしょう。

不明点は税理士に相談を

相続税や譲渡所得税などの税金について不明点がある場合は税理士に相談するようにしましょう。

相続税や所得税の計算は複雑で、特例を利用するためには添付する書類も多く、手間がかかります。また、納める税額の計算を誤ってしまうと税務調査で指摘される可能性があり、修正申告や加算税を請求され、追加の納税が必要となる場合もあり、相当な手間がかかります。

預貯金や株式、不動産などプラスの財産の合計から債務などのマイナスの財産を差し引いた金額が基礎控除を超える場合は、相続税の申告が必要です。国税庁のホームページに、相続税の算式などの記載はあるものの、関連する知識がない人が申告を行う場合は一定の負担があるため、早めに遺産分割の話し合いを行い、被相続人の財産の一覧を作成し、財産ごとの評価額の確認を行い、申告の準備を進める必要があります。

期限内に提出する必要があるため、相続税の申告や確定申告書の作成に不安がある場合は税務のプロである税理士に相談するようにしましょう。税理士にも専門分野があるため、税制改正などの最新の情報を持ち制度を理解している税理士に依頼することが重要です。

サイトなどで確認し、相続税や所得税の計算は相続税や所得税の対応を普段から取り扱いしている税理士事務所・税理士法人に依頼するようにしましょう。

税理士に依頼することで、税理士に費用を支払うことになりますが、特例などを使うことで、課税価格を減らすことができ、費用以上に節税になる場合もあります。また、財産の評価や申告を税理士に支援を依頼することで、相続人が自分で申告する場合と異なり、大きな負担軽減となり安心して進められるでしょう。

初回の面談は無料で応じてくれることも多いので、まずは電話やメールなどで気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい