相続が発生するとあらゆる財産を評価し、相続財産の合計を求め、相続税の計算をする必要があります。
相続財産の中でも、評価が難しいのが土地でしょう。土地は全く同じものはなく、個別性が高いため、簡単に評価することができない場合があります。
特に代々引き継いでいる山林や原野などがある場合、路線価がない場合も多く評価が複雑です。当記事では山林の相続税評価についてポイントをおさえて解説します。
山林の評価方法
土地の評価は宅地や農地、山林等細かく区分されており、山林の中でも「純山林」、「中間山林」、「市街地山林」の3種類に分けられています。
純山林、中間山林は倍率方式で相続税評価の計算を行います。倍率方式とは固定資産税評価額に地域ごとに定められている一定の倍率をかけあわせて計算する方法です。固定資産税評価額は固定資産税を納付する際の納税通知書に記載されています。全国の倍率については国税庁のホームページで確認することが可能です(リンク)。
市街地山林とは市街地の近隣にある山林のことであり、比準方式または倍率方式で評価を行います。比準方式とは路線価に地積をかけて相続税評価を行ったあとに1㎡あたりの現況から宅地転用する場合の造成費用を控除して計算する方法です。
例えば、100㎡の土地で宅地造成費が10万円であった場合、路線価方式で計算した金額から1,000万円を差し引く形となります。造成費用は地域ごとに指定されており、国税庁のホームページで確認することができます。
山林を保有する場合の注意点
山林を保有し、相続が発生すると注意するべき点が多くあります。どのような点に気を付ければよいか確認しておきましょう。
分け方をきめておく必要がある
利用価値の低い山林は財産上の価値が小さいことが多いです。しかし、相続することで登記費用などの負担がかかるため相続したくないと考える相続人もいます。
また、相続が発生した時に共有にすると次の相続が発生した際に枝分かれでどんどん保有者が増えていき、多くの人で共有することになるケースもあります。多くの人で保有する状況になってしまうと、相続した後も所有者全員が合意しないと基本的に売買や寄付もできないため、処分も困難になりますし、東京などの市街地の近くにある場合でも山林を伐採して土地の上に建物を建てて活用することもできません。できれば遺言書などを作成し、事前に分け方を決めておいた方が良いでしょう。
また、遺言書などがなく、相続人同士で話し合いをするケースでも財産を一覧の表にして、誰が何を相続するか話し合って決めるケースでも、誰が山林を相続するかしっかりと決めるようにしましょう。
測量に費用がかかる
昔に登記された土地は、登記簿に記載されている面積と実際の面積が大きく異なる場合があります。
山林は通常の宅地と異なり、面積を正確に知るための測量に専門的な技術が必要となります。売却をする場合も傾斜がある場合や大きな山林のケースでは測量の際に多額の費用がかかります。市街地から遠く離れている山林の場合は測量の費用の方が売却価格よりも高くなる可能性があるため、注意が必要です。
山林の処分に困るため、相続放棄をしたいと考える人も多くいますが、山林を放棄すると住宅として利用していた不動産や預貯金も相続することができないという問題があります。地区にもよりますが、山林は簡単に処分できないという点も認識して分け方を決めるようにしましょう。
相続税のお悩みは税理士に相談を
相続税を申告するための相続財産の評価や税金の計算は非常に複雑で知識がない人にとって特例の条件なども勘案して算出することは簡単ではないでしょう。相続発生後は金融機関の名義変更などの手続きや財産の割合を決める話し合いなども必要となり、忙しいなかで財産を取得した人は原則10ヶ月以内と短い期限内に税務署に申告書の提出と納付を完了する必要があります。
できれば、相続が発生する前に相続税のシミュレーションを行っておき、遺言書を作成するなど事前の対策をしておくことをおすすめします。事前の準備をすることで、節税についても検討することができますし、相続人の負担を大きく減らすことができるでしょう。
また、相続発生後に相続税の申告にお悩みがある場合は専門家である税理士に相談することをおすすめします。相続税の計算は複雑ですし、もし誤って相続をした場合、税務調査で指摘される可能性もあります。税理士に依頼することで添付書類の作成も依頼することができますので、自身で申告することが難しい場合は相談してみるとよいでしょう。
初回の面談はサービスで無料で対応してもらえる税理士事務所・税理士法人が多いです。財産の評価額によって費用が決まることが多いので課税の対象となる財産の額や内容、所有する土地の所在がわかるものを持っていき気軽に相談してみるとよいでしょう。