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認知症の父から贈与を受けたら問題がある?税理士がわかりやすく解説!

2024年12月29日

相続税対策として生前贈与をする人が多いでしょう。年間110万円までの非課税枠を活用することで相続が発生した際の相続税を軽減することができます。

しかし、高齢となり認知症となってしまった親から生前贈与を受け、財産を受け取っても大丈夫なのでしょうか。当記事では高齢の親から贈与を受ける際の注意点をポイントを押さえて解説します。

贈与契約が成立するための条件

贈与契約は贈与する者と財産を受ける者の双方が意思表示を行って初めて財産の移転が成立する制度となっています。そのため、一方が意思表示をしていない場合や知らなかった場合は贈与は成立しません。

例えば、贈与する側が一方的に贈与を受ける子や孫の口座に振り込み、受贈者が口座に入金されたことを知らなかった場合、贈与契約は成立しません。他にも贈与を受けた人の名義の口座に入金されているものの贈与した側である親や祖父母が管理しているケースでも贈与は成立せず、税務署に税務調査で指摘される可能性があります。税務署に指摘された場合は、加算税を課される可能性があり、本来よりも高い税金を支払うことになる可能性があります。

贈与する側が認知症の場合

高齢となった親が贈与を行った場合、贈与をする側の意思能力の有無が問題となります。贈与をする側が法律行為をするような意思能力がなく、意思表示を行えていない場合は贈与は無効となり相続財産として課税されます。

一方で、認知症を発症しているなど医師の診断書などがなければ贈与の手続きをした時の意思能力について明確に判断することは難しいことも事実です。相続発生後にトラブルとなった場合、弁護士を交えて話し合いが必要となる事例もあります。高齢で意思能力に不安がある場合は、トラブルを防ぐためにも司法書士など第三者も入れて贈与契約書をしっかりと作成しておいたほうが良いでしょう。

高齢の親から贈与を受ける場合の注意点

高齢の親から贈与を受ける場合にはどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

他の相続人との関係に注意

親の意思能力がはっきりしていたとしても高齢の親から贈与を受けたことで遺産分割の際に他の家族から不公平だといわれ問題になるケースがあります。特に住宅取得資金や教育資金贈与について一括贈与の特例を利用した場合、相続人間で不公平が生じ、民法で定められた法定相続割合とは大きな差が生じることでトラブルになる可能性があります。

このような親族同士のトラブルを避けるために、遺言書を作成しておくことが有効な手段となります。遺言書を作成し、贈与をした資金以外の財産配分も明確にしておくことでトラブルを未然に防止することができるでしょう。

節税効果について事前に確認しておく

一般的に生前贈与によって相続発生時の相続財産を減らすことができるため、相続税の節税の方法として有効とされています。

しかし、人によっては財産の総額が基礎控除以下の場合や配偶者控除や小規模宅地の特例など、各種特例の活用を行うことで相続税が0円になり、生前贈与は必要ないケースも多くあります。生前の贈与を行う前に、預金や株式、不動産など財産の一覧を作成しシミュレーションを行うことで、贈与によってどれくらい節税ができるか、しっかりとした情報を得てから判断するようにしましょう。また、相続税や贈与税関連の税法は税制改正も頻繁にありますので、最新情報を確認しておくことが重要です。

 

相続税対策については税理士に相談を

相続税の節税対策として生前贈与は有効な手段の一つです。しかし、高齢となった親から贈与を受ける場合、認知症などで意思能力が問題となるなど、必ずしも最適な方法とは限りません。そのため、自分の財産の内容や考えをふまえて贈与をする前にしっかりと税務の専門家である税理士に相談し、検討することをおすすめします。

また、相続発生後、相続人は金融機関の名義変更や不動産の登記も必要で、10カ月以内に税務署に相続税の申告書の提出が必要となり時間がありません。相続人に税金の知識がない場合は相続発生後の負担を減らすためにも、事前に準備をした上で税理士に依頼しておくことでスムーズに手続きを進めることができます。

広島相続税相談テラスでは、相続を専門として取り扱っており、豊富な実績があるため相続に関するあらゆるお悩みを解決することが出来ます。初回の相談はサービスで無料で対応しておりますので相続関連でお悩みの場合は電話やメールなどでお気軽に広島相続税相談テラスにご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい