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相続が発生した時に覚書は効果がある?

2025年12月17日

相続が発生すると、民法で定められた法定相続人全員で遺産分割の話し合いを行う必要があります。

しかし、相続が発生してから相続財産をどのように分割をするか話し合いを始めると、相続人同士の意見が合わずうまくいかないケースもあるでしょう。

相続が発生した時に有効な手段の一つが覚書です。覚書はどのように利用されるのでしょうか。

当記事では覚書の効果と注意点について解説します。

覚書とは

覚書とは、当事者同士で話し合いによって決めたことを記載した書類のことです。
口頭で合意をすることで、法律上契約が成立するものもありますが、書面にしておかないと、どちらか一方が契約を違反した時に、追及することができません。

相続において使用される場合は特定の不動産や、事業用の資産など、相続財産の一部を特定の人に遺すことが記されることが多いです。

覚書を作成する際の注意点

覚書を作成する場合、どの様な点に注意をすれば良いのでしょうか。具体的に解説します。

遺留分は侵害できない

覚書を作成しても、子どもや配偶者などが有する、最低限の遺産を相続する権利である遺留分を侵害することはできません。
価値の大きい事業用資産やアクセスの良い場所にある土地・建物などの不動産を1人に相続させることで遺留分侵害となるケースがあります。

遺留分を侵害した覚書を作成することで相続人間の関係が悪化し、トラブルとなる可能性があります。トラブルとなると弁護士を通じての話し合いや家庭裁判所での調停や審判に進むケースもあり、問題が発生すると時間もかかり負担が非常に大きくなりますので、なるべくトラブルにならないように進めることが重要です。

相続放棄はできない

生前に法定相続人が相続放棄をすることは認められていません。そのため、覚書で遺産相続を放棄をすることを記載していたとしても、その覚書は完全に無効となります。

相続放棄をした相続人は覚書に記載した事項は有効ではないことを主張し、被相続人が亡くなった後に遺産分割協議に参加し、預貯金や土地・建物など遺産の分割するための話し合いに参加することが可能です。

手続きに使用することはできない

生前に日付や署名・押印など必要事項が記載された法律上有効な遺言書を作成しておくことで、遺言書に基づいて金融機関の名義変更や不動産の登記など名義変更の手続きをすることが可能です。遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言は家庭裁判所で検認の手続きを行う必要がありますが、どちらでも法律上有効であれば、遺言書をもって手続きをすることが可能です。

しかし、覚書は有効なものであっても、覚書を持って手続きをすることはできず、遺産分割協議書を作成する必要があります。

相続のお悩みは専門家に相談を

相続に関する制度は複雑で家族との関係等によって、さまざまなことを考慮する必要があります。

一般の人は何度も経験することがありませんので、知識がなく戸惑うことも多いでしょう。

特に相続税の申告が必要な場合、被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内に申告が必要となります。

誤った申告を行うと税務調査で指摘される可能性がありますので、期限内に正確に行う必要がありますので、不安がある場合は税金の専門家である税理士にサポートを依頼するようにしましょう。税理士に依頼することで他の手続きも安心して進めることが可能です。

広島相続税相談テラスでは初回の相談無料で経験豊富な税理士が相談に応じております。ぜひお気軽にお電話やメール等でご連絡ください。

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