お役立ちコラム一覧

みなし相続財産とは?遺贈との関係や対象となる財産、非課税枠を解説

2026年09月22日

相続が発生すると、被相続人が所有していた預貯金や不動産などの財産だけでなく、生命保険の死亡保険金や死亡退職金なども相続税の課税対象になるケースもあります。
これらは「みなし相続財産」と呼ばれ、本来の相続財産とは異なる性質を持つ財産です。
みなし相続財産には、相続人が受け取るものだけでなく、相続人以外の人が遺贈によって取得したとみなされる場合もあります。
また、生命保険金や退職金には一定の非課税枠がありますが、受取人によって適用の有無が異なるため注意が必要です。
この記事では、みなし相続財産の概要や遺贈との関係、対象となる財産の種類、相続税の計算に関わる非課税枠などについて解説します。

みなし相続財産とは

みなし相続財産とは、民法上は本来の相続財産ではないものの、被相続人の死亡をきっかけとして取得するため、相続税法上は相続または遺贈によって取得したものとみなされる財産の総称です。
例えば、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金は、被相続人が生前から所有していた財産でありません。
しかし、死亡によって受取人が保険金を取得することから、相続税の課税対象とる場合があります。
この他、死亡退職金なども代表的なみなし相続財産です。

本来の相続財産とみなし相続財産との違い

本来の相続財産とは、被相続人が死亡した時に所有していた財産や権利などです。
現金や預貯金、土地・建物などの不動産、株式などの有価証券のほか、貸付金、特許権、著作権など金銭に換算できるものも含まれます。
一方、みなし相続財産は被相続人が死亡時に所有していた財産ではありません。
そのため、民法上の相続財産と相続税法上の課税対象を分けて考える必要があります。

相続・遺贈によって取得したものとみなされる理由

生命保険金などは、被相続人の死亡によって受取人に経済的な利益が発生します。
そのため、本来の相続財産ではなくても、相続税法では相続や遺贈によって取得したものとみなして課税する法律が定められています。

例えば、死亡保険金の場合、契約上の受取人が相続人なら「相続」、相続人以外なら「遺贈」によって取得したものとみなされるのが原則です。
遺言書の文字に「遺贈する」と記載されていると書いてある場合も、法律で相続人と定められている場合は相続となりますので、注意しましょう。

みなし相続財産・みなし遺贈財産の主な種類

みなし相続財産にあてはまるものは、生命保険金や死亡退職金だけではありません。
契約内容や受取人などによって課税関係が変わるため、それぞれ確認する必要があります。
ここでは、みなし相続財産や遺贈財産の代表例をご紹介します。

生命保険の死亡保険金

生命保険金の死亡保険金はみなし相続財産の代表例です。
ただし、誰が保険料を負担し、誰が保険金を受け取る契約なのかによって、相続税ではなく贈与税などが課せられる場合もあるので注意しましょう。
相続税の対象になるのは、被相続人が保険料の全部または一部を負担していた場合です。
生命保険については、契約者などの名義だけで判断せず、実際の保険料負担者や受取人を確認することが重要です。

死亡退職金

被相続人の死亡後に支給される退職手当金、功労金なども、みなし相続財産になる場合があります。
一例を挙げると、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等は相続または遺贈によって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
金銭だけでなく現物で支給されたものも対象です。

生命保険契約や定期金に関する権利

被相続人が保険料を負担していた生命保険契約や、年金などの定期金に関する権利についても、契約の形態によって相続税の対象になることがあります。
保険契約は契約者・被保険者・保険料負担者・受取人の組み合わせによって税務上の扱いが異なります。
相続開始後は契約内容を一覧にし、課税対象となるものがないか確認しましょう。

遺言による債務免除などの利益

遺言によって著しく低い価額で財産を取得するなど、実質的に経済的な利益を受ける場合にも、相続税法上、遺贈によって取得したものとみなされることがあります。
例えば、不動産や貴金属を著しく低い価額で譲り受けることを遺言で定めた場合、時価に照らし合わせて遺贈により取得したものとみなされる場合があります。

特別縁故者が取得した財産

相続人がいない場合、被相続人と生計を同じくしていた人や療養看護に努めた人などが、「特別縁故者」となって財産が分与される場合があります。
このような財産についても、相続税法上の取り扱いを確認する必要があります。
法定相続人ではない人が財産や利益を受け取る場合は、通常の相続とは税額の計算方法などが異なることがあるため、専門家への相談を検討しましょう。

みなし相続財産には相続税がかかる?非課税枠と計算方法

みなし相続財産は相続税の課税対象ですが、すべての金額に相続税がかかるとは限りません
。生命保険金と死亡退職金には、それぞれ一定の非課税枠が設けられています。

生命保険金の非課税枠

相続人が取得した死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。
例えば法定相続人が3人なら、非課税限度額は1,500万円です。
相続人が受け取った対象となる保険金の合計額がこの金額の範囲内なら、その部分には相続税がかかりません。

死亡退職金の非課税枠

相続人が受け取った死亡退職金にも、生命保険金とは別に、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
なお、法定相続人の数を計算する際は相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとして人数に含めます。

相続人以外が受け取る場合の注意点

生命保険金や死亡退職金を相続人以外の人が受け取る場合、相続または遺贈により取得したものとみなされて相続税の対象となることがあります。
ただし、相続人以外の受取人には「500万円×法定相続人の数」の非課税規定は適用されません。
受取人が誰であるかによって税の負担が変わるため、相続税申告では注意が必要です。

みなし相続財産を扱うときの注意点

みなし相続財産は、本来の相続財産と扱いが異なります。遺産分割や相続放棄との関係も理解しておきましょう。
ここでは、みなし相続財産を扱うときの注意点を消化kします。

原則として遺産分割の対象にならない

契約上の受取人が指定されている生命保険金は、本来の相続財産ではないため、原則として遺産分割の対象になりません。
例えば、子が受取人になっている死亡保険金を受け取った後、話し合いによって他の人へ分けると、その移転が贈与とされ、贈与税の課税対象となる場合があります。

受取人によって課税関係が変わる

生命保険では、保険料を負担した人、被保険者、受取人が誰なのかによって課税される税金が変わります。
「死亡保険金だからすべて相続税」と考えず、保険証券や契約内容、保険料を実際に負担していた人などの情報を確認することが大切です。

相続放棄をしても受け取れる財産がある

受取人固有の財産である生命保険金は、相続放棄をした場合でも受け取れるケースがあります。
ただし、相続放棄をした人が取得した死亡保険金には、生命保険金の非課税規定は適用されません。
一方、非課税限度額を計算する際の「法定相続人の数」には、相続放棄をした人も含めます。

みなし相続財産や遺贈の判断に迷ったら専門家へ相談を

みなし相続財産は、被相続人が死亡時に所有していた本来の相続財産ではありません。
しかし、死亡をきっかけとして取得する生命保険金や死亡退職金などは、相続税法の規定によって相続または遺贈で取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
一方で、非課税枠の適用や課税される金額は、財産の種類、契約内容、保険料の負担者、受取人が相続人かどうかなどによって異なります。
遺産分割や相続放棄が関係すると、民法上の取り扱いと税務上の取り扱いを分けて考えなければならないケースもあるため、注意が必要です。
相続税の申告や税務調査への対応で判断に迷った場合は、税理士など相続税に詳しい専門家や事務所へ相談し、必要な手続きを確認しましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい