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相続税の金額はいくらまでなら無税?相続税がかからないケースを確認

2021年11月30日

親の遺産を相続する場合、考えておかなければならないのが相続税に関することです。受け取る遺産の額が大きいほど、相続税も増えます。しかし、相続税には無税となる非課税枠が用意されているのです。

そこで「いくらまでなら無税・非課税対象なのか知りたい」と考えている方のため、具体的な金額についてご紹介します。正しい金額について理解しておかないと、納税をする際に予定外の金額に慌ててしまう可能性があるため、注意が必要です。ポイントをおさえて解説しますので、相続税がかからない金額についてよく理解したい方はぜひ参考にしてみてください。

相続税の無税・非課税対象はいくらまで?

相続税の基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」です。そのため、プラスの財産から債務などマイナスの財産や債務控除として差し引くことができる葬式の費用などを差し引いた金額が、基礎控除内なら相続税は無税・非課税対象となる点です法定相続人とは被相続人に近しい配偶者と血族で、法律によって相続財産を引き継ぐことが認められている人のことです。法定相続人は戸籍上の関係で決まりますので、内縁関係の場合は配偶者として相続人になることはありません。

例えば、相続人が配偶者と子ども2人で合計3人の場合の基礎控除は4,800万円となります。もし相続人のうち誰かが相続放棄をしても基礎控除が変わることはありません。子が亡くなっている場合は孫が代襲して法定相続人となります。

相続税がかかる状況かどうかを確認するためには、財産をまとめて一覧の表にして、法定相続人を特定する必要があります。

なお、相続税の手続きは自分で行わなければならないため、気を付けましょう。直接給与から源泉徴収されたり、通知が送られてきたりするようなことはありません。「通知が送られてこないから自分は対象外だ」と考えないよう注意が必要です。税務署から相続税に関する確認のお知らせが届くこともありますが、届かないからといって必ずしも対象外とは限りません。

注意点として、遺産の総額などを計算した結果、無税・非課税だった場合、税務署への申告が必要かどうかはケースによって異なります。例えば、特例や税額控除などで無税になった場合です。こういったケースのうち、配偶者控除を適用する場合には申告が必要になります。小規模宅地等の特例についても同様です。

3,000万円以上でも相続税がかからないケースを紹介

課税対象の各財産を合計した遺産総額のプラスの資産から借金などマイナスの資産を控除した後で基礎控除を超えていたとしても、必ずしも相続税の対象となるわけではありません。どういったケースで相続税の対象外となるのかご紹介しましょう。

基礎控除額を超えない場合(申告不要)

基礎控除以上の財産を受け取ったものの、控除額を超えず、なおかつ申告も不要なケースとしては以下のようなものが挙げられます。

ケース1  死亡保険金が含まれ、法定相続人が複数いる

死亡保険金が含まれる場合、5,400万円以上の財産が残されていても基礎控除の範囲内になることがあります。一例として、4人の法定相続人で、以下の遺産を受け取る場合のケースをみていきましょう。

  • 現金・預貯金…2,000万円
  • 有価証券…800万円
  • 不動産…1,000万円
  • 死亡保険金…2,000万円

合計すると、金額は5,800万円で、基礎控除額を超えます。ここで注意したいのが、死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が用意されている点です。こちらのケースの場合、法定相続人が4人いるため、遺産総額から2,000万円控除されます。

結果は、遺産総額は3,800万円となりました。法定相続人が4人の場合の基礎控除を計算すると5,400万円なので、遺産の総額は基礎控除の範囲内となります。そのため、相続税はかかりません。こちらのケースでは申告も不要です。将来のため相続が発生した時のための節税対策として生命保険の非課税枠の活用を検討してみてもよいでしょう。

なお、ここでは死亡保険金としましたが、退職金についても同様です。死亡保険金と死亡退職金の両方がある場合、それぞれ「500万円×法定相続人の数」が課税価格から控除されます。

ケース2 相次相続控除・未成年者控除・障害者控除を利用する

相次相続控除・未成年者控除・障害者控除などの対象となる場合、基礎控除内に納まる場合があります。それぞれ、どういったものなのか見ていきましょう。

まず、相次相続控除です。相次相続控除とは、同じ財産に対して短期間で複数回相続税が課されるのを防ぐための制度です。死亡するまでの10年以内に被相続人が相続を受けていた場合、相続税の一部が免除されます。免除される金額は、前回の相続で課税されている相続税額のうち、1年につき10%の割合で減らした後の金額です。

続いて未成年者控除とはどういったものでしょうか。こちらは相続人が未成年であった場合に適用されるもので、満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額が控除されます。

最後に障害者控除です。85歳未満の障害者が相続人である場合に適用されるもので、年数1年につき10万円で計算した額が控除されます。また、特別障害者の方については1年について20万円です。

基礎控除額を超える場合(申告必要)

基礎控除額を超えるものの相続税がかからず、なおかつ申告が必要になるケースがあります。代表的なものが、配偶者税額軽減を適用する場合です。

配偶者税額軽減とは、配偶者のための税制軽減制度のことをいいます。そもそもその財産を形成する際、少なからず配偶者も貢献していることや、配偶者の老後の生活を保障する目的からこういった制度が作られました。

配偶者が相続人となる場合「配偶者の法定相続分相当額」または「1億6,000万円」のうち、高い方を自分の相続額から控除できます。具体的な金額で見ていきましょう。

被相続人の財産を配偶者である妻と、子供1人で受け取るケースについてです。

  • 現金・預貯金…2,000万円
  • 株式などの有価証券…1,000万円
  • 不動産…1,800万円

合計すると総額は4,800万円です。法定相続人が2人なので、基礎控除は4,200万円となり、このままでは基礎控除額を超えます。しかし、配偶者税額軽減を適用した場合は前述したように法定相続分または1億6,000万円のうち、高いほうが控除可能です。ただし、相続税がかかることを回避するために配偶者控除を最大限使うため、配偶者が自宅や預金など多くの財産を多く相続することで二次相続でかえって負担がかかることもあるので注意しましょう。

そのため、配偶者については1億円を超えるような財産を取得しても相続税を収める必要はありません。ただし、必ず申告をしなければ実際に配偶者税額軽減は適用されないので注意しましょう。

他にも小規模宅地の特例など評価額を減額できる特例があります。小規模宅地の特例は自宅の土地などの評価額を330㎡まで減額できる特例です。東京や神奈川など首都圏の主要な駅の近くにあるアクセスが良い土地の場合減額できる金額も大きくなります。

基礎控除額を超える場合は注意

いかがでしたか?今回は、相続税はいくらまでなら無税・非課税対象になるのかについてご紹介しました。基礎控除を超える場合は財産を取得した者が申告書の提出を行う必要があります。

自分の場合は無税なのか、税金が発生するのかが判断できたかと思います。遺産が基礎控除を超える方は注意が必要です。各種財産の総額を調査しないと相続税がかかるかどうかわかりませんので、被相続人がどのような財産を残しているか調べるようにしましょう。

もし遺産総額が基礎控除額を超える場合は慎重に計算して対応しなければなりません。国税庁のサイトに計算の方法や税率などは掲載されていますが、税制改正も多くあり、計算式も複雑で、知識のない一般の人が自分で調べるのは難しい部分も多くあります。誤った申告をすると税務署からの税務調査で間違いを指摘され、適正な申告をしたうえで追徴で課税される可能性もあります。

普段から相続税や贈与税の申告を業務として行っており、税務の専門家である税理士事務所・税理士法人に相続税申告手続きを頼むと安心です。実績のある税理士に依頼することで、費用はかかりますが、確実に手続きを進めることができます。相続税の申告は、被相続人が亡くなってから原則10ヶ月以内と期限も短いです。期限を過ぎると、相続税を減額できる特例などを利用できなくなることもあります。自身で期限内に間に合わせることが難しい場合は、税理士に依頼して進めることをおすすめします。

初回の相談は無料で対応している税理士も多いので、まずは気軽に相談してみるとよいでしょう。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい