お役立ちコラム一覧

相続税の税務調査とは?行われる可能性や注意すべき問題

2022年01月21日

税務調査と言われても「実際に身の回りで調査を経験した人は居ないし、自分とは関係がない」と考えている方も多いはずです。ですが、相続税を正しく申告しなかった場合、怪しい動きが見つかって目をつけられてしまう可能税はゼロではありません。税務調査を受けるなんて相当レアだと考えて嘘の申告をしてしまうと、痛い目に遭ってしまう可能性も高いので、必ず正しく申告をする必要があります。

そこで、相続税の税務調査ではいつ、どのようなことが行われるのか解説します。また、実際にどの程度税務調査されているのかなどについてもご紹介します。

この記事を読むことによって、相続税に対する税務調査の詳細がわかります。どのようなものなのかを理解しておきたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

相続税の税務調査とは

相続税の財務調査とは、申告内容が正しいか調べるために行われる調査です。基本的に日本では、税金を自分で計算して申告し、それを納める申告納税制度が取られています。

申告する際に計算ミスなどで誤りが発生したり、税金をごまかすために嘘の申告をしたりするケースも少なくありません。そのため、税務署では申告漏れや嘘の申告を見抜くため、預貯金に関する流れや生命保険を入念に確認しています。税務署が業務として調査するために実にさまざまな情報を、先に入手する事ができるので、ある程度、確信を持って調査に来ています。

その結果を受け、申告内容と相違があると判断された場合、税務調査が入ることになるのです。税務署は所得税や過去に支払った相続税のデータもそれぞれ調べてある程度調査対象にあたりをつけています。相続税と所得税は全く別ものと考えている方も多いですが、同じシステムで管理されていますので、収入が多く所得税を多く支払った人や過去に親等から財産を引き継いだときに相続税を多く支払っている富裕層ほど、蓄積された財産も多く、高額の納税となることが予想されますので、調査を受けやすくなります。

相続税の税務調査はどこで行うのか

調査の結果、税金をごまかしているのではないかと判断されたような場合は、訪問調査が行われることになります。税務調査が行われるのは、被相続人が最後に住んでいた場所、おもに自宅です。税務署の職員である調査官は申告漏れとなっている自宅の金庫に保管されていた現金や子や孫などに暦年贈与されたお金の動きなどを金融機関の口座の動きを通帳で取引を見て怪しい点を探します。相続財産は仏壇や仏具など非課税となる一部の財産を除いてすべて相続税の課税対象です。そのため、絵画や骨董品などが申告漏れになることも多く、被相続人が亡くなるまで自宅を調査して、納めた税金が正しいか確認するのです。

ただ、被相続人が一人で暮らしていたなど、ケースによってはすでに売却しているような場合もあるでしょう。
こういったケースでは、被相続人が取引していた銀行の通帳などを管理している相続人の自宅で行われるのが一般的です。

相続税の税務調査はどのように行われるか

税務調査には任意調査と強制調査の2種類の制度があります。

まず、任意調査はあらかじめ電話などで税務署から連絡が入り、日時を決めたうえで行うものです。家の中を勝手に見て回られるようなことはなく、調査官が自宅に行って質問に答える形式で行われます。

次に、強制調査は当日まで連絡なく、国税局査察部(通称マルサ)が抜き打ちで行います。あらかじめ連絡をして調査することを説明しておくと調査対象の証拠を処分されてしまうようなケースもあるため、突然調査官が直接自宅に来ることになります。脱税の疑いが非常に高く高額な場合に選択されるようです。一般的には任意調査が多いですが、どちらになるかはケースによって変わります。尚、どちらの場合も基本的に拒否はできません。

相続税の税務調査はどれくらい時間がかかるか

ケースによって異なりますが、早く終われば半日ほど、長くかかった場合は2日以上かけて行われることもあります。調査しなければならないものの数が多いほど、時間をかけて調査をするものだと考えておきましょう。ほとんどのケースでは1日で終了しますが、対応には大きな負担がかかります。

税務調査が行われる可能性は高いのか

税務調査は、相続税を申告したすべての人を対象に行われるわけではありません。国税庁が発表しているデータについて、以下にご紹介しましょう。

平成30事務年度における相続税の調査等の状況についてです。平成30事務年度とは、平成30年7月~31年6月までのことをさします。この期間に平成27年に発生した相続を中心に調査を行いました。

平成27年に申告された相続税の件数は、控除の範囲内だったなどの理由によって納税額がなかった申告31,011件も含めると136,891件です。一方、平成30事務年度で行われた税務調査を件数は12,463件でした。

つまり、全体の約9.1%に対して税務調査が行われたことになります。相続発生した時に調査される確率はかなり高いと言えるのではないでしょうか。年度によって異なりますが、一つの参考にしてみてください。

参考:国税庁:平成29年分の相続税の申告状況について
参考:(PDF)国税庁:平成30事務年度における相続税の調査等の状況[PDF]

税務調査で本当に問題は見つかっているか

では、税務調査が行われた結果、実際に申告漏れなどが指摘された方はどのくらいいるのでしょうか。先程ご紹介した平成30事務年度における相続税の実地調査の状況では、12,463件の税務調査が行われたとご紹介しました。

このうち、申告漏れなどが見つかった件数は10,684件です。行われた税務調査のうち、実に85.7%で申告漏れがあったことになります。その結果、申告漏れ課税価格は総額3,538億円にもなっています。調査された者の中で指摘された人は8割を超えており、徹底的な調査により、ほとんどの人が指摘され、税額も大きいといっていいでしょう。

金額を見てもわかる通り、相続税の税務調査は申告漏れ等が見つかる件数が多く、なおかつ金額も大きいといえます。だからこそ調査する側としても力を入れている項目だといえそうです。

通常、課税当局は、税務調査に入る前に金融機関などから事前に被相続人だけでなく家族の資料も入手し、生前に出金した預金の額や配偶者の口座にうつした履歴などを把握し、怪しいと判断した場合に税務調査に入ると言われています。そのため、海外の口座や家族の口座を作成して資金を移転するなど、嘘の申告をしたり、相続税が発生していないふりをして無申告でいたりしてもその後に、調査でバレてしまうリスクは高まりますし、上記のデータの様に多額の申告漏れが発覚する傾向があります。

非常に念入りな準備のうえ調査が行われるため、隠し通すのは難しいです。相続税や贈与税の嘘の申告がバレてしまった際には加算税や期限を過ぎてしまった場合の延滞税などのペナルティも重く後悔することになるので、正しく申告、納税を行いましょう。特に、本来申告する財産を故意に隠していた場合や明らかに基礎控除を超えることがわかっていて申告しなかった場合などは無申告加算税や重加算税と言われるさらに重い税金を追加で課されることになり、課される税金も大きくなってしまいますので、正しく申告することが大切です。

参考:(PDF)国税庁:平成30事務年度における相続税の調査等の状況[PDF]

計算した相続税の金額に間違いのないように要注意

いかがだったでしょうか。相続税の税務調査とは何か、どのように行われるのかなどについてご紹介しました。税務調査の対象となった場合、時間も取られますし、万が一追徴になると大変です。申告の際に添付する書面などの作成に不安を感じる方も多いでしょう。

相続が発生すると預貯金などの金融資産や株式不動産などあらゆる財産を合計して、計算する必要があります。

関連する本やサイトなどで調べることもできますが、専門家のような知識がない方が自身で土地や建物などの不動産の評価や特例の適用可否を判断して、期限内である10ヶ月以内に正確に計算することは簡単ではありません。税務調査の対象になるのを回避するためにも税理士に相談してみてください。税務調査で指摘を受けないための対策としては相続財産に関する書類をしっかりと作成し、正しい申告をするしかありません。

税理士に依頼する際は相続税の申告や資産の評価を数多く実施しており、相続税や贈与税に強い税理士事務所・税理士法人に依頼するようにしましょう。申告を依頼すると費用が掛かりますが、小規模宅地の特例などを活用することで節税をすることができる可能性もありますし、税務調査で指摘され、加算税を支払うよりも安く済む可能性もあります。初回の相談はサービスで応じてくれるケースが多いので、まずは気軽に相談してみるとよいでしょう。

税務調査を受ければ、修正申告などの負担が大きくなります。税金のプロである税理士に依頼することで、金融機関の名義変更や所有する不動産の登記などで忙しい時期の相続人の負担を大きく減らすことができるでしょう。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
税理士選びにお困りなら、まずは無料相談でお気軽にご相談ください!

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい