相続が発生すると、被相続人名義の預貯金・不動産・有価証券などを相続人の名義に変更していくことになり、また相続税の申告手続きも必要となる場合があります。これらをスムーズに遂行するためには専門家に依頼する必要があります。ただ、専門家といっても「弁護士」「司法書士」「税理士」「行政書士」など相続に関わる専門家が多く、一般的にはどのケースでどの専門家に相談するべきかがわかりにくいものです。
相続手続き相談の入り口は司法書士が便利
司法書士とは何をする専門家なのか?
登記とは、不動産や会社などの記録が各管轄法務局で保管されており、その内容に変更があった場合には当事者から申請することになっています。しかし、その手続きは複雑な場合が多いため、代理人に依頼することができます。その登記申請代理を職務とするのが司法書士です。
相続登記とは?
人が死亡すると相続が開始します。死亡した人を被相続人といいますが、被相続人が所有していた財産は法律で規定された相続人に引き継がれます。例えば、配偶者と子ども2人が相続人だとすると、その相続分は配偶者が2分1、子ども全体で2分1(1人4分の1)となります。預貯金などの金融資産は分けやすいですが、不動産などは分けにくい財産ですから、相続人の名義に変更する登記をする場合には悩むところです。
相続の際の話し合い(遺産分割協議)
上述の通り、不動産などは分けにくいため、話し合い(遺産分割協議)をすることにより、法律で定められた相続分を調整することができます。たとえば、配偶者を不動産の承継者とする代わりに子どもの預貯金などの取得額を増やす、あるいは、不動産を売却して得た売却代金を分ける、などの方法があります。実際に法律で定められている相続分以外の割合で相続登記をする場合には、遺産分割協議書を作成して登記申請の際法務局に提出しなければなりません。司法書士には、遺産分割協議書の作成を含め、相続におけるこのような一連の流れにそって、総合的なサポートを依頼することができるのです。
司法書士は公的書類の収集もできる
相続が開始した場合の手続きは、被相続人が出生した時から死亡した時まで途切れることなくすべての戸籍を集めることからスタートします。出生した場合、婚姻した場合、本籍を変えた場合、戸籍の様式が法律で変更になった場合などに新しい戸籍が作られますから、生まれてから死亡するまで一通の戸籍で相続手続きができる人はいません。すべてを集めるには、誰が戸主のどの本籍地からこの戸籍に移ってきたのか、を読み取る必要があり、特に手書きの古い戸籍になると、とても煩雑な作業となります。
司法書士は、依頼内容の実現に必要な範囲内であれば職権で戸籍等の公的書類を代わりに集めることが法律で許されています。ですから、相続手続きを司法書士に依頼すると戸籍などの公的書類の収集を丸投げすることができるのです。
ただし、相続登記の際に提出する遺産分割協議書には実印を押し、印鑑証明書を添付する必要がありますが、印鑑証明書は司法書士が職権で取得できませんから、ご自身で用意する必要があります。
まとめ
今回は相続手続きを司法書士に相談することの便利さをみてきました。もし、相談する中で司法書士には代理できない相続人間の紛争の解決や相続税の申告などが必要となった場合には、司法書士が提携している弁護士や税理士につないでもらえるため、新たに探す必要もなく安心です。
相続が開始した場合には、相続専門の司法書士にまず相談してみることをおすすめします。