資産を多く保有する人の相続が発生すると相続税の評価を行う必要があります。財産の評価額が基礎控除の金額を超える場合は、相続発生から10ヶ月という短い期間で相続税を申告する必要がありますので早めの対応が必要です。
被相続人が相続財産として不動産を保有している場合も多いでしょう。土地は利用状況によって農地や宅地、雑種地などさまざまな地目で分かれており、地目によって評価の方法が異なります。土地の評価は複雑で、様々な事情から影響を受けますのでさまざまな知識がないとできません。
今回は雑種地の評価の価額や注意するべき点や考え方について解説します。
雑種地とは
登記簿に雑種地と記載されている土地は宅地、田、畑、山林など、いずれの地目にも属さない宅地のことです。雑種地の代表的な例が駐車場の敷地として使用しているケースや事業の資材置き場、テニスコートやゴルフ場などのスポーツ施設を運営している土地など収益を上げている土地もあれば、住宅などの建築物が建っておらず、何も利用していない空き地や原野があげられます。雑種地や山林だけでなく、市街地にあるもの多く全国的に点在しています。
上記の通り、雑種地は積極的に状況を見て雑種地として種類の判定するのではなく、他の地目ではないという消去法で雑種地であることが確定します。そのため、評価をする際に雑種地として判断してよいかどうか迷う場合は役所に確認するとよいでしょう。
雑種地の評価方法
ここからは雑種地の具体的な評価方法について解説します。
雑種地の評価の原則は、宅地比準方式という通常の宅地に近い評価方法に応じて評価をすることになります。市街化区域にある土地であれば、周辺の近傍宅地と同様に路線価に面積を乗じて価格を算出します。路線価のない地域であれば、固定資産税評価額から倍率で求めることになります。
宅地と近い評価方法をする理由は雑種地は田や畑などに比べて利用に制限がかからないからです。駐車場などの更地となっていることも多く、建物を建てることができる場合も多いからです。
店舗や住宅などの宅地と異なる点は造成費用が認められる可能性がある点です。実際に造成費用が掛かる場合は造成費用相当分を減額することが可能です。基本的に造成費用は都道府県によって定められています。ただし、駐車場として利用している場合など造成費用が必要ない場合には減額することができません。
市街化調整区域の場合は比準する土地に応じて評価を行います。例えば、山林に比準している土地であれば山林と同じ評価をしますし、宅地に近い土地であれば宅地として評価を行います。つまり、現況に対応して評価をする必要があるということです。
相続税の計算をする際は各種財産を評価する必要があります。相続が発生してから10ヶ月という短い期間で申告を完了させる必要があります。遺産の分割方法を考える時間もかかることを考えるとかなり短い期間といえるでしょう。
申告に遅れると加算税が課されます。国税庁のホームページなどで評価方法を確認することができますが、不動産の評価は非常に複雑ですので、保有している土地・建物の評価を事前に確認しておくようにしましょう。
雑種地を承継する場合の対策はその土地の特徴によって大きく異なりますので一概に語ることはできません。宅地に近い雑種地であれば宅地に近い対策が必要となり、農地に近い雑種地であれば農地に近い対策が必要となるでしょう。ただし、評価方法が複雑になることが多いので、事前に確認しておくことが重要となります。実務上は役所に確認しなければわからない点も多くあります。
また、他の財産がどれくらいあるかによって相続税の率も変わってきますので、次の世代に迷惑をかけないように各種財産を生前に一覧の表に記載しておくとよいでしょう。また、複数の相続人がいて権利関係が複雑になりそうな場合には誰に遺すかを事前に決めるために遺言を書いておくことも重要です。
土地の評価に迷う場合は税理士に相談を
土地の評価はさまざまな条件を考慮する必要があるため、簡単ではありません。貸家なども自用地とは異なる評価方法があり、特例も多くありますので、要件も複雑ですのでポイントをおさえて申告手続きをする必要があります。国税庁の通達やホームページ、一般に販売されている書籍などを確認すれば自分で知識を得て計算することもできます。
しかし、土地の用途や不整系の土地や奥行がある土地は形状によって補正がかかり、路線価や固定資産税の評価額から大きく減額できることもあります。土地の評価は売買の価格と相続税評価が大きく異なりますので、相続税としての評価方法を事前に確認する必要があります。他にも評価が複雑な財産がある場合は事前に確認しておきましょう。
また、課税の対象となる不動産の特例の適用受けることができるかの条件や評価額の算定も複雑ですので、判断に迷う場合は税金の専門家である税理士に相談してサポートを受けるようにしましょう。相続税に強い税理士は事務所のサイトなどで確認することができます。万が一誤った申告をした場合、税務調査などで指摘され、加算税を請求される可能性があります。
税理士と面談する場合は、該当する土地の登記簿などを持っていくことで、税理士も的を得た回答をすることができます。税理士に相談する際はできるだけ土地の情報をもって相談に行くようにしましょう。申告も依頼する場合は費用がかかりますので、見積もりをもらうとよいでしょう。
相続税や贈与税は税制改正も頻繁にありますので、相続税申告の実績が豊富な税理士や税理士法人に依頼することも重要です。
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