相続が発生するとあらゆる財産が課税対象になりますが、近年増えている資産としては仮想通貨(暗号資産)があります。仮想通貨(暗号資産)どのように評価をすればよいのでしょうか。具体的に解説します。
仮想通貨(暗号資産)は相続税の課税対象になる?
結論から言うと、仮想通貨(暗号資産)は相続税の課税対象になります。
被相続人が保有していたビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、現金や不動産と同様に「財産的価値のある資産」として相続財産に含まれます。
近年は資産のデジタル化が進み、暗号資産を保有する人も増えているため、相続手続きや税務申告での重要性が高まっています。
仮想通貨は相続財産として扱われる
暗号資産は、民法上の「物(有体物)」ではありませんが、資金決済法上の「暗号資産」として定義され、相続税法上は「金銭的価値を見積もることができる財産」として課税対象になります。
そのため相続が発生すると、
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取引所の口座残高
-
ウォレットに保管された暗号資産
-
ステーキング報酬として得た資産
なども相続財産として扱われます。
現金・株式・預金との違い
仮想通貨は相続財産ですが、評価や管理方法には特徴があります。
■ 主な違い
| 資産 |
評価基準 |
管理方法 |
価格変動 |
| 現金・預金 |
額面 |
金融機関 |
なし |
| 株式 |
市場価格 |
証券会社 |
あり |
| 仮想通貨 |
時価 |
取引所・ウォレット |
非常に大きい |
特に仮想通貨は価格変動が激しく、相続税評価と納税時の価値が大きく変わる可能性があります。
NFT・ステーブルコイン・トークンも対象になる?
基本的に、経済的価値があるデジタル資産は相続財産になります。
✔ NFT(デジタルアート・ゲーム資産など)
✔ ステーブルコイン(USDT、USDCなど)
✔ DeFiトークン
✔ DAOトークン
ただし、NFTの評価方法は市場価格が不透明な場合もあり、個別判断が必要です。
仮想通貨を相続したときに課税される税金の種類
仮想通貨を相続した場合、課税は相続時と売却時で異なります。
相続時にかかる「相続税」
被相続人の死亡時点の時価で評価され、相続財産に含めて相続税が計算されます。
つまり、
👉 保有しているだけで課税
👉 売却していなくても課税対象
となります。
売却時にかかる「所得税・住民税」
相続した仮想通貨を売却して利益が出た場合、**所得税(雑所得)**の対象になります。
■ 課税対象
売却価格 − (被相続人の取得価額を引き継いだ額) = 利益(所得)
※相続時の評価額ではありません。
二重課税ではない理由
相続時と売却時に課税されるため「二重課税では?」と思われがちですが、課税対象が異なります。
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相続税 → 財産取得に対する課税
-
所得税 → 売却益(利益)に対する課税
したがって、同じ対象への重複課税ではありません。
仮想通貨の相続税評価方法(価格の決め方)
仮想通貨の相続税評価は、「いくらの財産として計上するか」を決める重要なポイントです。
評価基準日は「被相続人の死亡日」
相続税評価は、死亡日時点の価格で行います。
仮想通貨は価格変動が激しいため、数日違うだけでも評価額が大きく変わる可能性があります。
取引所の時価を基準に評価する
基本的には、暗号資産取引所で公表されている市場価格(時価)を基準に評価します。
国税庁の指針(活発な市場がある場合)に基づくと
被相続人が利用していた取引所が公表する、死亡日の「終値」(中値など、その取引所が公表する1日の基準価格)で評価します。 死亡日の価格がない場合は、死亡日に最も近い前後の日の価格などを基に判定します。
複数取引所に保有している場合の評価方法
複数の取引所に同じ通貨を保有している場合は、
✔ 各取引所ごとの価格を基に評価
✔ 合理的な平均価格を用いる
など、継続性と合理性のある方法で評価します。
重要なのは、評価方法の一貫性です。
国内取引所がない通貨の評価方法
国内外を問わず、その暗号資産の「活発な市場」が存在するかどうかで判定します。活発な市場がある場合は、原則として被相続人が利用していた海外取引所の公表価格を用います。活発な市場がない場合は、客観的な交換価値を個別に鑑定・評価する必要があります。
流動性が低い場合は専門家への相談が推奨されます。
相続税額はどう決まる?計算の流れ
仮想通貨だけで税額が決まるわけではなく、他の相続財産と合算して計算されます。
仮想通貨の評価額を確定する
まず死亡日時点の時価を基に評価額を算出します。
例:
ビットコイン 1BTC × 900万円 = 900万円
相続財産の総額に合算する
仮想通貨の評価額は、以下と合算されます。
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預貯金
-
不動産
-
株式
-
生命保険金(みなし相続財産)
この総額が課税対象財産となります。
基礎控除と税率の適用
相続税には基礎控除があります。
基礎控除額
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
この控除額を超えた部分に対して、累進税率が適用されます。
税額の計算例(ビットコインを相続したケース)
■ 事例
-
ビットコイン評価額:900万円
-
その他財産:4,000万円
-
相続人:配偶者+子1人(計2人)
■ 基礎控除
3,000万円 + 600万円×2 = 4,200万円
■ 課税対象額
4,900万円 − 4,200万円 = 700万円
この700万円に対して相続税率を適用して税額を算出します。
仮想通貨相続の手続きの流れ
仮想通貨を相続する場合、銀行預金のように自動的に名義変更されるわけではありません。
取引所の手続きやウォレット管理の確認など、デジタル資産特有の対応が必要になります。
一般的な流れは次の通りです。
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取引所へ死亡の届出
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残高証明書・取引履歴の取得
-
相続人への名義変更・移管手続き
-
ウォレット資産の引き継ぎ
取引所へ死亡の届出を行う
まず、被相続人が利用していた暗号資産取引所に連絡し、死亡の事実を届け出ます。
通常は以下の書類提出が求められます。
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死亡診断書または戸籍謄本
-
相続関係を証明する戸籍書類
-
相続人の本人確認書類
-
遺言書または遺産分割協議書
届出後、口座は凍結され、不正出金が防止されます。
残高証明書・取引履歴の取得
相続税申告のためには、死亡日時点の資産額を証明する資料が必要です。
取得すべき主な資料:
これらは税務申告時の重要書類となるため、早めに取得しておきましょう。
相続人への名義変更・移管手続き
取引所ごとの手続き完了後、仮想通貨は以下の方法で移管されます。
✔ 相続人の取引所口座へ移管
✔ 仮想通貨の売却後、現金で分配
✔ 代表相続人が管理し清算
遺産分割協議の内容に従い、適切に分配することが重要です。
ウォレット・秘密鍵管理資産の引き継ぎ方法
取引所ではなく、個人ウォレット(ハードウォレット・ソフトウォレット)で保管されている資産は、秘密鍵がなければアクセスできません。
引き継ぎに必要なもの:
-
秘密鍵(Private Key)
-
リカバリーフレーズ
-
ウォレットアプリ情報
これらが分からない場合、資産を取り出せない可能性があります。
仮想通貨相続でよくある注意点
仮想通貨は管理方法が特殊なため、相続時のトラブルが起こりやすい資産です。
パスワード・秘密鍵が不明で引き出せない
最も多いトラブルが、アクセス情報不明による資産凍結です。
仮想通貨は銀行のように再発行ができないため、
が不明な場合、資産を永久に失う可能性があります。
価格変動リスクと納税資金の準備
仮想通貨は価格変動が激しく、
というケースも起こります。
そのため、
✔ 一部売却による納税資金確保
✔ 価格変動を見越した資金準備
が重要です。
申告漏れによる税務リスク
仮想通貨は匿名性があると思われがちですが、取引履歴は追跡可能です。
申告漏れが発覚した場合:
が課される可能性があります。
海外取引所・DeFi利用時の注意点
海外取引所やDeFiを利用している場合、相続手続きが複雑になります。
注意点:
-
英文書類対応が必要
-
手続きに時間がかかる
-
管理者不在のDeFiは相続困難
資産の所在把握が重要です。
相続後に仮想通貨を売却した場合の税金
相続した仮想通貨を売却した場合は、相続税とは別に所得税が発生する可能性があります。
売却益は取得費を引き継いで計算する
売却益は次のように計算します。
売却価格 -被相続人の取得価額を引き継いだ額= 利益
この評価額が取得費として引き継がれます。
雑所得として総合課税の対象になる
仮想通貨の売却益は「雑所得」として扱われます。
そのため:
最大税率は住民税を含め約55%になる可能性があります。
損益通算ができない点に注意
仮想通貨の損失は、
✖ 給与所得との相殺不可
✖ 株式の利益との相殺不可
となっています。
税務上の取り扱いを理解して売却時期を検討することが重要です。
仮想通貨を安全に引き継ぐための生前対策
仮想通貨は準備不足による相続トラブルが非常に多い資産です。
生前対策により、相続人の負担を大きく減らすことができます。
家族に資産の存在を伝えておく重要性
仮想通貨は存在自体が分からなければ相続できません。
最低限伝えておきたい内容:
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仮想通貨を保有していること
-
利用している取引所
-
ウォレットの有無
秘密鍵・ウォレット情報の管理方法
安全かつ確実に引き継ぐためには、
✔ 紙に記録して保管
✔ 金庫・貸金庫で保管
✔ 信頼できる家族へ共有方法を準備
など、第三者が確認できる形で管理することが重要です。
遺言書やエンディングノートの活用
遺言書に記載しておくことで、相続手続きが円滑になります。
記載例:
エンディングノートも補助的な情報共有として有効です。
生前贈与を検討する際の注意点
仮想通貨の生前贈与も可能ですが、
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贈与時の時価で贈与税が課税
-
価格変動リスク
-
名義管理の重要性
などに注意が必要です。
まとめ|仮想通貨の相続は早めの準備が重要
仮想通貨は便利な資産である一方、管理方法が特殊で相続トラブルが起きやすい特徴があります。
相続税の対象になることを理解する
暗号資産は財産的価値を持つため、相続税の課税対象となります。
評価方法と申告ルールを把握する
死亡日時点の時価評価や申告方法を理解しておくことで、税務リスクを回避できます。
トラブル防止のための事前対策を行う
秘密鍵管理や資産情報の共有など、生前の準備が相続トラブル防止の鍵となります。
不安がある場合は専門家へ相談を
仮想通貨の相続は税務・法律・セキュリティの知識が必要です。
✔ 相続税申告
✔ 評価方法の判断
✔ 海外取引所対応
✔ 生前対策の設計
などに不安がある場合は、税理士など専門家への相談をおすすめします。
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