お役立ちコラム一覧

社長が亡くなった時に必要な対応は?

2025年10月04日

相続が発生すると、相続人は遺産相続に関する様々な手続きを行う必要があります。また、被相続人が会社の代表であった場合は後継者を決める必要があります。当記事では会社の社長が亡くなった時の対応について解説します。

代表取締役が死亡した場合の株式の対応

代表取締役が死亡した場合、株式は相続の対象となります。代表取締役が株式の大部分を持っている場合などは、速やかに相続する人を決めないと会社の経営に支障が生じます。

 

突然相続が発生し、遺言書がない場合は、相続発生後に相続人で協議により決める必要がありますが、会社経営が混乱すると従業員にも迷惑がかかるため、出来れば生前に遺言書を書いておいた方がよいでしょう。

取締役の選任

会社の代表取締役となっている人が死亡した場合は、当然に代表取締役を選定する必要があります。

取締役会が設置されている場合は取締役会で代表取締役を選任することになります。相続が開始したらすぐに取締役会を招集し、取締役会の決議により他の取締役の中から1名を選任することになります。

元々取締役会が非設置で、他に取締役がいない、いわゆる1人取締役の場合は株主総会を開催し、新たに代表取締役を選任する必要があります。

取締役会が非設置で複数の取締役がいる場合、他の取締役の互選または株主総会の決議によって新しい代表取締役を選任することになります。

新たな代表取締役の選任が完了したら、速やかに法務局で商業登記の変更登記を行う必要があります。

代表取締役が亡くなった時の財産配分における注意点

社長が亡くなった時は上記に解説した通り、法人の後継者を選定する手続きが必要となりますが、遺された家族は遺産の配分を行う必要があります。社長が亡くなった時の注意点について解説します。

株式の相続が重要

会社の社長の場合、多くのケースで、会社の大部分の株式を保有しており、誰が相続するかが非常に重要となります。

相続人が会社経営に関与していない場合、株主として大きな権限を突然保有することになり戸惑うことになるでしょう。また、相続人が複数いる場合は株式が分散するケースもあります。株式が分散することで、経営の意思決定がなかなかできなくなる可能性もあります。

不動産を事業用に使用しているケースもある

個人経営の会社の場合は、代表者個人で所有する土地を会社経営にも利用しているケースがあります。このような場合は、土地を相続して登記をする際に、引き続き事業用に使うか否かを決めておかないと後々トラブルになる可能性があります。

遺言を作成しても遺留分を侵害する可能性が高い

中小企業の代表や役員として、株式やアクセスのよい事業用の土地を保有している場合、多くの人が遺言を作成します。しかし、株式を特定の人に相続させるケースや事業用の広い土地を相続させると遺留分を侵害するケースがあります。遺留分を侵害している場合は、侵害している人については全員で合意しておくことが重要です。相続人のうち一人で合意できないと、分割を行うことはできません。配分によってはそれぞれの関係が悪化し、遺産分割がうまくできないこともあります。

まずは財産を一覧の表にまとめて、自分の希望する配分どおりに分けると遺留分侵害になるかどうかを確認し、必要に応じて事前に相続人同士で話し合いをするようにしましょう。場合によっては事業を引き継がない相続人には相続放棄をしてもらわないと、財産配分を確定できない可能性があります。

遺言の作成方法や内容に不安がある場合は、遺言を作成する前に企業法務に関する知識も豊富な弁護士や司法書士、税理士など専門家にアドバイスを依頼して、サポートを受けて手続きを行いましょう。

納税資金不足になる可能性が高い

被相続人の財産が基礎控除を超えている場合、財産を取得した者は原則10ヶ月以内に相続税の申告と税金を現金で一括納付する必要があります。

通常の家庭では財産の多くが自宅不動産と預貯金や株式などの金融資産がほとんどであるため、引き継いだ相続財産の中から相続税を支払えるケースがほとんどです。

しかし、株式を引き継いだ場合は会社の運営を続けるために株式を保有し続ける必要がありますので引き継いだ株式を売却して納付することはできません。

そのため、引き継いだ資産で税金を支払うことができず元々自分が保有していた預貯金から相続税を支払う必要が生じるケースがあります。

債務があるケースがある

代表取締役の場合、個人名義でも借入金などの債務があるケースが多いです。債務がある場合は、書類を確認し、債務承継の手続きも行う必要があります。債務がある場合はマイナスの財産としてプラスの財産から差し引くことができます。

債務が多い場合は相続放棄をすることもできますが、相続放棄をするとすべての財産を承継する権利・義務を失うことになります。

相続手続きや事前の対策にお悩みの場合は専門家に相談を

会社の社長が亡くなった場合、財産の配分だけでなく、会社の運営にも問題が起こる可能性があります。円滑に事業承継を行うためには遺言の作成や定款の見直しが必要な場合もあります。

費用はかかりますが残された家族が困らないように、専門家のサポートを受けて事前に対策を打つことが重要です。特に事業を承継する際の相続対策には時間がかかることも多いので、状況に応じて早めに対策を進めるようにしましょう。

相続対策を検討する際は普段から業務で相続税に関わっている専門家に相談することをおすすめします。特に相続税に関する法律や制度、特例の条件は複雑です。自社株の評価も大変な作業が伴います。相続税を誤って請求すると、税務署から指摘され加算税を請求される可能性があります。

税金についての相談は税務の専門家である税理士に相談するとよいでしょう。

広島相続税相談テラスでは相続税に詳しい経験豊富な税理士が多数在籍しており、初回の相談無料で対応しております。ぜひお気軽にお電話やメール等でご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい