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相続税の節税対策とは?税理士がおすすめの方法を解説!

2025年07月16日

財産が多く、基礎控除を超える方が亡くなると、財産を取得した相続人が相続税を支払う必要があります。

自分が亡くなった時にできるだけ家族に負担をかけないようにしたいと考えている人は多いでしょう。相続税対策はさまざまなものがあり、デメリットも考慮して自分にあった対策か否かを判断することが大切です。

当記事ではおすすめの相続税対策と注意点についてポイントをおさえて解説します。

相続税対策の前に現状の把握を行う

相続税対策をするために、節税につながる方法を具体的に検討しようと考える方が多いと思いますが、まず初めに行っていただきたいことは将来が相続が発生した場合の現状の確認です。

相続税の計算の方法は金融機関に預けている預貯金や株式や債券などの有価証券、土地・建物等の不動産や金など、課税対象となる相続財産の合計から債務と基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)を差し引いた後に、法定相続割合で分割したものとして、相続税の総額を計算し、取得した割合に応じて各人が払う税額を算出します。法定相続人の人数は相続放棄をした人がいても、人数としてはカウントします。

相続財産を計算するためには各財産を評価してまとめた、一覧の表を作り、計算を行う必要があります。実際に支払う税金は実際に死亡した時の時価になりますし、税制改正によって前提が変わる可能性もありますので、相続開始前に行うシミュレーションとは多少ずれますが、現状を把握しておいた方が良いでしょう。

基礎控除の範囲内であれば、対策をする必要はありませんし、居住用の不動産の土地などに使える小規模宅地の特例や配偶者控除などの特例等を活用することで、相続税が0円になる場合もあります。このような場合にはそもそも節税対策を行う必要がありませんので、現状でどれくらいの相続税がかかるか、把握しておく必要があります。

おすすめの相続税対策

相続税対策にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な方法と注意点、対応方法について解説します。

分け方を決めておく

相続税の節税をするにあたって相続財産の分け方や承継の方法や方針を決めることは非常に重要です。相続税には特例があり、誰が何を取得するかによって利用可否が決まります。

例えば、配偶者控除は配偶者が財産を相続した場合、1億6,000万円または法定相続分までは財産を取得しても非課税となります。一方で、配偶者が財産を多く取得したことで二次相続で配偶者が亡くなった時にかえって負担が大きくなる可能性がありますので、控除を使うことも注意が必要です。

小規模宅地の特例は同居の親族や持ち家を持たない子等が自宅の土地を取得した時に最大330㎡まで80%減額できる制度です。対象の土地が1㎡あたりの金額が高い、都会の方が評価減の効果は大きくなります。

特例を適用することで評価額を下げることができ、節税になる場合でも、自宅の土地を単独で取得することによって、配分が不公平になる可能性があります。課税される税金の負担は軽減できますが、配分でトラブルになる可能性がありますので、注意が必要です。

遺産分割の方法をしっかりと決めることができた場合は遺言書を作成しておくとよいでしょう。遺言があれば、相続発生以降、相続人同士が遠方に住んでる場合や関係が良くない状況でも分け方について話し合う必要がないため、円満にに手続きを進めることができます。ただし、遺留分を侵害するような遺言を作成しても遺言通りに分けられない可能性があるため、遺留分については配慮して分け方を考える必要があります。法定相続割合を基準に検討するとよいでしょう。

生前贈与を行う

生前贈与は年間110万円の基礎控除の範囲で相続人に資金を渡すなど、自分の資産を減らすことで、相続税の節税を目的とする方法です。

生前に贈与をすることは法定相続人以外にも行うことができますので、毎年子どもの配偶者や孫などにも贈与をすることで多くの財産を贈与することができます。ただし、暦年贈与の場合は、贈与をしたあと7年間は相続財産に繰り戻されますので、早めから贈与を始める必要があります。

暦年贈与を行う場合は110万円を超える贈与を行った場合は贈与により財産を受け取った者が贈与税の申告を行う必要があります。

贈与税にも特例があり、祖父母などから孫等への教育資金のための贈与であれば1,500万円まで、親などから子への住宅取得資金のための贈与であれば最大1,000万円まで、結婚・子育てのための資金であれば1,000万円まで非課税で贈与を行うことが可能です。

教育資金は孫に行われることが多いですが、子どもによって孫の数が違う場合や、持ち家購入の有無によって不公平が生まれる可能性があります。多額の贈与を行った場合、贈与を受けることができない他の相続人とトラブルになる可能性がありますので、トラブルを回避するために税額を減らすことだけでなく、配分にも注意して贈与を行うようにしましょう。

また、贈与契約は口頭でも行うことができますが、書面に残しておいたほうがよいでしょう。

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険の死亡保険金は法定相続人×500万円の非課税枠がもうけられており、制度を活用することで、節税することが可能です。例えば、法定相続人が2人の場合は1,000万円まで非課税となります。また、生命保険は預貯金よりも早く受け取ることができるので、受取人を配偶者や子にすることで葬式代などを保険金から支払うことができます。

簡単で確実に一定の節税ができる方法として、一般的に利用されている方法ですので、生命保険を契約していない方は、しばらく使う予定がない預金のうち一定額を生命保険に切り替えることを検討してみてもよいでしょう。

生命保険にはさまざまな種類があり、途中解約時に支払った保険料が戻ってこず、元本割れするケースも多いので、商品内容をよく理解して契約するようにしましょう。

不動産を有効活用する

相続が発生した際の遺産について現金で保有しているよりも不動産を購入した方が節税になるということを聞いたことがある人も多いでしょう。

その理由は不動産の評価方法が時価よりも低くなることが多いことが原因です。土地は路線価×面積で評価を行いますが、路線価は時価の8割程度に設定されています。建物は固定資産税評価額で評価を行いますが、時価の5割~7割程度となることが多いです。

そのため、現金で1億円を持っているよりもマンションなどを購入し、土地・建物を購入すると課税対象となる課税価格が下がるというメリットがあります。

また、土地を保有している場合は土地にアパートなど貸家とするための建物を建築し、賃貸を行うことで、土地の評価が貸家建付地評価となり、課税対象となる価額がさらに下がることもあります。不動産投資を行うことで、節税につながるだけでなく定期的な収入が得られるというメリットもあります。

ただし、不動産の事業がうまくいかず、価値が下がってしまい、収益も得られず、物件を売却したとしても結果的に節税効果以上に損失が出る可能性があることや、管理の手間もかかります。

所有する不動産の時価が大きい場合は相続人に公平に遺産を分割できない可能性や、現金が不足して納税するための現金が足りなくなり、売却しないと一括で支払うことができなくなる可能性がありますので、注意が必要です。

 

相続税のお悩みは税理士に相談を

相続税の節税方法についてここまで解説しましたが、相続税法の課税制度や特例の要件は複雑で、国税庁のホームページには記載されていますが、実際に一般の人が自分の相続が発生した時にどれくらいの相続税がかかるかシミュレーションを行うことは簡単ではありません。

また、相続は個別性も強いため、実際にこれらの節税対策を行う際にどれくらいの節税効果が期待できるかやどのような点に注意をすれば良いかわからないという方も多いでしょう。また、相続が発生した後も、遺された親族が被相続人が亡くなった翌日から原則10ヶ月以内に税務署に申告書を提出する必要があり、短い期限で相続手続きで忙しく時間がない中で手続きを進める必要があります。また、誤った申告をした場合、税務調査で指摘され、通常よりも高い加算税を請求される可能性もあります。

相続税についてお悩みの場合は、費用はかかりますが、税務の専門家である税理士にサポートを依頼することをおすすめします。相続税に強い、税理士法人・税理士事務所に相続税対策の提案をお願いし、申告も依頼することで、相続人の負担軽減をすることができます。

広島相続税相談テラスでは、初回の相談無料で、相続税の相談を行っていますのでお電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい