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養子縁組をしている場合に注意したい相続のメリットとデメリット

2022年01月18日

通常、血の繋がった子供がいる場合、配偶者が財産の半分を、その残りを子供で相続することになります。養子縁組で養子を迎えている方の場合、相続する際にどのような扱いになるのかについて確認しておきましょう。

この記事を読むことによって、相続面から見た養子縁組をするメリットがわかります。また、おさえておかなければならないデメリットもあるので、よく確認しておくことが大切です。
将来的な財産の相続についてよく理解しておきたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

養子縁組とは

本来親子関係ではない方に対し、法律上で親子関係を生じさせるのが養子縁組です。大きく分けて、2つの方法があります。

ひとつ目が、子供が実親と関係を維持したままで養子となる普通養子縁組です。

ふたつ目が、子供が自身の実親に加えその血族との親族関係を終了し、養子となる特別養子縁組です。こちらは経済的な理由や育児放棄などによって実親で育てられないようなケースに多く、実親から切り離して養親が育てることになります。

養子縁組のメリット

養子縁組をすることにより、相続時にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは以下の通りです。

メリット1 相続人が増え相続税の節税になる

養子縁組をすれば、自身の子供として認められる人数が増えるため、法定相続人も増えることになります。これにより、相続税の基礎控除額が増えるのが大きなメリットです。

相続税の基礎控除額の金額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。例えば、配偶者1人に加えて実子が2人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。ここに養子を1人迎えた場合、基礎控除額が600万円増えるので、5,400万円となるのです。

更に、相続人が増える事により相続税の税率が下がり節税になる場合があるのです。

相続税の計算方法は、課税遺産総額を一旦、法定相続人で相続したものとして按分し、それに税率を乗じて計算する為、相続人の数が多い方が1人当たりの相続分が少なくなり税率が下がるのです。

ただし、相続税の基礎控除額算定の対象とできる養子の数は、実子がいないケースで2人、実子がいる場合は1人までとなります。それ以上養子を迎えても相続税の基礎控除額算定の対象とはならないので注意しておきましょう。

また、相続によって取得できる生命保険金、死亡退職金も「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が用意されています。養子の数が増えれば非課税枠も増えることになるので、節税につながるのがメリットです。

メリット2 相続させたい人に相続できる

養子縁組をすることにより、相続させたい人に相続できるのがメリットです。通常、法定相続人以外に財産を残したいと考えた場合、遺贈などを行わなければなりません。

特に多いのが、孫に対して財産を残したいと考えて養子縁組するケースです。

ただ、1親等の血族以外の方が相続人になるような場合は、相続税が2割加算されることになります。養子縁組をした孫であったとしても、同様に2割加算となるので注意しましょう。

また、相続税対策として不当な養子縁組をしたと認められる可能性がある場合、不当と判断された養子の数は法定相続人に含まれません。この点にも注意が必要です。

養子縁組のデメリット

養子縁組が相続に与える影響はメリットだけはありません。以下のデメリットについてもおさえておきましょう。

デメリット1 争族の原因となる場合がある

養子が法定相続人と認められた場合、実子からすると自分が相続できる金額が減ることになってしまいます。これが争族の原因となってしまう可能性もゼロではありません。

そのため、できる限りトラブルを避けるためには、被相続人となる方が生前に相続人とよく話し合いをし、納得してもらうことが重要です。養子を迎える話をした際、それ自体は反対されなかったような場合でも、相続税について頭から抜け落ちている可能性があります。これから養子を迎えようと考えている方は、事前に法定相続人となる方から了承を得ておきましょう。

デメリット2 養子がいることで相続人が減ることがある

メリットの項目でご紹介したのと逆ではありますが、ケースによっては法定相続人の数が減ってしまうことがあります。

例えば、被相続人に子供がいない場合、相続人となるのは配偶者と被相続人の両親です。両親が2人とも健在だった場合、相続人は合計3人となります。

しかし、養子がいる場合、順位の関係で被相続人の両親は相続人とならないため、相続人は配偶者と養子の2人になってしまうのです。法定相続人が3人の場合に比べて基礎控除額が減ることになるので、よく確認しておきましょう。

どのような影響があるのか事前に確認を

いかがだったでしょうか。養子縁組をすることによって、どのようなメリット、デメリットがあるのかについてご理解いただけたかと思います。

単純に節税できるメリットばかりを重視しないように注意しましょう。相続税について何か疑問やお困りごとがある場合は、税理士に相談してみてはいかがでしょうか。専門的な意見を聞いたうえで判断したい方にもおすすめです。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい