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相続税はなぜ必要?「なんのため?」という疑問に専門家が答えます

2026年01月01日

相続が発生すると相続税を支払うことになりますが、なぜ相続税があるのかと疑問に思う人も多いのではないでしょうか。当記事では相続税が何のためにあるのかを解説します。

目次

相続税は「なんのためにあるのか?」と疑問に思うのは自然なこと

相続税について調べ始めた多くの方が、最初に抱くのが
「相続税って、そもそもなんのためにあるの?」
という疑問です。

たとえば、被相続人が亡くなった後に、配偶者や子どもといった 法定相続人 が財産を 取得 するとき、相続財産の に応じて算出される 税額 は決して小さくありません。
そのため、「親の資産なのに、なぜ税金を払わなければならないのか」と感じるのは、ごく自然な感覚です。

親の財産なのに、なぜ税金がかかるのか

相続税に対する違和感の根底には、「すでに税制の中で所得税や固定資産税を払ってきたのでは?」という感覚があります。

ここに 贈与税生前贈与 の制度が絡んでくると、「どの時点で税金が発生するのか」「贈与した額は相続税にどう影響するのか」など、理解がさらに難しく感じられます。

多くの人が相続税に納得できない理由

相続税は人生で何度も経験するものではありません。
多くの方にとって、「突然」「身近な人が亡くなっ」た状況で直面するケースがほとんどです。

実際の 手続き では、

  • 財産の評価(現金・預金・不動産・その他の資産)

  • 法定相続人ごとの分配

  • 相続税額の計算

  • 納税方法の手配(現金納付・延納・物納など)

といった複雑な工程があります。これが、制度に納得できない大きな理由の一つになっています。

「取りすぎ」「理不尽」と感じる背景

特に、土地や自宅といった不動産が多い場合、「現金は手元にないのに高い税額を求められる」という現実があります。代々引き継いできた不動産などを下の世代に引き継ぐだけでも簡単なことではありません。

このような状況では、たとえ法定相続人が納税の意思を持っていても、迅速に納税用の現金を用意できず、贈与税や相続税の両面を考慮した対策が必要になります。

相続税が必要とされる本来の理由【制度の目的】

相続税に対する感情的な反発とは別に、制度としての相続税には明確な目的があります。ここを理解すると、「なぜ存在するのか」が少し整理できます。

相続税と贈与税を合わせた 税制全体の目的 を見ると、相続税は単なる負担ではなく、社会全体のバランスに役立つ役割があります。

相続税の目的① 富の集中を防ぐため

もし相続税がなければ、財産は代々同じ家系に蓄積され続けます。特に不動産などは収益も生むため、結果として、社会全体で見たときに「持つ人」と「持たない人」の差が固定化されてしまいます。

相続税は、富の過度な集中を防ぐ仕組みとして設けられています。

相続税は、一定以上の資産を持つ家庭間で富が固定化するのを防ぎ、富の再分配 を図る役割があります。
累進税率(資産の額が大きいほど高い税率が適用される)を設けているのは、その一環です。

相続税の目的② 機会の平等を確保するため

生まれた家庭によって、スタート地点が極端に違ってしまう社会は、長期的に見て健全とは言えません。

相続税は、教育・インフラ・社会保障などに使われることで、「次の世代に一定の機会を保障する」役割を担っています。

国全体で見たとき、ある家庭に大きな資産が偏ってしまうと、教育機会等で機会の不平等が生じます。
相続税は、その偏りを是正するために設けられた制度でもあります。

相続税の目的③ 社会全体を支える財源として

相続税は、国や自治体の重要な財源の一つです。
高齢化が進む日本では、医療・介護・福祉などの費用が膨らんでいますが、相続税からの納税はそのまま社会保障制度の支えになります。
この点を理解すると、相続税は単なる「負担」ではなく、社会維持の一助であることが分かります。

その一部を、相続というタイミングで社会に還元することが制度上の考え方です。

相続税と贈与税の関係

相続税と贈与税は別の税ですが、制度上は密接に関連しています。
贈与税は、生前に財産を渡す(贈与)時点で課される税であり、相続税の回避を防ぐため、一定額以上の贈与は相続税計算に加算される仕組みです。

贈与税は相続税の補完的な役割を担っていると考えると良いでしょう。

法定相続人や配偶者への配慮

相続税法では、配偶者に対して大きな 配偶者控除 が設けられています。
これは、残された配偶者の生活を守るために設けられた制度で、長年共に暮らしてきた配偶者が居住用不動産等を引き継ぐ際に、税負担が過度にならないよう配慮されています。

相続税はいつ、どのような考え方で作られたのか

相続税は、最近できた制度ではありません。
その背景を知ることで、現在の形になった理由が見えてきます。

相続税が導入された歴史的背景

日本で相続税が本格的に整備されたのは、戦前から戦後にかけてです。最初に導入されたのは、1904年で日露戦争の戦費調達のためでもありました。
特に戦後は、財産の偏在を是正し、民主的な社会を作る目的が強く意識されました。

戦後日本と相続税の役割

戦後の日本では、地主や資産家に財産が集中していました。
相続税は、その構造を見直し、社会を再構築するための重要な手段でした。

当時の制度設計の考え方が、現在の相続税にも色濃く残っています。

海外(欧米諸国)との考え方の違い

欧米諸国でも相続税(または遺産税)は存在します。
ただし、日本は不動産評価や基礎控除の仕組みが独特で、一般家庭にも影響が出やすい設計になっている点が特徴です。

「相続税=お金持ちの税金」は本当か?

かつては「相続税は一部の富裕層だけの話」と言われていました。
しかし、現在は状況が大きく変わっています。

相続税がかかる人・かからない人の実際

基礎控除の引き下げや東京などの都心部を中心に地価の高騰により、以前は相続税がかからなかった層にも課税されるケースが増えています。

「自分の家は関係ない」と思っていた方が、実際に相続で初めて課税対象になることも珍しくありません。

なぜ一般家庭でも相続税が問題になるのか

最大の理由は、地価と不動産評価です。
都市部やその周辺では、長年住んでいるだけで土地の評価額が高くなります。

収入や生活水準は一般的でも、都心部の土地は高く、持ち家があるだけで相続税の計算上は「資産家」と扱われてしまうことがあります。

不動産が多い家庭ほど負担を感じやすい理由

不動産は評価額が高くなりやすい一方で、

  • すぐに売れない

  • 分けにくい

  • 現金化しにくい

という特徴があります。

そのため、不動産中心の相続では、「相続税を払うために売却を迫られる」
という状況が起こりやすく、負担感が強くなるのです。

相続税は二重課税なのか?

相続税についてよく聞かれるのが、「二重課税ではないのか?」という疑問です。

税法上は、

  • 所得税:財産を得た人にかかる

  • 相続税:財産を引き継いだ人にかかる

という整理がされており、形式的には二重課税とはされていません。

しかし、感覚的には「すでに税金を払った財産に、また課税される」と感じやすく、この点が相続税への不満につながっています。

払えない人はどうなるのか

相続税が払えない場合、放置すれば延滞税や加算税が発生します。
ただし、制度上は以下のような救済措置も用意されています。

  • 延納(分割払い)

  • 物納(不動産などで納付)

とはいえ、要件は厳しく、誰でも簡単に使える制度ではありません。
事前に準備していなければ、現実的に選べないケースも多いのです。

土地等を担保に入れて、民間の金融機関でローンを借りるという手段もありますので自分に合った方法を選択することが重要です。

制度の「理屈」と現実の相続とのズレ

相続税は、理論上は合理的に設計されています。
しかし、現実の相続現場では、その理屈がうまく機能しない場面が少なくありません。

自宅しか財産がない家庭でも課税される現実

特に問題になりやすいのが、「自宅しか財産がない家庭」です。
現金収入が多いわけでもなく、贅沢な生活をしているわけでもない。

それでも、土地評価が高ければ相続税の対象になります。
これが「相続税は現実を見ていない」と感じられる大きな理由です。

現代の日本に合っていないと感じられる理由

相続税制度は、戦後の社会構造を前提に作られています。
しかし現在は、

  • 核家族化

  • 地価の地域差

  • 高齢化社会

といった状況が大きく変化しています。
その結果、制度と生活実態のズレが拡大しています。

相続税が「揉め事」を生みやすい構造

相続税は、家族関係にも影響を与えます。

  • 不動産を売るのか、残すのか

  • 分け方をどうするのか

相続税の申告期限は10ヶ月と短く、こうした判断を短期間で迫られるため、感情とお金が絡み合い、トラブルに発展しやすいのです。

相続税を知ることは「損をしないための第一歩」

相続税は、知らないと不利になる税金です。
逆に言えば、正しく知れば、対策を検討することができるので、必要以上に恐れる必要はありません。

相続税や贈与税を正しく理解し、制度の仕組み(基礎控除・非課税枠・評価方法・配偶者控除など)を知ることで、必要以上の税負担を避けることができます。

生前贈与と相続対策

生前贈与は、相続開始前に財産を移転することで節税につながる可能性がありますが、贈与額や贈与税の影響、相続税への加算ルールを正しく理解しておく必要があります。

制度を知れば、必要以上に恐れる必要はない

相続税には、

  • 基礎控除

  • 特例

  • 評価のルール

など、負担を軽減する仕組みが数多くあります。
問題は、「それを知らないまま相続を迎えること」です。

知らないことで起こるトラブルと損失

制度を知らないまま進めてしまうと、

  • 本来使えた特例を使えなかった

  • 不必要に高い税金を払った

  • 家族間のトラブルが長期化した

といった結果につながることがあります。

早めに考えることで選択肢は広がる

相続は、発生してからできることが限られます。
一方、生前であれば、

  • 分け方の工夫

  • 財産の整理

  • 家族との話し合い

など、多くの選択肢があります。事前に検討することで相続人の負担を大きく減らすことができるでしょう。

相続税とどう向き合うべきか【専門家の視点】

相続税は、「払うか、払わないか」という二択ではありません。
本質は、どう備えるかです。

「払う・払わない」ではなく「備える」という考え方

相続税はゼロにするものではなく、無理なく、納得できる形で対応するものです。そのためには、制度を前提にした現実的な準備が欠かせません

生前対策が重要になる理由

生前であれば、

  • 相続人の意思確認

  • 財産構成の見直し

  • 税負担の平準化

が可能です。相続発生後では、こうした調整はほとんどできません。

専門家に相談することで見える現実的な対策

相続税は、家庭ごとに正解が異なります。
専門家に相談することで、

  • 本当に相続税がかかるのか

  • どこがリスクなのか

  • 何を優先すべきか

が整理され、過度な不安から解放されます。

専門家への相談の重要性

相続税や贈与税は、財産額や法定相続人の構成、資産の種類によって結果が大きく変わります。
税理士や専門家に相談することで、最適な納税計画や手続きを進めることが可能です。

広島相続税相談テラスでは、相続税に関するあらゆるお悩みを解決しております。初回の相談は無料で対応しておりますので、相続税についてお悩みの方は是非お気軽にご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい