認知症の人がいると起こりやすい相続のトラブルと解決策

被相続人や相続人に認知症の方がいる場合に相続が発生したらどうなるのか悩まれている方も多いと思います。当然ですが、認知症の人も被相続人、相続人になりえます。意思能力や判断能力が低下していると、特別な手続きなどを必要とするケースがあるため注意が必要です。対処を誤ると大きなトラブルに発展する恐れがあります。例えば、認知症の人が相続人にいる場合、遺産分割協議が無効になるなどが考えられます。

この記事では、被相続人や相続人に認知症の人がいると起こりやすいトラブルを紹介しています。さらに、基本的な解決策も示しています。
以下の事例を参考にすれば、目の前にあるトラブルにどう対処すればよいかがわかるはずです。相続でお困りの方は確認しておきましょう。

認知症が絡んだ相続時のトラブル事例3選

認知症が原因で、相続時にトラブルになることがあります。よくあるトラブルの例と解決のポイントを紹介します。

被相続人が認知症の場合

被相続人が認知症の場合、遺言書に関するトラブルが想定されます。遺言書が無効と判断されることがあるからです。

遺言書の有効性はさまざまな観点から検討されます。中でも重要とされるのが、遺言書を作成したときにおける本人(被相続人)の遺言能力です。遺言能力は、遺言の意味や影響を理解する能力といえるでしょう。
具体的な事例を見ていきます。

【事例】
被相続人:父(認知症)
相続人:長男・次男
長男は、認知症を患う父に全財産を長男に譲る旨の遺言書を書かせた。次男は、その有効性を疑っている。
解決策としては、相続時にその有効性を確認することになりますが、その有効性について長男と意見がわかれる場合は、調停・訴訟で解決することになります。

調停・訴訟になると、遺言の内容などを踏まえて遺言能力が判断されることになります。遺言能力には、遺言の難解性や重要性なども関係するからです。また、父が遺言書を作成した時の意思能力の有無も大きなポイントとなります。尚、現在のところ、遺言能力を判断する明確な基準はありませんが、医学的な視点など総合的に判断されます。

法定相続人の中に認知症の人がいる場合

法定相続人の中に認知症の人がいる場合、遺産分割協議に関するトラブルが想定されます。意思能力が欠如していると、遺産分割協議が無効になってしまうからです。

意思能力は、法律行為を行ったときにどのような影響があるか理解する能力といえます。遺産分割協議が無効とされる理由は、意思能力が欠如していると認知症の法定相続人が不利益を被ることがあるからです。
具体的な例を見ていきましょう。

【事例】
被相続人:父
相続人:母(認知症)・長男・長女
父親が亡くなり相続が発生した。遺産分割協議を行いたいが、母親が認知症で困っている。
解決策は、母の意思能力を評価したうえで必要に応じて成年後見人を専任することが考えられる。成年後見制度については、地域の権利擁護センターなどで相談できる。

家庭裁判所で法定後見人が選定された場合、母の代わりにこの法定後見人と分割協議を行うことになります。一般的には、法定後見人のついた相続人の相続分(1/2)を相続するように手続きが進められます。

ちなみに、認知症の人を遺産分割協議から除外した場合も遺産分割協議は無効になります。遺産分割協議は相続人全員で行わなければならないからです。

認知症の人の成年後見人に関して

成年後見人は、成年後見制度に基づき認知症などで判断能力が低下した人を保護・支援します。頼りになる存在ですが、相続においてはトラブルに繋がるケースもあります。
具体的な事例は次のとおりです。

【事例】
贈与者:母(認知症)
受贈者:次男
成年後見人:長男
次男は母から金銭を贈与された。母が認知症になり長男が成年後見人に専任された。次男が、成年後見人である長男から贈与された金銭を返すようにいわれて困っている。
この場合、金銭を贈与されたときにおける母の意思能力が問題になる。
意思能力があれば金銭を戻す必要はありませんが、意思能力がなければ贈与を取り消される恐れがあると考えられます。

認知症の人がいる場合は相続のトラブルに注意

被相続人や相続人などに認知症の人がいるときに起こりやすいトラブルを紹介しました。ケースにより対処法は異なります。不安を感じる場合は、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)
資格:税理士(税理士登録番号92527号)
行政書士(行政書士登録番号18342346号)
相続手続カウンセラ-
専門分野:相続税、事業承継
出身:広島県廿日市市
趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)
お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい

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