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相続税の申告は税理士に頼むべき?

2022年06月04日

被相続人の財産が基礎控除の額を超える場合、相続発生後、必ず10カ月以内に申告と納税を行う必要があります。相続税の申告はやはり、税のプロである税理士に頼むべきなのか悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。当記事では税理士に頼むべきケースはどのような場合なのか、注意点をあわせて具体的に解説します。

相続税申告までの流れ

相続税の申告を税理士に依頼すると税理士に報酬を支払う必要があります。しかし、必ず税理士に依頼しないといけないというわけではありません。期限内に自分で申告できるか否かを判断する前に簡単に流れを確認しておきましょう。

相続税の申告をするためには、まず被相続人の財産を把握する必要があります。金融機関に預けている預貯金や不動産(土地・建物)など相続財産をひとつずつ評価して、遺産の総額が基礎控除を超えるかどうか確認しておきましょう。遺産相続する財産の種類によって評価方法が決められており、例えば土地であれば、路線価×面積で算出します。また、生前贈与をしている場合は、相続発生前3年以内の贈与は相続財産と加算されますので、注意が必要です。

最初にしっかりと財産を把握しておかないと、後で追加で申告するような事態になるケースもあります。財産を一覧にして全体像を把握するようにしましょう。

基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算することができます。相続人が3人の場合は4,800万円までは非課税です。相続税対策として生命保険の非課税枠を利用している場合は法定相続人×500万円まで非課税枠が加算されます。

課税対象の財産の評価額の合計が基礎控除の金額以下の場合は、申告をする必要がありませんが、基礎控除を超える可能性がある場合は、しっかりと計算してから不要かどうか判断するようにしましょう。

財産の内容を把握することができたら、次に相続人で遺産分割協議を行います。遺産分割協議を行い、だれが何を相続するかを決めて、遺産分割協議書という書面を作成します。

財産を把握し、遺産分割協議を行うことで、初めて相続税の計算をすることができます。相続税は法定相続割合で分けたものと仮定して相続税の総額を計算し、取得する割合によって各々の負担額がきまるからです。

生前に節税対策を行う場合でもまずは財産内容を把握し、どれくらいの相続税がかかりそうかシミュレーションを行うことが重要です。株式や投資信託、不動産、金などは一般的に相続発生時の相場などによって価格が上がったり、下がったりしますが、概算で全体像を把握しておくことで、どれくらいの負担があるのか、確認することができます。

もし、相続税が課税されることがないようであれば、相続税について考える必要はありません。

税理士に依頼するべきケース

相続税の申告は自分で行うこともできますが、税理士に代行してもらうことも可能です。どのようなケースで専門家である税理士にサポートを任せるべきなのでしょうか。具体的にご紹介します。

財産の内容が複雑なケース

評価の難しい不動産を保有している場合など、財産の内容が複雑なケースでは税理士に依頼するほうがよいでしょう。財産が1億円以上ある資産家の方でも財産が預金のみの場合は、そこまで評価は複雑ではありません。

しかし、財産の額が1億円未満でも相続財産の種類が多く、複数の不動産を保有している方、美術品があった場合など、複雑な評価が必要となる場合は、財産の調査や評価に手間がかかり、作業の量は大幅に増えます。

同じ財産額でも預貯金と特殊な財産を保有している場合では、申告の難易度は大きく異なります。このような場合、自分で詳細に財産を評価し、申告することは難しく、税理士に依頼するメリットは大きいでしょう。

相続人が多い場合

関係する人が多くなればなるほど、遺産分割の話し合いが難航するケースが多くなります。相続発生直前に口頭で合意していても、後で、家族からの意見を聞いて、態度を変える人も多数います。人数が多くなるとそれぞれの事情や希望がありますので、代表となる人が中心になって対応する必要がでてきます。

遺言書がなく、相続人の数が多い場合は遺産分割協議で時間がかかることが多く、平和的に話し合いで完結させることができない状況になることも多くあります。

申告まで余裕がなくなるケースも多いので税理士に依頼してもよいでしょう。

非上場の株式を保有しているケース

相続財産の中に非上場の株式が含まれるケースでは自分で相続税の申告をするのではなく、税理士に依頼したほうがよいでしょう。その理由は、非上場の株式は評価額の計算が非常に複雑で、多くの資料を添付する必要があるからです。

非上場の株の評価は、被相続人が亡くなった時の会社の財産や業績、配当などで行う必要があり、間違えがないように、専門家である税理士に依頼することをおすすめします。

忙しくて申告書の作成や提出が難しいケース

相続人の中には海外に在住している方や仕事で添付する書類を作成したり、申告書を提出しに行くことが難しいケースもあるでしょう。金融機関や役場は平日しか空いていないことも多いため、忙しい中、自分で慣れない手続きを行うと、不備がでるケースも多くなります。結果として二度手間になってしまいますので、早めに税理士に依頼するようにしましょう。

どのような税理士に依頼するべき?

税理士に依頼する際にどのような税理士を選ぶべきなのでしょうか。信頼できる税理士を選ぶ際のポイントを解説します。

相続税申告の実績が豊富な税理士

一口に税金といっても、数々の種類があり、それぞれの専門性があり得意分野が異なります。税理士の中には法人税や所得税などを専門としており、相続税については業務として行っておらず、あまり知らないという人もいます。相続税の申告をする場合は業務として相続税や関連業務である贈与税の申告を普段から行っていおり、件数をこなしている税理士事務所・税理士法人に依頼するべきでしょう。

相続税に精通していない税理士に依頼した場合、各種特例の適用漏れで、相続税の軽減制度が利用されず、実際に支払う必要がある金額より高い相続税を払ってしまうケースもあります。相続税には小規模宅地の特例など、多くの特例があります。特例の適用要件は複雑で、適用を受けられるかどうかは税理士でも判断が分かれることもあります。控除を活用せずに、相続税を払いすぎた場合、後から還付を受けることも可能ですが、手続きは複雑です。申告の時にしっかりと特例を適用することが大事です。

一方で、過少申告で税務署から税務調査で指摘される可能性もあります。相続税は個別性も高いので、制度のポイントを把握して、申告を行うには、ノウハウや経験が非常に重要で、税理士の腕によって実際に支払う税額に差がでることもあります。

税理士資格を持っている人が全員相続税の知識を豊富に持っているわけではありませんので注意が必要です。相続税の申告に強い税理士法人であれば、相続税に強い複数の税理士が在籍していることが多く安心です。税理士法人ではサイトで実績を公開していることもありますので、参考にしてみるとよいでしょう。

また、書籍の出版や監修をしているケースやセミナーを開催していることもありますので、それらで得意分野を確認することも可能です。

報酬を明示している税理士

相続税の申告は案件によって労力が大きく異なります。成功報酬制の税理士の場合、依頼時に最終的にいくらかかるかわからないケースもあります。やはり適正な価格を設定し、事前に報酬を明示している税理士の方が、費用面では不安なく手続きを進めることができます。相続税の申告は個別性が高いため、基本の料金に加え、財産の種類や対象となる金額に応じて報酬が高くなっていくことが多いです。

サービスで行っている無料の事前相談で財産の内容をある程度の見積もりを計算することができるケースが多くあります。費用はホームページなどに明示している場合もあります。ホームページで記載していない場合は電話やメール等で問合せしてみましょう。

後で、思いもよらない高額の報酬を請求されないように、初回の面談で契約前に財産や相続人の概要開示し、いくらくらいの費用がかかるのか見積もりをもらうようにしましょう。

アクセスが良い場所にある事務所

相続税の申告を完了するまでに、税理士と複数回打ち合わせすることも多くあります。気軽に行けないような場所にあると、打ち合わせも進みませんので期限に間に合わなくなる可能性があります。

電話で相談できることもありますが、書類を見せながら説明することも多く、対面の方が便利です。自宅や職場から近く、通いやすい税理士事務所を選択するようにしましょう。

費用面も考慮して税理士に依頼しよう

税理士費用は相続税とは別途支払う必要がありますし、安いものではありません。納める税金以外にも費用がかかるのは大きなデメリットですので、できるだけ避けたいと考えている人も多いでしょう。もちろん、自分でできるのであれば、税理士にお願いせずに自分で行うのがよいでしょう。

しかし、自分で手続きをすると、申告期限内に手続きが終わらなかったり、正確に申告できず、修正申告を行い、追徴課税を支払う

必要が出てくるケースもあります。誤った申告をすることがないように、自分で申告することが難しい場合は、税理士等の税務の専門家に依頼するようにしましょう。

税務申告の準備を税理士に依頼することで、金融機関の名義変更や不動産登記の準備も自分でしやすくなりますので、他の手続きもスムーズに進めることができるでしょう。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい