相続が発生すると自分の財産を誰かに遺す必要があります。
遺言書を作成せずに亡くなった場合は法定相続人で話しあって財産を分けることになりますが、遺言を作成し、法定相続人以外の人に遺すことも可能です。
当記事では法定相続人以外の人に財産を遺贈する場合の注意点について解説します。
遺言は公正証書がおすすめ
遺言の作成手続きには公正証書遺言と自筆証書遺言があります。公正証書は公証役場で作成する方法で、作成時に法的に有効な遺言であることが確定します。
自筆証書遺言は一般的に多く用いられている方法ですが、形式不備で法的に有効な遺言となっていない場合や相続が発生した際に保管場所がわからず発見できないなどさまざまな問題が生じることがあります。内容含めしっかりと財産の遺し方を指定したい場合は、費用はかかりますが公正証書遺言を作成することをおすすめします。
法定相続人以外の人に財産を遺す遺言書の書き方
民法で定められた法定相続人以外の人に財産を遺す場合の遺言書の書き方は大きく分けて2つあります。それぞれの特徴について解説します。
特定遺贈
特定遺贈とは特定の財産を遺す人を指定して遺す方法です。例えば、特定の不動産を相続する者を決める場合や1,000万円など決められた金額を指定して、特定の人に遺すことができます。
特定遺贈で相続を受けた人も相続税がかかりますので、不動産など現物資産を遺す場合は現金も遺すようにしないと相続税を納めるための納税資金を自分で用意する必要があります。財産が多ければ多いほど税率も高くなりますので、注意が必要です。
また、相続人が不動産を相続により取得した場合は、不動産取得税はかかりませんが、特定遺贈により取得した場合は不動産取得税がかかります。
包括遺贈
包括遺贈とは財産をまとめて特定の人に遺す方法です。例えば、特定の人にすべて財産を遺すという内容や、AとBに2分の1ずつ包括して遺贈するという形です。
2分の1ずつ遺贈する場合は不動産や現金、有価証券などを誰がどのような割合で取得するかは話し合って決めることになります。
包括遺贈で財産を取得する者は相続人と同じ権利と義務を有することになりますので、マイナスの財産も承継することになります。また、特定遺贈の場合は不動産取得税がかかりますが、包括遺贈の場合は不動産取得税がかかりません。
財産を遺贈する場合の注意点
法定相続人以外に財産を遺贈する場合はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に解説してます。
相続税が2割加算になる
相続が発生し、被相続人の配偶者と一親等の血族以外の人が財産を取得する場合、相続税の額に対して2割加算して課税される制度となっています。
そのため、相続人以外の者や兄弟姉妹が財産を取得する場合は相続税にもよく注意して遺す必要があります。孫が財産も取得する場合も代襲相続が発生している場合を除き、2割加算の対象となります。
なお、被相続人の財産の合計が基礎控除(式:3,000万円+法定相続人×600万円)を超えない場合は非課税ですので、2割加算を気にする必要はありません。
トラブルになる可能性がある
遺言書を作成し、法定相続人以外の人に一定の財産を遺す場合、配偶者や子がそれぞれ受け取る配分が少なくなります。
そのため、法定相続人とのトラブルになる事例もありますので遺言書を作成する前にトラブルにならないか十分に検討してから作成する必要があります。特に人数が多い場合や相続人同士が疎遠な場合はトラブルになりやすいので事前に話し合いの場を設けるなど財産を引き継ぐ際にトラブルにならないための対策を行うようにしましょう。
相続税・贈与税のお悩みは税理士に相談を
相続税や贈与税に関するお悩みや計算の手順が分からない場合は税金の専門家である税理士に相談するようにしましょう。相続税や贈与税の特例や計算は非常に複雑で、知識がない人がルールを守って申告を行うことは簡単ではありません。自身で申告を行って指摘を受けた場合は税務署から税務調査で指摘を受け、追徴課税がかかる場合もあります。
相続税は相続開始後10ヶ月以内に完了させる必要があります。相続発生後は金融機関の手続きや不動産の登記など様々な手続きを同時並行で進めるため、期限内に間に合わないケースも多くあります。
相続税の対策をするためにも生前に相談して、準備しておくことをおすすめします。相続財産の一覧の表を作成し、財産の配分の意向を伝えれば、税理士も税額を抑えるためのアドバイスをすることができます。特例や贈与による財産移転、生命保険を活用した対策を行うことで、実際の納税額を大きく減らすことも可能です。遺された家族や親族の税負担を軽減するためにも最新の情報を持ち、経験豊富な税理士事務所・税理士法人に相談するようにしましょう。
遺言書の書き方やどのような点に気を付ければいいかも税理士にアドバイスを受けることができます。まずは電話やメールなどで気軽に相談してみるとよいでしょう。