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数次相続とは?相続税申告時の注意点を解説

2022年03月12日

相続税の申告手続きは複雑で慣れない方にはなかなか難しいものです。相続人は相続が発生してから10カ月以内に相続税の申告書を作成する必要があります。

今回は手続きが複雑となる数次相続の基本的な内容や注意点について解説します。

数次相続とは

数次相続とは被相続人の相続が発生してから遺産分割協議が完了していない状況で、その後、相続人が死亡したことで次の相続手続き発生することをいいます。数次相続では、家族が次々と亡くなり、相続が重なったことで遺産分割によって相続権を有する人が亡くなっているということになりますので、手続きが非常に複雑になります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

被相続人が長男で、子供がおらず、相続人が配偶者と弟である場合、遺産の分割が終わる前に、弟が亡くなると原則、弟の相続人(配偶者・子等)が数次相続によって相続人の地位を有するようになります。この例では被相続人よりも先に弟が亡くなっていた場合、弟の子は代襲相続人となりますが、弟の妻は相続人とはなりません。

しかし、被相続人が亡くなっていた時点で、弟が存命だった場合、数次相続となりますので、弟の妻も相続人となります。同じ家族関係でも亡くなった順番によって、遺産相続をする人が変わる仕組みになっています。数次相続が発生した場合、先に発生した相続を一次相続、次に発生した相続を二次相続といい、それぞれの相続分を遺産分割する必要があります。数次相続が起こった場合あらゆるパターンがありますので、慎重に相続人の順位を確認する必要があります。

一次相続が発生した時点では弟の妻は相続人ではありませんでしたが、弟が亡くなったことで、弟の妻も相続人となります。弟の妻も財産を取得する権利があり、期限内に申告・納税義務を負うのです。今回の事例では、遺言などで財産の分け方を指定しない場合、被相続人の妻と弟の妻、弟の子で金融資産や不動産などの財産について、法定相続分を参考に協議し、相続人全員で遺産分割協議書に署名・押印する必要があります。

数次相続の注意点

数次相続では、注意しておきたいことがあります。数次相続の注意点を下記に解説します。

相続人を確定するための戸籍が複雑になる

相続の手続きをするためには相続人の調査と確定をするために、出生から亡くなるまでの戸籍謄本を準備する必要があります。数次相続が発生した場合、通常の相続よりも戸籍の量が多くなり、複雑になります。特に子どもがおらず、兄弟姉妹間で相続する場合は父親や母親、場合によっては祖父の代からの広範囲の戸籍を取得する必要があります。本籍地の役場に取り寄せる必要があり、郵送で取得する必要があるなど時間がかかりますので、早めに請求するようにしましょう。

自分で取得することが難しい場合は司法書士に委任状を渡して取得することも可能です。部分的に取得することが難しい場合なども司法書士のサポートを受けるようにしましょう。戸籍の他に印鑑証明書も取得する必要があります。金融機関等の預貯金の手続きを早く進めるために、一通ではなく複数取得しておくとよいでしょう。

相続税の申告期限は延長される

基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)を超える財産を保有していた場合、相続税の申告が必要となります。

相続税の申告をする義務がある人が相続税の申告を終了せずに亡くなってしまった場合、申告ができません。そのため、相続税の申告期限は提出義務者が死亡したとき(相続開始)から10カ月に延長されます。ただし、数次相続では相続人が増えるため、相続人全員の合意が必要となる遺産分割協議が複雑となることも多いです。

特に数次相続となったことで、数が増えるだけでなく、相続人間が遠縁になり、気軽に相続人同士で話し合いができるような関係でない場合もあります。お互いに近くに住んでいない場合、電話やメールなどで話をまとめることになるため、結果的に相続放棄をする人がいたとしても合意まで時間がかかることが多いです。特に東京などアクセスのよい場所に評価の高い不動産を所有している場合や相場によって価格が大きく変動する資産を持っている場合、金などの分けにくい財産があった場合、、ローンを含む借金がある場合などは配分が難しくなりトラブルになりやすく、注意が必要です。最後には家庭裁判所など調停などの法的な争いになる可能性もありますので、早めに話し合いを始めるようにしましょう。

また、相続税の申告書の書き方は複雑で、制度を知っていたとしても記載に時間がかかりますので、期間が延長されても、それ以上に時間がかかり間に合わないケースが多くあります。他の手続きも忙しい中で行う必要があるため、自分で行うことが難しい場合は、早めに税理士に相談するようにして、手続きを進めることをおすすめします。

税理士に依頼する場合は、相続税や生前贈与の申告実績が豊富な税理士に依頼するようにしましょう。初回の相談はサービスで無料で応じてくれる税理士も多いので、財産の一覧を作成して持っていくとよいでしょう。

遺産分割協議書はそれぞれ作成する

遺言書がない場合、遺産分割協議書を作成し、遺産の配分について決定する必要があります。

数次相続が発生した場合の遺産分割協議書はそれぞれの相続に対して、別々に作成します。それぞれの相続によって相続する者や割合が異なるため、別に作成することになるのです。まとめて複数の書類を作成することになり、通常よりも時間がかかることもありますので、同時に作業を進めるようにしましょう。

相続財産の評価額が基礎控除を上回る場合は早めに税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

相続の手続きは遺産分割協議書の作成だけでなく、不動産の登記や金融機関の名義変更の手続きもありますので、早めに着手することが重要です。

基礎控除は増えない

数次相続が発生することで、相続する人が増えるケースがありますが、基礎控除が増えるわけではありません。あくまで相続発生時の相続人で基礎控除の計算は行います。生命保険についても法定相続人×500万円までの非課税枠がありますが、こちらも増えることはありません。納税の義務は財産を引き継ぐ相続人にありますので、勘違いして無申告とならないようにしましょう。

相次相続控除の適用が受けられる

数次相続が発生し、要件を満たした場合、相次相続控除という特例の申請をすることで、適用を受けることができます。相次相続控除とは相続発生から10年以内に次の相続が発生した場合、二重に課税されることを防ぐために税額の軽減を受けることができる制度です。相次相続控除を適用することで、1年につき10%の割合で逓減した後の金額を控除することができます。

相続税法ではさまざまな特例があります。特例には事業用資産に関するものや、自宅などの小規模な土地に適用できるものなどさまざまです。特例を利用することで、実際に相続税として納付する額をかなり抑えられることがありますので、特例を正しく理解することが重要です。詳細は国税庁のサイトにも掲載されています(国税庁サイト)。相続税の知識がない方は税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

中間省略登記ができる場合がある

相続によって不動産が遺贈された場合、必ず法務局で所有権移転登記を行う必要があります。

数次相続が発生した場合、本来は不動産も次々と登記をする必要があります。そのようなケースで使えるのが中間省略登記です。中間省略登記とは中間の登記を省略することで、登記費用や登録免許税を節約ができます。中間省略登記を活用することで、手間と税金面での負担を減らすことができるメリットがあります。登記は対外的に誰が所有しているかを示すためにあるため、今の状態を示すことが重要となります。ただし、中間で相続する人が単独で相続していなければ、中間省略登記は認められませんので注意しましょう。

広島相続税相談テラスにぜひご相談を

誤った申告をしてしまうと、税務調査で指摘される可能性があります。相続税申告の進め方が分からない場合は、税理士に依頼することをオススメします。

広島相続税相談テラスでは広島県、山口県、島根県での相続税に関する相談を受け付けています。相続税に強い税理士が多数在籍しておりますので、相続税の申告にお悩みの際はぜひご相談ください。

広島相続税相談テラス

運営:あさぎり会計事務所

住所:広島市中区八丁堀7-2 3F

電話:082-222-7717

🆓0120-932-187

メ-ル:info@asagirizeirishi.co.jp

営業時間:平日 9:00~19:00

土・日・祝・平日夜間も事前予約で対応しています。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)
資格:税理士(税理士登録番号92527号)
行政書士(行政書士登録番号18342346号)
相続手続カウンセラ-
専門分野:相続税、事業承継
出身:広島県廿日市市
趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)
お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい

土・日・祝・平日夜間も事前予約で対応しています。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい