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基礎控除を少し超える場合の相続税申告について解説

2022年03月13日

相続税には基礎控除があり、相続人が保有している財産が基礎控除の範囲内であれば、相続税を払う必要はありません。

しかし、基礎控除を少しでも超える場合は、期限内に申告・納付を必ず行う必要があります。相続税に関する知識を持っている人は少なく、相続発生後に期限に間に合わせるために、あわてて手続きするケースも多いため、基礎控除以下なのか、超えるのか微妙な場合は早めに申告や納税の準備をすることが重要です。

相続税には相続人が死亡を知ってから10カ月以内に申告・納付をするという期限があり、葬儀など忙しい中であっという間に時間が過ぎてしまいます。10ヶ月以内に書類を作成し、税務署に提出しなければいけません。10ヶ月以上経ってしまった場合、延滞税などのペナルティが加算される場合もあります。

相続が発生した際の財産の額が相続税の基礎控除を少し超えてしまった場合の対応や手続きの方法についてご案内します。

基礎控除とは

まず、基礎控除の計算について解説します。基礎控除の額は法定相続人となる人の数によってきまります。基礎控除は以下の式で算出します。

法定相続人=3,000万円+600万円×法定相続人の人数

法定相続人が配偶者と子供2人で、法定相続人が合計3人の例では、4,800万円(3,000万円+1,800万円)です。

法定相続人の人数に応じて基礎控除の金額が変わってきます。相続税の基礎控除は平成27年の税制改正によって大幅に引き下げられ、税制改正以降は相続税がかかる人も増えています。

預貯金や株式などの金融資産や自宅の土地・建物、金等の相続財産が基礎控除の範囲内であれば、相続税の申告は必要ありません。借金がある方はプラスの財産からマイナスの財産を差し引いて計算します。また、基礎控除は法定相続人の人数によって決まっていますので、必ずしも法定相続分を相続する必要はありません。

法定相続人は順位が決まっており、子供がいる場合は配偶者と子、子がいない場合は配偶者と両親、父母ともに亡くなっている場合は兄弟姉妹になります。子供が先に亡くなって、代襲相続となっている場合は孫の人数も含めて基礎控除の金額を計算します。実子だけでなく、養子縁組をしている子供も相続人になりますが基礎控除に加えることができるのは一人までとなっています。基礎控除の計算をするときは親族の関係を整理して間違いがないように把握しておく必要があります。

相続発生より先に遺言書を作成することで、法定相続人以外の人にも財産を遺すことはできますが、基礎控除はあくまで法定相続人で計算するということを覚えておきましょう。また、相続放棄をする人がいたとしても基礎控除には影響はありません。

基礎控除を少し超える場合の注意点

基礎控除を少し超える場合にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。次に基礎控除を少し超える場合の注意点について紹介します。

特例を適用して相続税が0円になる場合でも申告は必要

被相続人が基礎控除を少し超える金額の相続財産を保有している場合でも、配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例を活用し、税額を控除することで課税される金額が0円になる場合があります。基礎控除を超える財産がある場合、特例を適用することで税金が0円になる場合でも相続税の申告の義務があります。

申告を怠った場合は特例が適用されず、未納分の相続税を請求される可能性があります。申告が必要となる理由はあくまで、特例は申告を期限内に正しく行った人の特典であり、申告を行っていない人は特例を適用できないからです。

ただし、生命保険の非課税枠を利用することで相続税が0円になる場合は申告不要です。生命保険はみなし相続財産ではありますが、法定相続人×500万までは非課税で相続できる制度になっています。一人500万円の生命保険の非課税枠は簡単に節税できる方法として一般的に多くの人が利用しています。

相続税の特例は、保有不動産によって適用できる小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減等数多くの特例があります。正しく申告しなければ、税務署は認めてくれません。相続税の特例は非常に複雑な制度となっていますので、国税庁のサイトマップ(サイトマップ|国税庁 (nta.go.jp))で関連する情報を確認いただくか、相続税の情報に詳しい、相続税申告の実績のある税理士などの専門家に相談し、特例を適用する要件を満たしているか確認するようにしましょう。

万が一申告が必要にもかかわらず、申告をしていなかった場合、税務調査によって指摘を受ける可能性があります。

相続発生前3年以内に贈与をしている場合

生前贈与をした財産は贈与を受けた方の財産になります。暦年贈与で年間110万円以内であれば、贈与税も非課税となります。ただし、多額の贈与をした場合、相続税よりも税率が高くなる可能性がありますので気を付けましょう。

贈与を使った相続対策は費用もかかりませんし、有効かつ、確実です。多くの方が遺産を減らすための節税対策として子供や孫など次の世代への贈与を行っています。生前贈与は不動産を活用した対策などよりも気軽にできる点もメリットといえます。財産の中で預金の割合が多い方は、有効な節税策として検討してみてもでしょう。

しかし、相続が発生する前3年以内に財産を相続する人に贈与をした財産については相続税の課税対象の財産として加算されます。そのため、贈与によって基礎控除を下回る範囲に、財産を抑えていたとしても、相続発生前3年以内であれば、期限内に相続税の申告書を提出し、相続税を納付する必要があります。ただし、財産を取得しない孫に贈与をしたケースでは、3年の繰り戻しはありません。

生前贈与は有効ではあるものの、一定の時間がかかる相続対策ですので、生前贈与での対策が有効と判断した場合は、早めに始めたほうがいよいでしょう。遺産が多い人は特に早めから行うことが必要になります。

評価が難しい財産を保有している場合

現金だけでなく、複雑な権利関係となっている宅地や自社株など、評価が難しい資産を保有している場合、自分では基礎控除を超えていないと思っていても、実際に課税価格の計算を行ってみたら、基礎控除を超えている可能性がありますので、注意が必要です。

また、評価が難しい課税対象の財産は相続人で法定相続分で取得するような遺産分割の協議が難しい場合も多いため、遺言を作成しておくなど事前準備が重要です。基礎控除を超えそうな場合は各種財産を一覧にし、評価するための資料を用意しておくとよいでしょう。事前準備をしておくことで、相続人間で誰どのような割合で財産を取得するか早めに決めることができます。

広島相続税相談テラスにぜひご相談を

亡くなった方の財産の総額が基礎控除を超えるか微妙なケースではまずは、財産を調査し、財産と債務の種類とそれぞれの課税価格を一覧の表にしていくとよいでしょう。手続きには時間がかかりますので、相続を受けた者は早めに手続きを始める必要があります。

遺産相続における相続税の申告や名義変更の手続きは相続人にとって大きな負担となるでしょう。相続税は被相続人の財産や法定相続人によって計算や手続きの方法、申告書の記載が異なりますので、パターン化できないのも難しいところです。また、誤った方法で申告をした場合や財産の記載漏れがあった場合は税務署に指摘される可能性もあります。10ヶ月という期間内に終わらせる必要もあるため、相続人自身で行う場合は、手順や被相続人の財産内容をしっかり理解していただき、各種手続きを行っていく必要があります。

費用はかかりますが、特例などを適用することで、費用分を差し引いても結果として税理士の報酬以上に税負担が減ることもあります。特例の減額や利用可否の判定等に少しでも不安のある方は相続税に強い、最新の情報を持つ税理士や税理士法人に相談した方がよいでしょう。税理士事務所の中にも相続税の申告経験が少ない事務所もありますので、相続税に強い税理士を選ぶことが重要です。経験の豊富な税理士はポイントを抑えて、手順通りに手続きを進めてくれますので、安心です。まずは気軽に相談してみるようにしましょう。

広島相続税相談テラスでは広島県、山口県、島根県での相続税に関する相談を受け付けています。相続税に強い税理士が多数在籍しておりますので、広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい