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相続税申告に欠かせない必要書類とその取得先

2021年11月20日

基礎控除を超える遺産を保有する方が亡くなった場合、相続人が申告書を作成し、期限内に支払いの手続きをする必要があり、遺された親族にとっても大変な作業となります。。

相続税の課税制度は複雑で書類も多くあります。「相続税申告の準備を進めたいけど必要書類がわからない」などで不安はありませんか。相続税は小規模宅地の特例に代表される特例も多く特例を利用する際はさらに複雑になります。特例を利用することで、評価を下げることができますので、徹底的に特例を利用することも負担を減らすためのポイントとなります。

相続税の申告ではさまざまな書類を収集する必要があるため混乱する方が多いでしょう。しかし、いい加減に済ませることはできません。必要書類が欠けていると、申告を行えないからです。

遺産の総額が基礎控除の範囲を超える場合は相続税の申告が必要です。

相続税の申告には期限がありますので、相続する人は悲しみに暮れる間もなく、早急に対応が必要です。相続開始から10ヶ月という期限を過ぎてしまうと、税務調査を受けてペナルティを課せられます。できるだけ早く準備を済ませて、必ず10ヶ月以内に税務署に申告書を提出し、納税することが大切です。遺言書がない場合は遺産分割にも時間がかかる場合もあります。

相続の手続きは簡単ではありません。期限内にさまざまな書類を集める必要があり、手続きの方法を知っていたとしても全部完了させるまではかなり手間がかかります。

この記事では、一般的な相続で必要になる資料の概要と基本的な取得方法を知りたい方に向けて必要な情報や注意点をお伝えします。以下の内容を参考にすれば、どのような書類や証明書が必要で、どこに申請すればよいかがわかります。必要書類や添付書類でお悩みの方は参考にしてください。

相続税申告に必要な添付書類一覧

相続税の申告に必要な書類は大きく以下のように分類できます。

【必要書類の分類】

  • 相続人に関するもの
  • 被相続人に関するもの
  • その他

具体的な必要書類はケースで大きく異なり、すべての相続で同じ書類を集めるわけではありません。理由としては、課税対象の財産のなかでも相続財産などにより、他の必要書類が必要になるからです。例えば、相続財産に宅地や建物などの不動産があると、預貯金だけのケースでは必要にならない登記簿謄本、公図・測量図・名寄帳などが必要になります。名寄帳には固定資産税評価が記載されており、相続税の申告をする際の財産評価に必要です。定期預金の場合は経過分の利息も相続税の課税対象となりますので、評価証明が必要となります。

また、不動産を保有している場合は税務署での申告だけでなく、該当の不動産を管轄する法務局で登記を行う必要があります。賃貸に出している場合は賃貸借契約書を引き継ぐ手続きも必要です。他にも保険やゴルフ会員権や非上場株、貴金属、金などの現物資産、死亡時の退職金がある場合も別途手続きが必要となります。なお、仏具などは非課税で相続することができます。

老司ホームに入居していた場合は返還金がある場合もあります。返還金も相続税の課税対象となりますので注意しましょう。返還金については契約書でも確認しておくようにしましょう。

このように、必要になる書類や手続きは、保有する財産によって個別に確認しなければなりません。ここでは、多くのケースで必要になる基本的な書類を紹介します。

相続人

相続人は、基本的に下記の書類が必要になります。

【相続人の書類】

  • マイナンバー
  • 戸籍謄本
  • 戸籍の附票
  • 印鑑証明

それぞれの概要と取得先は以下の通りです。

マイナンバー

相続税の申告書にマイナンバーの記載を求められます。マイナンバーは、行政の効率と利便性を高める目的などで住民票を有する国民に付与された12桁の番号(個人番号)です。個人番号について番号確認と身元確認を行うため、次の書類のいずれかが必要になります。

【番号確認】

  • マイナンバーカード裏面のコピー
  • 通知カードのコピー
  • マイナンバーカードの記載がある住民票の写し

【身元確認】

  • マイナンバーカード表面のコピー
  • 運転免許証のコピー
  • 身体障害者手帳のコピー
  • パスポートのコピー
  • 在留カードのコピー
  • 健康保険証のコピー

マイナンバーカードの申請は、スマートフォンやパソコンなどで行えます。例えば、スマートフォンでは、申請用Webサイトにアクセスして、申請書ID、メール連絡用氏名、メールアドレスを入力し、顔写真と必要情報(生年月日・電子証明書の発行希望の有無など)を登録すれば申請完了です。

戸籍謄本

相続が始まってから10日を経過した日より後に作成されたすべての相続人が特定できる戸籍謄本が必要です。本籍地のある市町村役場で申請することになります。役所に設置されている請求書に必要事項を記入し本人確認書類(運転免許証など)を添えて提出すれば取得できます。遠方の場合は、市区町村役場の公式サイトから請求書をダウンロードして必要事項を記載したうえで、本人確認書類、返信用封筒、手数料分の定額小為替などを添付して送付すれば取得できます。

戸籍の附票

戸籍の附票も必要になります。戸籍の附票は、作成から現在に至るまでの住所が記録されている書類です。戸籍の原本がある市町村で保管されています。本籍地の市町村で、請求書に本人確認書類(運転免許証など)を添えて提出することで取得できます。戸籍謄本と同じく、郵送での取得も可能です。

印鑑証明

遺産分割協議書に押印した印鑑の印鑑証明書も求められます。すでに印鑑登録を済ませている場合、発行済みの印鑑登録証もしくはマイナンバーカードが必要です。市町村役場で、必要事項を記入した請求書と印鑑登録証、本人確認書類を提出すれば取得できます。

被相続人

被相続人に関する必要書類は次の通りです。

それぞれの概要と取得先は以下のようになります。

略歴書

提出義務はありませんが、被相続人の略歴書はあった方がいいです。略歴書は、被相続人の出身地・最終学歴・職歴・病歴・住所の移転歴などをまとめた書類です。位置づけとしては、被相続人の資産を調べる参考書類といえるでしょう。相続人などがわかる範囲で作成することになります。

改製原戸籍・除籍謄本

改製原戸籍は法律の改正により様式などが古くなった戸籍(古い戸籍は除籍されたことになります)、除籍謄本は戸籍から誰もいなくなったこと証明する謄本です。相続税の申告では被相続人が出生から亡くなるまでのすべての戸籍が必要になるため、改製原戸籍・除籍謄本も必要になります。被相続人の本籍地がある市町村役場で、請求書に本人確認書類、被相続人との関係がわかる戸籍謄本(相続人であることを証明)などを添えて提出することで取得できます。転籍の回数が多い場合、請求する回数も多くなります。戸籍は司法書士に委任状を提出することで取得を任せることも可能です。司法書士に任せることで必要な書類を適切に収集してくれるでしょう。

返信用封筒、手数料分の定額小為替などを用意すれば郵送で取得することも可能です。

住民票除票

住民票除票は、転出や死亡で消除されたことを示す書類です。相続税申告の場合、死亡を証明する書類のひとつといえるでしょう。住民票除票は、被相続人が最後に住んでいた市町村の役場で、請求書に本人確認書類、被相続人との関係がわかる戸籍謄本(相続人であることを証明)などを添えて提出することで取得できます。郵送を希望する場合、返信用封筒、手数料分の定額小為替などが必要です。

その他

その他の書類として必要になるのが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書

遺言が無かった場合、遺産分割協議書を作成する必要があります。分け方についてメモを残されているケースも多いと思いますが、正式な遺言書でなければ遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書とは、遺産分割が成立してから税理士に依頼するなどして作成する書類です。

遺産分割協議書には土地や建物、銀行などの金融機関の通帳や証券会社の株式や投資信託などの有価証券の明細を確認し、財産について、誰が何を相続するかを記載します。

財産を一覧の表にして、残高や評価額を記載しておくとわかりやすいでしょう。遺産分割は法定相続割合を基準に話し合いますが、必ずしも法定相続割合通りにする必要はありません。また、債務についても誰が承継するか相続人を決め、債務を承継した相続人は自分で精算する必要があります。

相続人全員が署名・押印(実印)して、1通ずつ保管します。相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらなかった場合は、各相続人が法定相続分に従い相続財産を取得したものとして税額を計算します。この場合、申告期限が延長されることはありません。

葬儀費用を相続人のうち一人が代表して支払っている場合、葬儀費用も考慮して分けるケースや生前に贈与を受けていた場合、生前贈与分を除き遺産分割をするケースもあります。個別の条件も考慮して分割協議をする必要があるのです。相続発生前過去3年以内の贈与分は贈与税ではなく、相続税の対象となります。

遺産分割協議書をもとに金融機関の解約や名義変更の手続きを行います。なお、生命保険は受取人の固有の財産となりますので、生命保険の保険金は遺産分割協議の対象外です。

相続税の申告は税理士に相談

いかがでしたでしょうか?今回は、相続税申告における必要書類について解説しました。冒頭で説明した通り、必要書類はケースで大きく異なりますので、今回ご紹介できたのはあくまで必要書類の一部です。相続を受ける方は制度もよく理解して申告や各種届出を行う必要がありますが、手続き自体も非常に複雑です。相続が発生した際は葬式の手配や公共料金の名義変更など相続税の申告以外にも様々な負担がかかります。また、仕事で平日は手続きを進めることが難しいという方も多いでしょう。

自身で書類を請求して申告書を作成することも可能ですが、知識がない方が自分で行うと、かなり時間がかかる可能性が高いことと申告漏れなどを防ぐため、専門家である税理士に相談しましょう。相続税の申告を依頼する場合は相続税の実績が多い税理士事務所や税理士法人に依頼するとよいでしょう。無料相談を行っている事務所もありますので、まずは面談してみてもよいでしょう。

税理士に依頼することで費用はかかりますが、各種証明書の取得や特例の適用可否についても相談することができます。

相続税の特例は自宅の評価を下げるものや配偶者が相続する場合税額が控除されるものなど、様々な特例があります。特例を適用することで課税対象の財産の評価額を下げることができる場合があり、大きく負担を軽減することができます。これらの特例は期限内に申告することが必要ですので、もし期限に間に合わなかった場合大きく負担を増やすことになります。また、延滞した分には延滞税も課されます。

特例は国税庁のホームページでも確認することができますが、条件などが複雑でわかりにくいという方も多いでしょう。特例を利用することで税理士に支払う報酬以上に節税できることも多くあります。特に財産の数や種類が多い方は評価にも時間がかかるため税理士に依頼することをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい